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住吉山実里の欧州滞在記 2024/05/03

朝食の後、オンラインミーティング。それから去年さんざんウロウロした中華街へ、超市隣の朝食屋。皮蛋粥が没有だったので、白粥、海苔湯、茶卵で質素な昼食。店の内装が変わったような気がするけれど、食べているうちに前からそうだったような気もしてくる。よく行ってたコーヒーショップは工事中の模様。wifiカフェとしてお世話になったカフェに入る、店の人も変わっているような、たまたまかな。数ヶ月前と今が繋がっている気にもなるけれど、街は日々変化しているということだ。カフェでしばらく事務作業をした後、カルフールで水とチキンを買ってホテルに戻る。

今日は、一つ舞台作品をみるのだけれど、出発が遅れたのでトラムではなくメトロで、メトロに乗るのは実は3回目。今発表中の「演劇クエスト ミラノ、霧のエージェント」はトラムが重要なモチーフになっていて、去年の滞在中はトラムに乗らない日はないというくらいだったのに、メトロはごく初期にいづみさんと、それから郊外でのイベントの帰りにそこで会った人と乗っただけで、自分たちだけで乗るのは初めてかもしれない。路線と方向を確認しながら乗り込む。

途中で枝分かれする路線で、目的地の一つ手前のFamagosta駅で降りて劇場まで歩く。キプロスのFamagustaを思い出させる名前。しばらく歩くと途中から「演劇クエスト」のルートを逆走するようになる。マリア像の祠がある集合住宅を超えて、小さな太鼓橋へ。女の子が一生懸命自転車を引き上げている。手伝ってあげる。公園へ、人々がチルしている。お水汲んでいこうか。フリザンテ(炭酸)の水が出る給水所、並んでいる。おばさんたちがペットボトルをいくつも。その後に子どもたち、そして私たち。一つだから先行かせてほしいと交渉しようか、まあ待とうかとごにょごにょ日本語でやってると。先頭のおばさんたちが気づいてくれた。「ウノ?」「シー、ウノ!」そしたら子どもたちも「私たちもウノだよー!」と。服が汚れちゃったので洗いたいみたい。おばさんたちの、ダメ!との態度。それなら順番にしようか、いや、行かせてもらえそう、スクージ。無事フリザンテの水をゲット、公園を離れる。車椅子の人と一緒に横断歩道を渡り、笑顔で挨拶をかわす。歩く。とその時、ドン!と大きな音。進行方向の先で、車が飛び跳ねるのが見えた。事故。複雑な交差点の真ん中に、斜めに止まった白い車。何とぶつかったんだろう、その先の路肩に止めている黒い車? 後続の車がゆっくり避けながら進んでいる。トラムとメトロの駅前で、人も集まってきている。電話をしてる様子の人もいるから救急車はもう呼んだのかな、運転席には誰もいない。さっき走って出てきた? しばらく様子を伺いつつも、劇場に向かう。綿(ワタ)の吹き溜まり、これが噂のワタか! 暖かくなったと思ったら、花粉だ。

Fabio Cherstich『Visual Diary』。80年代から90年代のニューヨークをリサーチしたレクチャーパフォーマンス。作者は舞台美術家でもあるそうで、黄色いパンチに白いテープライト、縦横の二つのスクリーン、テーブル、彼のパーカーに至るまでかなりクールに計算されていそうでおしゃれなんだけど、英語の字幕がほとんどない。レクチャーパフォーマンスというか、かなりレクチャーで、イタリア語のわからない私は、半分くらい入った客席のくすくす笑ったりしている反応をみたり、自分がドラマトゥルクやったら、字幕をどこにおくかサジェッションするかなーと考えてた。

帰り道、事故現場の斜めになった車は地面のチョークの跡を残して既に撤去されて、警察たちが何人か立っていた。時間がかかるけれど、トラムに乗りたい気分だったので、トラムを乗り継いでチャイナタウンまで戻る。金曜日のミラノはそこここのバーで大盛り上がり。さまよいながら、広東炒飯を打包(持ち帰り)で。もう目が開かない。明日はいづみさんのインタビューとレクチャー、スライドの準備をしてくれているちからさんを残して、早めに横になる。

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