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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問83

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問83です。

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問83
相関関係を求める2つの変数それぞれから、共通の第3の変数の影響を除いて求められる相関係数として、最も適切なものを1つ選べ。
① 重相関係数
② 偏相関係数
③ 自己相関係数
④ 正準相関係数
⑤ 部分相関係数

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正解、 ②です。

まず前提として、「相関」とは、2つの変数がどのくらい一緒に変動するかを示す概念であり、2変数の直線相関が最も一般的(ピアソン)で、この場合、2変数の関係は直線であらわすことができます(一般的に「相関係数」といえば、ピアソンの積率相関係数を指すことが多いです)。

「2変数の直線相関」というのも少しわかりにくい表現かもしれませんが、実態はそれほど難しい話ではありません。

要は「片方が上がる(下がる)とき、もう片方はどうなるの?」ということであり、身長と体重で言えば「身長が上がれば、体重も上がる傾向にある」という片方が上がればもう片方も上がることを正の相関と呼び、気温とおでんの売り上げで言えば「気温が上がれば、おでんの売り上げは下がる」という片方が上がればもう片方が下がることを負の相関と呼ぶのです。

わかりやすく説明するために、選択肢②の「偏相関係数」と選択肢⑤の「部分相関係数」をつかって考えていきます。

「偏相関係数」と「部分相関係数」は、3つ以上の変数がある場合に、この中から取り出した2変数の相関係数になるのですが、単純な2変数の相関係数ではなく、第3の変数の影響を除外して考えた2変数間の相関係数のことを指します。

まずは「偏相関係数」について考えていきます。

たとえば、映画のスクリーン数」と「薬局の数」という2つの相関関係を見たとき、これらには正の相関がみられました。

映画館のスクリーン数が多いから薬局の出店数が増えるわけでも、薬局の数が多いから映画館のスクリーン数が増えるわけでもないので、この結果は奇妙に見えます。

このような場合には「第3の因子」の存在を考慮する必要があります。

この「第3の因子」として「人口数」が挙げられ、この因子は「映画のスクリーン数」および「薬局の数」とも強い正の相関があることが示されました(相関係数がそれぞれ0.85と0.98だったとします。相関では1が最大なので、この場合、相当高い数字である)。

ここで改めて「映画のスクリーン数」と「薬局の数」の相関関係を見ていくとき、「人口数」という第3の因子の影響を取り除いて考えないと、本当の相関関係を把握することができないことになります。

そこで、第3の因子の影響を除いた相関係数である「偏相関係数」を用いて相関関係を評価したところ、映画館のスクリーン数と薬局の数との相関は実はあまり強くないことが分かりました。

ここで挙げた映画館のスクリーン数と薬局の数のように、実際には相関関係がないのにあるように見える関係のことを「見かけ上の相関」「疑似相関」と呼びます。

このように3つ以上の変数がある場合、ある変数が他の変数間の相関に影響を与えているということが少なからずあります。

ですから、偏相関係数を出すことによって、純粋に見たい変数同士の相関関係を算出することができるということですね。

偏相関係数は量的変数同士のデータで利用する指標であり、使いどころとしては、重回帰分析で独立変数と従属変数の影響関係の妥当性を確認するために参照されることが多いです。

続いて、部分相関係数についても考えていきましょう。

先述の通り、こちらも「第3の変数の影響を除外して考えた2変数間の相関係数のこと」を指します。

そして、部分相関係数は、相関を求める2つの変数のうち、1つの変数が第3の変数の影響を除いたものであるとき、その相関係数を部分相関係数と呼びます。

つまり、部分相関係数では「相関を求める2つの変数のうち、1つの変数が第3の変数の影響を除いたものであるとき、その相関係数を部分相関係数と呼ぶ」のに対して、偏相関係数では「相関係数を求める2つの変数のそれぞれから、共通の第3の変数の影響を除くとき、その相関係数を偏相関係数と呼ぶ」となるわけです。

部分相関係数が利用される最も重要な場面は、重回帰分析における独立変数の選択する時です。

例えば、従属変数yに対して、最初の独立変数としてzが選ばれており、第2の独立変数としてxを追加すべきかどうかを検討する際には、yとx|z(xのうちzに含まれていない情報)の部分相関係数を考えて決定します。

こちらも偏相関係数と同様、量的変数同士のデータで利用する指標となります。

以上を踏まえると、本問の「相関関係を求める2つの変数それぞれから、共通の第3の変数の影響を除いて求められる相関係数」とは、偏相関係数であることがわかりますね。

よって、選択肢⑤が不適切と判断でき、選択肢②が適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/16-心理学における研究、心理学に関する実験/公認心理師%E3%80%802023-83/

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