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スリーピー・ホロー伝説とホーンテッドマンション

スリーピー・ホロー伝説をご存知だろうか。

アメリカ合衆国東北部に伝わる「首なし騎士」伝説だ。

『スリーピー・ホロー』のストーリー

青空文庫でスリーピー・ホロー伝説が読めるので一節を見てみよう。

この妖術をかけられた地方につきまとう主領の精霊で、空中の魔力の総大将とおぼしいのは、首の無い騎士の亡霊である。
ある人たちのいうのには、これはヘッセからアメリカに渡った騎兵の幽霊であり、独立戦争のとき、どこかの小ぜりあいで、大砲の弾丸に頭をうちとばされたもので、ときたま村の人たちが見かけるときには、夜の闇やみのなかを疾走し、あたかも風の翼に乗っているようだということだ。
(略)この騎士の死体はこの教会の墓地に埋葬されているが、その亡霊は夜な夜なもとの戦場に馬を駆り、頭をさがすのである。
亡霊が夜半の疾風のように速くこの窪地を通り去るのは、刻限におくれたために、大いそぎで夜明け前に墓場へ帰ろうとしているのだということだ。

ワシントン・アーヴィング『スリーピー・ホローの伝説』青空文庫

要約すると、アメリカ開拓時代、ドイツから渡ってきた騎士が独立戦争の際に大砲によって首を吹き飛ばされ、霊となった死後も、己の首を探して夜な夜な戦場の中を駆け回るという亡霊のお話。

アメリカ東部の森の暗さや、開拓時代というまだまだインフラが整備されていない状況を考えると、この伝説はなかなかに恐怖だ。

『イカボードとトード氏』(1949)

実は、この伝説をディズニーがアニメ化した『イカボードとトード氏』(1949)という作品が存在する。

ディズニーアニメにしてはダークな雰囲気が漂っている。

かつてはイカボード氏の話が「イカボード先生の怖い夜」という題でVHS/DVD収録で発売されていたため、トラウマ製造機としても名高い。

スリーピー・ホロー伝説とホーンテッドマンションの関係

では、ここからがこの記事の本題だ。

この記事でも触れたように、フロリダのディズニーワールドにあるホーンテッドマンションは、「リバティースクエア」というアメリカ植民時代(18世紀)のフィラデルフィアやボストンなどアメリカ東岸部の街並みが再現されているエリアに設置されている。

スリーピー・ホロー伝説の文中で登場した騎士が首を吹っ飛ばされた「独立戦争」とはアメリカ独立戦争(1775~1783)のことだ。

つまり、リバティースクエアはまさに「スリーピー・ホロー伝説」に登場する村を再現したと言ってもいい場所にある。

ホーンテッドマンションの原型となったとも言えるアトラクションが本家ディズニーランドに存在する。

「トード氏のワイルドライド」(1955)である。


ゴシック調で統一された建物の雰囲気、ブラックライトを使用した視覚効果などからもホーンテッドマンションに共通する演出を垣間見ることができる。

このアトラクションで美術監督を担当したケン・アンダーソン氏は ホーンテッドマンションのデザインにも関わっている。

この動画の11分30秒付近には、首なし騎士と思われる兵士の首を手にした人物が写っている。

以上のことから、リバティースクエアに設置されたホーンテッドマンションはスリーピー・ホロー伝説の中に組み込まれた幽霊屋敷と言えるだろう。

皆さんもホーンテッドマンションに足を踏み入れる際に、首なし騎士にはご注意をされたし。

「イカボード先生の怖い夜」が気になった方はこちらから

このDVDの2話目に収録されています。

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