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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問53

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問53です。

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問53
人間性アプローチに関係が深い人物として、正しいものを2つ選べ。

① A.H.Maslow

② A.T.Beck

③ C.R.Rogers

④ H.Kohut

⑤ J.Wolpe
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正解、 ① A. H. Maslowと③ C. R. Rogersです。

まず本問の前提である「人間性心理学」とは、主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を強調した心理学の潮流であり、ヒューマニスティック心理学とも呼ばれます。

提唱者であるマズローは、精神分析を第一勢力、行動主義を第二勢力、人間性心理学を第三勢力と位置づけました。

代表的な人間性心理学者には、前述のマズローの他、カール・ロジャーズ、ゲシュタルト療法家のフレデリック・パールズなどがおり、また、ロロ・メイや個人心理学の創始者アルフレッド・アドラーをこれに加える向きもあります。

本問の解説では、各人の略歴を述べることで解説とします。

マズローはニューヨークに生まれ、ウィスコンシン大学のハーロウのもとでアカゲザルの研究を行い、1930年に卒業し、1931年に同大学で修士号、1934年に同じく博士号を取得しています。

コロンビア大学のソーンダイクのもとで助手を務めた後に、ブルックリン大学講師、助教授に着任、ブランダイス大学教授、アメリカ心理学会会長を歴任しました。

フロム、コフカ、ウェルトハイマー、アドラー、ミードなどニューヨークを拠点とする研究者との交流に刺激され、研究対象は動物の欲求から人間の欲求、人間の健康的な側面への変化しました。

人間の欲求は、①生理的欲求、②安全欲求、③所属と愛情欲求、④自尊欲求、⑤自己実現欲求より成るとし、欠乏により生じる低次の欲求が満たされ、はじめて最終段階である自己実現の欲求が生じるという欲求階層説を提唱したことで知られています。

人間を健康で肯定的な感情と動機を持つ存在として捉え、行動主義とも精神分析とも異なる第三勢力としての「人間性心理学」を提唱し、ロジャーズと共に主導しました。

行動主義では、人間は外的刺激などの環境要因の影響を受けるものという比較的シンプルな図式で捉えており、精神分析では、人間は無意識に支配されているといった面を強調していました。

こうしたアプローチの研究により、刺激に対する人間の反応のあり方や、精神疾患・異常心理などについての理解は深まりましたが、人間がより健康に生き、成長していくためには何が必要なのかといったことを探求していくにはこれらは不十分でした。

そこでマズローは人間性心理学を提唱し、自らこれを第三勢力の心理学と呼んだのです。

続いてロジャーズですが、精神分析の指示的療法を批判して、個人の内面や自発性が促進される非指示的療法、後の人間中心療法を創始し、個人の自由な選択と決定、また成熟への可能性を最大に発揮しつつ生きる自己実現を提唱しました。

先述のマズローの提案によって、1958年に二つの会合がデトロイトで開催され、集まったのはヒューマニスティックな観点をめざす専門家の学会創設に関心をもつ心理学者たちで、自己概念、自己実現、創造性、人間の生成、個性などで、その結果は一つの連動:第3の勢力である人間性心理学となったわけです。

1964年には、最初の招待者を含む拡大会議が催され、その中には、オルポート、ブーゲンタル、ビューラー、マレイ、ロジャーズ、マズロー、ムスタカス、メイらがおり、彼らはその後何十年もの間、この運動の推進に多大の貢献を重ねた指導者であり続けました。

以上より、①および③は正しいと判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/02-心理学・臨床心理学の全体像/公認心理師%E3%80%802023-53/

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