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住吉山実里の欧州滞在記 2024/05/01

メーデー、労働者の権利の日。リュブリャナ駅のバス停、早めについたので、駅のなかを少しうろついたりしながら待つ。この町にはいつかきっと帰ってくる予感がする。少し遅れて来たのは2階建てのバス、トリエステを経てさらにミラノにまで向かうらしい。2人のバス運転手と順番待ちなんてしない沢山の乗客の攻防。急にイタリアだ!「スクージ」と言われて、順番を譲る。なんだか「スクージ」の使い方をゲットした気分になり、その後イタリア滞在中、色んな場面で「スクージ」を使うようになった。

なんとか席につく、満席の車内でざわざわした気分になったので無音でヘッドホン。ノイズキャンセリング機能のついたそれはイヤーマフのような働きをする、長旅のいい味方。メーデー休日のためか、交通渋滞。1時間ちょっとの予定だけれど、遅れるんだろうなぁ。後ろの2人の会話を微かに聞きながら、寝に入る。

目を覚ますと、バスはすごく標高の高いところを走っている。斜面上に家が立ち並んで、その先に海が開ける。下り切ったところでトリエステ中央駅に到着。

ホテルに荷物を置いて、町を歩く。ムッソリーニが演説したというイタリア統一広場から、音楽に誘われてバルの演奏を聴き、ランチのお店を探して散々ウロウロしして、カナルグランデの運河沿いでピザとパスタ。トリエステの旧市街の街路はスクエアで歩きやすい。チェックインして休憩。また町へと繰り出す、どんどん日が長くなっている。

トリエステにはilly coffeeの本店があるらしく、お洒落なステンドグラスのスタンドでエスプレッソを飲む。ウンベルト・サバ書店、ローマ野外劇場遺跡、そして山を登って教会と城へ。参道のような道の向こう、蒼い木々の奥に薔薇窓が見える。聖域のアトモスフィアを感じる。私の好きな京都の南禅寺を思い出させもする。

教会。今日はビザンティン建築のSerbian Orthodox Church of Saint Spyridoを眺めて、イオニア式円柱が特徴のChurch of Sant'Antonio Nuovo、ロマネスク建築のCattedrale di San Giusto Martireを見学した。建築様式の違う教会に入ると、ファサード、柱や内部空間の違いがよくわかる。世界史や西洋建築のテストで丸暗記、もしくは鉛筆転がしていたけれど、この体験と確認を沢山していってはじめて知識がようやく身に付くんだろうな。

雨が降りはじめた。Googleマップには記されていない細道に直感が働き、そろそろと山を下る、果たして道は繋がっていた。桟橋の切先まで歩く。じっと佇む人々。振り返ると濡れた街並み。

昼食のレストラン選びは迷いに迷ったので、夕食はあらかじめネットでリサーチした1897年創業の豚のお店。お肉ジューシー、ザワークラウトがほんのり温かい。ホールラディッシュの摺り下ろしおかわりしたいぐらい。食事の後、ホテルに戻る。サッカー中継を観に行くというちからを見送り、早くもベットに潜り込む。一泊しかしないトリエステで勿体ない気もするが、雨だし仕方がないよね……。

夜中3時、夢の中で誰かに活動を揶揄されて「島国のなかで自分たちだけでやってたかって文化は痩せ細っていくんだ!」と怒って叫んだところで目が覚めた。

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