🏕多動症の先輩とキャンプ⛺
9連休の予定は半分以上空いていた。
時間があるという無限の可能性にニタニタしてる時、先輩からLINEがきた。
「明日、キャンプ行こうや。いや、行くで。」
秒で既読をつけてしまったので深く考えず、慌てて返信をした。
早朝、山積みのキャンプ道具を載せたシャコタン車がコンビニの駐車場に止まる。
虹色全反射グラサンをずらしてウィンクしたギャグみたいな先輩が今回のお供。
僕と先輩は まあタイプが違う。
休日は常に予定がパンパン。
仕事は一切手を抜かない。
ずっと誰かと話している。
毎日意識飛ぶまで酒を飲む。
行動の一区切り毎にタバコを吸う。
休日はキャンプにサーフィンに車の改造。
不倫がバレて多額の慰謝料を払いながらも即再婚。
常にギラギラしている。
THE ヤンチャな男。
仕事はすごくできる。
僕と同じ高卒であるが、持ち前の明るさとえげつない行動力で院卒組を置き去って最速出世コースを爆走していた。
しかし、病気が見つかりレールはふと目の前から消えた。
周りは見事な手の平返しでバッシングをする姿に新人ながらサラリーの惨さを見た。
それでも腐らず、干され仕事を淡々とこなして再起を企んでる姿には学ぶものがある。
キャンプ場についてもずっと動いている。
「美味いやろこれ?食え食え」
「これな、こうしたら楽に組み立てられるねん」
「あっちに綺麗な川があるねん」
「あれが蠍座やで。キレイやろ?」
焚き火の前であんなに動いている人初めて見た。
仕事もプライベートもこの人はずっとせわしないのか。
テントを片付けていた時に「動きすぎですよ、休憩しましょう」と言うと、
「俺は地獄行きやから、現世でなるべく動いて体力つけなあかんねん」と返された言葉が印象的だった。
帰り道に人生で大切にしてる言葉を聞いてみた。
「んーーーー心臓が止まってからゆっくり考えるわ」
のんびり休むはずのキャンプ場で副流煙とギラギラを吸い込んだGW。
少しだけギラギラしてみようかなと思う自分がいた。
湖岸沿いを走りながら聞く玉置浩二の田園が沁みること沁みること。
貧乏ゆすりをしながら運転する先輩の車は、ギリギリ捕まらない速度でどの車よりも忙しそうに右へ左へ動きながら高速道路を駆け抜けていった。
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