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住吉山実里の欧州滞在記 2024/04/28

朝、松根充和さんの素敵なお家に招かれて、朝食。彼の(元)趣味の写真や、趣味の陶芸、DIYの数々に囲まれた空間で、良心市でゲットしたという白アスパラをいただく。
 
私が彼の作品を初めて観たのは2016年京都エクスペリメントでの『踊れ、入国したければ!』だった。今から8年前の2016年。思い起こすと当時、ダンスや演劇作品に出演していたもののまだ舞台芸術の輪郭を掴み始めたばかりで、マーク・テ 『Baling(バリン)』、庭劇団ペニノ 『地獄⾕温泉 無明ノ宿』、篠⽥千明 『ZOO』 とフェスティバルの演目を手当たり次第に観ていたなかの一つ。京都芸術センターの講堂の半分を展示スペース、半分を舞台にしていて、あの愛すべき講堂の使い方としてもとてもユニークだったし、自分が観客席のどこに座っていたかもなんとなく覚えている。
 
朝食の後はいよいよ、私にとっては初めての、「在欧日本人アーティスト」へのインタビュー。実は今回のヨーロッパ滞在は、京都芸術劇場の支援をいただいて、在欧日本人アーティストを訪ねていくリサーチ旅でもある。
https://k-pac.org/openlab/12421/
少し緊張気味の私に、松根充和さんは、関西弁でとっても気さくに、そんなことも見せていいのーっ話していいのーっと思うくらいなんでも見せてくれる話してくれる。ご自宅でじっくりお話を聞いた後は、近くのスタジオに移動し、こちらでもさらにじっくり。雑談が雑談にならない、おもしろさ。なかでも、サイドプロジェクトのことがとても感銘を受けた。私自身も海外で活動している時プロジェクト化できるかなと思う小さな芽を発見することがあるのだけれど、なぜか一歩を踏み出せず、あるいはあまり継続化できずにいた。本プロジェクトに精一杯になっているというのもあるけれど、面白くなるかならないかはさておき、やってみる意義は(少なくとも自分の中には)あるはずなのに。「オルタナティブ」さを大事にする彼の、劇場やフェスティバル、ツアーシステムの前提自体の裏をかいたり利用したりして取り組むような作品群の個展をいつか観てみたいなとおもう。
 
そうしているうちにもう夕方に。撮影録音込みのインタビューは一旦おしまいにして夕食に出る。ギュンター・ドメニッヒの建築がトルコ料理屋さんになっている。フムスや茄子などの美味しい料理にラストチャンスだからとシュニッツェルも。話して食べて、お腹いっぱいになりながら、歩いて話して、甘いデザートを食べて話して、歩いて話して、バルで飲んで話して、たっぷり12時間。同時に、12時間話していても、人ひとりの半生は知り得ないということもわかった。
 
みっちーとハグして別れる。もう目が半分閉じ始めていたけれど、最後の力を振り絞って、初日から気になっていたソーセージ屋に行く。日曜夜でも溜まり場のようになっていて、いい雰囲気。もし将来、ウィーンで滞在制作をすることになったら、このソーセージ屋に通うところからリサーチが始まりそうな予感がする。

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