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ゲーム感想|【Potion Permit】傷ついた街でスローライフ

心の距離を少しずつ


(ネタバレあり)
診療所を経営しながら街の人々と心を通わせていくスローライフシミュレーションRPGです。プレイヤーは遠く離れた都会の薬師となり、要請のあった小さな街へとやってきます。スローライフのはずが、街の人々からの心証が非情に悪い状態から始まるのが特徴です。


1|世界観

実はこのテのゲームを真剣に遊んだのはこの作品が初めてかもしれません。とにかく、スタートした時点では舞台となるムーンベリーの街の人に歓迎されていないどころか、邪険に扱われることもあるので、信頼を集めるために奔走することになります。

冷めきった歓迎会。

そのために一歩一歩確実に人々の問題解決に近づいていきます。

主人公の前任の薬師がいたらしく、その時使われていた診療所と研究所が自分の家となります。ここへは時折ムーンベリーに住む人々が何かしら体の不調を訴え診療所にやってきます。その不調の原因を突き止め、それに効く薬を処方するのが主なゲーム部分です。ちなみに外科的な病気は一切出てきません。主人公は内科医です。

ええ、最高の夢見でしたよ。(真顔)

相手の体を調べ不調の発生源を突き止めると、今度は原因調査のためのミニゲームが始まります。若い年齢層がプレイされることを意識しているのでしょう、これは簡単です。(タイミングゲームが苦手で何度かミスっているとは言えない。

リズムに乗って扁桃腺をチェック。

晴れてあざやかゆみなどの症状がわかれば、それに効く薬を出せるようになります。この薬を研究所にある大釜で調合して作り出します。薬の素になる材料は天然由来にこだわっており、素材調達は街の東側に広がる森や山、砂漠で行います。そこでは草花や鉱石などはもちろん、敵性のモンスター徘徊しており、それらを討伐して体の一部を手に入れることができます。

そうして持ってきた素材を大釜に放り込んで薬を作るのですが、痒み止めはこれ、目眩にはこれ、というように一つの症状に一つの薬が割り当てられています。

それらを作る際にちょっとしたパズルをやらなくてはいけません。すべての素材はL字やT字などのブロックの形が割り当てられています。多種多様な薬もそれぞれ固有の形の枠を持っており、その中にピッタリ当てはまるように素材のブロックを配置していきパズル完成させます。できた薬を患部に使用することで不調が治ります。

後半になるほど複雑。

はい、くどいぐらいの説明でしたね。この作品はこういった一つ一つの積み重ねを大事にしているゲームです。見ようによっては「おつかい要素」が多いと言えるかもしれません…。

何度か書いていますが、ゲーム開始時点だと住民からの評価がとても低いです。というより完全に嫌われています。これは主人公自身のせいではなく、前任者のやらかしの積み重ねが原因で、同じ立場の主人公も信用されていないといった状態です。

昨日まで普通に挨拶してたのに…

だからこそゆっくり、できることや願いを一つずつ達成して信頼を取り戻す必要があり、それが隠された過去の出来事を徐々に明らかにしていく鍵となっていくのです。


2|キャラクター

街の人との交流をメインにしているため、イベントがひっきりなしに発生します。キャラクターの深掘りや、過去の事件の謎を追うなど、見ていて飽きないものが多いです。

依頼系のイベントが多いのですが主人公はとんでもなくお人好しの善人なので頼まれれば二つ返事で承諾します。つまりイベントが発生した時点で依頼をやることが確定。お陰でタスクがびっしり。ですが時間制限はないため好きな順番でこなせば良いです。

ケーブルカーの修理をお願いする薬師。

が問題が一つ。依頼内容の大体が資源集めなのですが、オブジェクトからは一日一つずつしかドロップされず、しかも配置される数は3〜4ぐらいに固定されています。納品の依頼がかぶると数少ない資源を取り合う事になり、薬の材料に使うと達成が遠のきます。この点は人によって煩わしさを感じるかもしれません。

街の人との交流ですが、このゲームもちゃんと(?)ロマンス要素があります。しかも現代のゲームらしく相手も自分もパートナーへの性別は問いません。ドットでデフォルメされた32人と1匹のキャラクターたちは皆可愛らしく、交流を経て人となりがわかっていくほどに、皆善人であることが伝わってきます。

誰かが困っていたら年齢関係なく手を差し伸べるのが、ムーンベリーの民。

やがて街中ですれ違うと声をかけてもらえるようになり、その頃には全員の名前を覚えるぐらい愛着が湧くでしょう。

だがしかし、少ない。

何が、ってロマンスに発展する相手が。その数、男女3人ずつの合計6名。それもそのはずで老若男女32人猫1匹のほとんどにパートナーがいる状態です。この人いいな〜と思っても大概ロマンス対象外です。この人もだめなの!?って何回もなりました。

候補は秘書のシャオ、家具屋のレイナー、医者のマテオ、酒場の看板娘のマーサ、海賊のレアノ、町長の一人娘のルーの6名。中でもマテオは作中のライバルポジで、立場上かなり損な役回りをさせられるヒゲダンディです。彼だけ候補にしては変化球が過ぎるよ。

一番こっちを殴ってくるけど、一番職務に真面目だと思うよ。

また、イベントが頻発するため、好感度が逆転してるように見える時があるのも少し残念です。さっきまで普通に接してたのにメインイベントが始まった途端そんなに強い感情をぶつけてくるなんて…。

こうなったらロマンスのことはすっかり忘れて、傷ついた自然と人々を癒やすことに専念する遊び方もよいかもしれないですね。


一気にタスクをこなそうとすると、スローライフどころじゃなくなります。ちょっとずつ、のんびり過ごしていく内に、街も自然も人々も希望を取り戻していく様子を眺めるぐらいが丁度よいでしょう。

まさしく、これは癒やしのゲームです。

唯一無二の愛犬、Ohanahanaです。

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