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藤原ちからの欧州滞在記2024 Day 54

水曜日。ゆうべ遅くまで溜まっていた日記を書いていたせいで、眠い。日記を書かないことには今日が迎えられない気がしたのだった。しかし眠そうなわたしを見て実里さんは明らかに不機嫌で、髭を剃る時間すら与えられない感じ。一緒に美術館に行くとか言わなければよかった。そしたら昼頃に現地集合でよかったのだ。雨の中をしぶしぶ移動。ところが美術館は臨時休業中……(後でそもそも場所を取り違えていたことに気づくのだけれど)。とりあえずカフェでコーヒー。晴れてきた。町を歩き回ってから、目的地のおうちに到着。篠崎由紀子さんとハイネ・アヴダルが出迎えてくれる。
 
おふたりに初めて会ったのは、ダンス・プロデューサーの岡崎松恵さんが企画したセゾン文化財団・森下スタジオでのワークショップで、わたしはそこに帯同して記事を書く役割だった。日付を調べてみたら、2014年3月。「演劇クエスト」が誕生する直前で、わたしはそのレポートを、初めて訪れたドイツ・マンハイムのカフェで書いたのを覚えている。
「Borrowed Landscape は思想である——新しいダンスと演劇のために」
http://borrowed-landscape.jp/2014/r-ws2014.php


今回は京都芸大の共同利用・共同研究拠点のリサーチ支援型プロジェクトとして採択された、在欧日本人アーティストにインタビューするという企画で、おふたりを訪ねた。とても美味しいランチ(海鮮サンドイッチ)をいただいてから、ハイネさんも一緒の時間帯は主に英語で、由紀子さんだけの時間帯は日本語でお話する。いわゆるインタビューという形でお話を伺った後は、近所の公園まで散歩しながら。ブリュッセルとオスロの2拠点で活動されていることもそうだし、夫婦で活動されている大先輩でもあるので、お話はかなり心に沁みるものがあった。コンテンポラリー・ダンスの歴史に触れたようにも感じた。オフレコの時にかなり大切な話も聞いた。その話についてはわたしが公の場で語ることはないだろうけど、心の奥深くに仕舞い込んでおこうと思う。よかったらこれからピザでも……とお誘いいただいたけど、このままだと去りがたい気持ちに区切りがつかなそうだし、明日は早朝の出発だから、泣く泣くおいとますることに。途中、レンタサイクルに挑戦して、オスロの町を自転車で走って宿まで帰る。

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