俺は変われるのか【舌癌編】12
駅前は広くてきれいだった。
事前に調べたところによると、病院へは無料送迎バスが駅から出ているとの事だった。
しかし主要駅のバスターミナルなので、停留所が多数あり、どこから乗ればよいかさっぱりわからなかった。
病院での診察時間も迫っている事から、面倒なのでタクシーに乗り込み病院へ向かった。
病院に到着し、新主治医の診察を受け、その日はその病院の関連施設であるホテルに泊まった。
(入院前日に何故ホテルに泊まったのか、理由に関して記憶がありません…申し訳ありません!)
泊まったホテルには温泉が引いてあった。
しかも浴場も広くてキレイ。
私はとても満足した気持ちになった。
しかし、そんな気持ちを壊すように、口の奥から血が込み上げ、軽く吐血した。
中咽頭部の腫瘍は禍々しく大きくなっており、痛みを伴いながら出血していたのだった。
だが、吐いた血が他の人の迷惑にならないよう、妙に冷静な気持ちでシャワーで丹念に洗い流した。
部屋に戻り、予め買っておいたワインと菊水黄色缶を煽った。
覚悟を決めている。
もしかしたらこれが最後の酒かもしれない…
…そんなカッコつけたお酒になる予定だったが、ミッドナイト競輪を観ながら「いつもの晩酌」になり、酔った私はそのまま寝てしまった。
救いようがない。
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