ゲランの感想1
3ヶ月前、香水にハマりたての頃は「ゲランはもう少し教養を深めてからでないと…」と敬遠していた。有閑マダムの大理石の洗面台に並んだボトルは、持て余す富と時間の象徴。金も時間もそりゃもう足りてねえ(舐達麻)な俺たちには一生縁がないと思っていた。あの日サロンドパルファンに行くまでは。
ゲランのカウンターに行く勇気はないけれど、(この↑メインビジュアルのお姉ちゃんの「「「圧」」」が強すぎるから)サロパのお祭りパワーに頼ればゲランとお近づきになれるかもしれない。そんなスケベ心と札束を握りしめ、いざゲランのブースへ。この時、ゲランのでかいカウンターの方では10~100万?の限定品や扇アートがあったみたいなんだけど、勇気がなくて全然近寄れず、香水回転寿司に近い方の小さい出張ブースでミニチュアコレクションを受け取るのみだった。そこすらも混んでて椅子がなく、4万超えの買い物なのに立ったまま決済させられるなんてっ…♡と貧乏人は羞恥に震えた。これがゲランでの初めてのお買い物体験である。今思えば扇アートだけでも見とけばよかったしフレグランスコンサルテーションを予約しておくべきだった……
ラール エ ラ マティエールEDP ミニコフレ
サロパで買ってから2ヶ月、つけてもつけても全然香りがしないので寝かせていたが、副鼻腔炎の治療をしたら、点でつけただけでものすごく芳醇な香りが鼻に飛び込んでくるのがわかった。鼻の解像度が320*480から一気に4Kになった。これまでの人生(と書いてきた感想)って一体何だったんだ? 香りの情報量が多すぎて、とても今回のnoteでは感想を語りきることができない…
クルーエル ガーデニア
薄ピンクの液体色からミスディオール的な百貨店フローラルを想像していたが、チュベローズのような甘いジャスミンの香りがする。これが残酷なガーデニアなのか。チュベローズ系は自身の教養不足もあり、脳が「あーはいはいチュベローズね」と一瞥してさっさと判断を終了してしまうところがある。完全に好みの問題だけど、今の所ラールエラで買う必要性を感じない。クルーエルちゃんと仲良くなるには、まだまだ修行が必要ということだ。
ネロリ ウートルノワ
ネロリのセロテープっぽい甘さが苦手で、こちらも最初はウーンと思っていた。ところが、世の中にたくさんあるネロリ香水とは違って、こちらは実物を見たことすらないネロリの花弁のしっとりとした感触が、リアルに脳に迫ってくる(多分公式HPのムービーのせいなんだけど)。ついでにワッサのお顔も超迫ってくる。カラメルのようなほろ苦みが腹ペコの心を掴んで離さない。何度も手首に鼻を近づけてはひろしになってしまう。
ネロリも意外と悪くないな…と思うものの、こういう甘さを求めるならバニラ系の何かを買ったほうがいいな、という気もしてしまう。
ローズ バルバル
こちらの「野蛮なローズ」というタイトルを見て、茨が生い茂る野生のバラ園と、そこに佇む胸毛ぼうぼうの男性が突然槍を持って襲いかかってくる絵面が思い浮かんだ。それと同時に、「世界香水ガイド」でザディファレントカンパニーのローズポワブレについて、ルカトゥリンが「昔の処方はきんたまの匂いがしたんだけどなあ~」と残念がっていたことを思い出した。もしかしたらこれも金玉ローズの類なのかも…!? 実際つけてみると、野蛮どころか紅茶のようなまろやかな深みのあるローズ。全然バルってない。自分が持っているローズ香水がフレッシュな酸味を特徴としたものが多く、冬はエグみを感じやすいのが難点だったので、ローズバルバルは寒い日も上品に香るところが好き。
ローズ シェリー
ザ・ピンクの液体色のイメージを裏切らない、ベリーとローズの夢の共演。女の子の好きなものを全部混ぜ合わせてケーキにしたかのようなこの香りは、なぜか心の奥をざわつかせるところがある。20年前、渋谷109-2の最上階にはナルミヤインターナショナルの高級子供服店がひしめいており、その中に可愛い女の子しか着ることが許されなかった最強女児服「メゾピアノ」というブランドがあった(ブランド自体は今もある)。ピンクを基調として、フリルやイチゴ等のガーリー要素がふんだんにあしらわれたお洋服は、天パ瓶底眼鏡の自分には当然似合うはずもなく、お店を横目でチラ見しただけでも、店員さんやオシャレして来てるガールズに「あなたの服じゃないわね」と笑われるのではないかという恐怖があった。このローズシェリーのクラクラするような甘いキラメキは、そういった幼少期のコンプレックスを呼び起こす不穏な眩しさがある。
アンジェリーク ノワール
クッキリと濃く香るバニラの中に見え隠れする、春菊のような苦味。おそらくこの部分がアンジェリカなのであろう。大人気のドゥーブルヴァニーユもいいけれど、個人的にはこちらのほうが好き。香ばしいカラメルの中にエメラルドの輝きを探すようで飽きることがない。調香師の名前を見るとダニエラ・アンドリエ。そういえば、ビュリーの店頭で20近くある香りを片っ端からプシュプシュして一番気に入って購入したのが、ダニエラ・アンドリエ作の「ヴァルパンソンの浴女」だった。一体どんな方なのだろう……と調べたら、ジボダンのCEOの奥さんらしい。神と神が結婚して神話みたいやな。ミニチュア8点の中では一番好き。
キュイル ベルーガ
バニラやね。最初はドゥーブルヴァニーユとアンジェリークノワールとこれの区別がほとんどつかなかった。特に、キュイルベルーガの特徴であるレザーが全然わからない。わずかに感じられる塩味にその気配を感じる。人間の皮膚も言ってみればレザーだし、体臭と合わさって完成する香りなのかもしれない。つけて1時間くらいすると、たまごボーロのような粉っぽいバニラになり、塩味が時折みたらしのようなコクを与える。この系統だとディプティックのオーデュエルでいいんじゃないかという気がする。
サンタル パオロッサ
ロッサ言うてるし液もラブリーピンクだしローズ系の何かやろなと思ったら、寺だ寺だ寺だ~~!!! 強い寺。厳しい寺。標高10000mあたりにある、一度入れば10年間出ることを許されないタイプの寺。この強さの秘密は何だ? と思ったら、たった今切り倒されたばかりのような峻烈な辛味をピリつかせている白檀である。そういえばこのマイルドスパイシーな感じはサンタル33に似ている。サンタル=サンダルウッド=白檀だったのか……と好きなキャラクターが同じ声優だったときのような気付きがあった。
ドゥーブル ヴァニーユ
5chのゲランスレで、この香りだけ中古市場で高額取引されてて転売屋死すべし~といった呪詛の言葉が書かれていた。ちなみにここではドロップ復活してほしい勢とフルボトル買えないやつは死ね勢が不毛な争いを繰り広げており、ゲランの客層って紳士淑女だけじゃなかったんだ……と泣きながらタブを閉じ二度と開くことはなかった。何はともあれ、魑魅魍魎の類いすらも寄せ付けてしまうバニラとは一体どのような香りなのか? せっかくなのでヨドバシで400円のアトマイザーにスプーン1杯分移し、定時後の疲れた体にシュッと吹きかけてみた。
芳醇なラム、琥珀色のバニラ、ミルク的なコクがスッと尾を引いて、香りを追いかけているうちにどこか遠いところへ連れて行かれそうな感じ。小川軒のレーズンウィッチの味がありありと思い出される。帰宅前にこの香りは腹ペコに拍車をかける。
なお、安物のアトマイザーは液漏れはしないものの、少しずつ揮発しているのか、常にほんのりいい香りが溢れ出すようになってしまった。通勤用カバンを開くたびに小川軒が開店する。バニラ香につられて妖怪が後ろをついてきたら怖いので、おすすめのアトマイザー情報がありましたらぜひご教示ください。
ナエマ
ゲランちゃんとLINEで繋がっていると、「今お買い物するとリップと化粧水つけちゃうわよん」とお得情報が告知される。この頃はまだ鼻炎の治療前で、ラールエラの匂いが一切感じられず苦悩の日々だったが、他の香水なら匂いがわかるかもしれない…! とオマケに釣られてオンライン購入したのがナエマ。多くの名作の中から何故これを選んだのかというと、アットコスメで香りの伝道師が激推ししていたから。自分が香水を探す時は、だいたいこの方のレビューを追っている。これを読んで香水にはまった人は自分以外にもかなりいるんじゃないだろうか。
ゲランちゃんから届いた荷物は、真っ白な箱に金のフリンジ付リボンがかかって、まるで銀座の街に止まるベンツから優雅に降り立つ大女優のよう。「いいんですか? こんな…」と謎の独り言とともにリボンをとき、輝く品々を検品していると。「あれっ?」化粧水くれるって言ったのに入ってないな……特典が早めに終わってしまったのかな。それにしたって、「特典が切れちゃってごめんネ☆ミ」と一言言ってくれればいいのに、無言で約束をすっぽかすなんてひどいや。所詮は一般人の身、大女優からは冷たくあしらわれて当然。バラの香りを残して去っていくベンツを寂しく見送りながら、絶対的な身分の差を思い知るのであった。ところが数日後、ゲランちゃんからまた荷物が届く。何か注文した覚えはないが、無意識に香水を買ってしまったのだろうか? と震えながら紐解くと、「特典の化粧水入れ忘れちゃって申し訳~♡」というお手紙とともに化粧水ボトルと、オマケに金の玉が入ったオイルのサンプルボトルまで入っていた。げ、ゲランちゃん……!!!
ベンツを見送ったあと、一人トボトボ駅へ向かっていると、LINEに着信があった。「……ゲランちゃん!」「さっきはごめんね、パパが門限厳しくて……また会おうね」「ゲラ゛ン゛ち゛ゃん゛!!」お高く止まっていると思っていたけれど、何てことはない。ゲランちゃんも、ちょっと不器用なだけの一人の女の子なのだ。俺は誓った。次こそもっとたくさんゲランちゃんでお買い物をしよう。寒さに身を縮めたバラが、日に照らされて徐々に柔らかく開いていく時を思わせる、そんな君の笑顔がまた見たいから。
肝心のナエマの香りは、ペンハリ缶のレビューでも書いたけど、トップが完全におばあちゃんの鏡台。自分の祖母は現代の言葉でいうメンヘラで、よく悪い人に騙されてノエビアのマルチに引っかかったりしていたので、化粧品はたくさん持っていた。そんな祖母が洗面台の下に残していったのがニナリッチのレールデュタン。
小学生の自分は、初めて手にした香水瓶に興奮し、小さな鳩が連れてきた琥珀色の液体に無限の期待を抱いた。ところが。
「くっさ!!!!」
5mlボトルで栓が甘かったこともあり、例のごとく中身は劣化していた。幼き頃の自分は、これが香水…!? と大人の世界の複雑さを知った。その後、めげることなく2,3回匂いを確認するのだが、どう考えてもタンスの奥に半世紀寝かせたご先祖の襦袢の香り。そういった茶色に煮染められた思い出が、ナエマの噴霧からぶわっと蘇るのを感じた。だが、不思議とくさいとは思わない。少ないながらも色々な香水を試す中で、世の中には多様な香りがあるということを学んだからだろう。
セピア色のトップが落ち着くと、次第にみずみずしく柔らかなバラが感じられるようになる。なぜか昭和時代の三越の風景が思い浮かび、磨き上げられた大理石の床に反射するシャンデリアのきらめき、貴婦人の毛皮、紳士がくゆらす葉巻の香り、ゆったりとした時の流れがこちらに滲み出してくる。ラストになると、華やかな光景は遠のいて、ベビーパウダーのような香りに落ち着く。母にはたいてもらったパウダー缶が、また洗面台の下にしまわれていく。色んな意味で時代を超えた香り。
アプレロンデ
カール・ラガーフェルド大帝のお気に入りらしい。あの巨大な襟の内側にこんな繊細な香りを秘めていたなんて……ルカトゥリンおじも長文で☆5レビューを書いており、歴史的名香らしい。本当はナエマより先にこちらを買うつもりだったのだが、公式サイトでは売り切れており中古で入手した(2021年12月現在は在庫が復活している)。こちらもゲランによくあるベビーパウダーの香りだなと思うが、何となく薄青色でメランコリックな雰囲気を漂わせている。あじさいのようなしっとり感を追いかけていくと、たまにバニラのきらめきを見つけることがある。鼻炎の治療をした今でも、相当香りに集中しないとつけたことを忘れてしまうくらい香り立ちが儚い。
先日、GINZA SIXのブティックでルールブルーの香水を試させてもらったとき、アプレロンデと同じ香りだ! と思った。しかし、アプレロンデで必死に追いかけていた香りが、追いかけずともはっきりと輪郭をもってそこに留まっていた。アプレロンデがすりガラス越しに見た曇り空のイメージなのに対して、ルールブルーは窓を開け放って鮮やかに沈む夕日に目を焼かれる空のよう。同じトワレ同士で比べたら、もう少し繊細な違いがわかるのかな?
アプレロンデだけはビーボトルで欲しかったな……今にも泡となって消えそうな繊細な雰囲気で、何回も手に取りたくなる。ハチさんのエンボスを撫で回したい。
夜間飛行
ゲランちゃん、リンクを貼ったときサムネに商品画像が出てこないのはどうしてなの? 値段の横に書いてある「差出人」って訳も意味がわかんないし。というか香水のサイトってどうして例外なくクソ見づらいんだろう……特にフエギアは、ただでさえパッケージが全部同じなのに香りのノートの書き方も惑星に英単語が書かれてて意味不明なので早急に改善してほしい(いきなりのdis)。
それはさておき、憧れの夜間飛行。本当はもっとお金持ちになってから買うつもりだったのだが、ある日ゲランちゃんから「12月はポイント3倍なのだわ」というメールが来た。そもそもゲランにポイント制度なんてあったのか……で、このポイントが一体何に使えるのかどこにも書いてない。「ゲラン ポイント」で検索してもメンバー規約が出てくるだけ。この数字は消費者レベルを表すだけの数値なの? とグーグルを下の方まで追うと、「ゲランのポイントカタログ今年もきましたー♡」という個人のブログが引っかかる。ぽ、ポイントカタログ……!? そんなの貰ってないし何故かネットでも全然公開されていない。こんな貯めさせる気ないポイント制度ってある?
またしてもゲランちゃんの不器用ぶりを見せつけられ、困惑しながらネットで拾った画像でポイントギフトを確認してみると、1000ポイントでポーチ、2000ポイントでサンプルの詰め合わせみたいなのが貰える。更に上にはワインとかバスローブとか、年間100万単位で買ってる人のための何かがある。しかし、あと香水1つと1万円くらい買えば2000ポイントに届くのか…
そういうわけでやって来ましたGINZA SIX。ラールエラやルールブルー等、ここと帝国ホテルでしか試せない商品があるということで、いなかっぺは緊張しながら金色のフロアに足を踏み入れた。はえ~、雲が我々を導いてシナイ山みたいなんやな。ゲランの店内は琥珀色に輝くラールエラや人間くらいある巨大ミツコ、応接用のソファセットがあり、そこではスパイスの容器みたいなのが広げられていて香料の商談中なのか!? とビビった。
よく見たらオーキデアンペリアルが陳列されてるだけだった。いやこんなの広げてたらスパイス商人だと思うでしょ。これが馴染む家ってトプカプ宮殿か何かか? さっそく腕にルールブルーを吹きかけてもらって、しばらく歩き回って香りの変化を確認し、「よし夜間飛行買おう」と決心した。(なんで?)
店員さんに購入の意志を伝えると、スパイス商人のソファに通された。座って決済させていただけるんですか? 恐縮ですう……飛行機によって掻き分けられた雲を思わせるデザインのボックスを開けると、ペリドットのように落ち着いたグリーンのボトルが現れる。「ボトルの紐は現地で数人しかいない選ばれた職人によって巻かれていて、これを切ることによって初めて香水が自分のものになるんですよ」こ、これこそラグジュアリーや。磨き上げられた技術、連綿と受け継がれてきた秘伝のレシピ、様々な時代で人々に愛されてきた圧倒的な歴史。その重みを持ったボトルがいま自分の手の中にある高揚感。めっちゃ心臓がドキドキしてきた(決済金額のせいで)。これとお化粧の粉を買って無事目標ポイントに達しました。店員さんに「たなかさま! 奇跡でございます! ちょうどピッタリ2000ポイントでございます」って言われて笑った。
前置きが長すぎんだよーッ! 夜間飛行の香りは、一言で言えば一生つけられる香り。いい匂いとか芳香とか癒やされるとか、そういう言葉で語れる感じではない。こちらのボトル、勝手にスプレーだと思っていたのだが、なんとクラシカルなことに蓋の裏のでっぱりを使って点で付けるタイプ。1ヶ所チョンしただけで朝から晩までしっかり香る。つけたては古代の植木鉢の土を頬張ったかのように深くモッタリとした苦味。次第に干し草、石鹸、ベビーパウダーが渾然一体となったような香りになる。スーツの男性や眼鏡の女性に似合いそうなマニッシュな印象。6時間くらい経つと、突然キラキラ輝くバニラの香りが立ち上ってくる。うおおおおーーーーファビアンッッ!!! 上にあがっちゃだめだーーーっ! ネットのレビューでは、このバニラのきらめきをファビアンが最後に見た空と解釈する声が多いけれど、支配人リヴィエールの高邁な精神の部分と考えることもできて、この香りにふさわしい人間にならなくては……と背筋が伸びる。
粉々に砕け散ったクレカを拾い集めて財布にしまっていると、店員さんが「フレグランスコンサルテーションはお受けになったことはございますか?」と聞いてくる。もうやめて! 私のご利用可能枠はゼロよ! っていうかフレコンって100万円くらい買ってる人じゃないと受けられないと思ってた……「ベテランのアドバイザーの方が月2,3回来店しますので、予定がわかりましたらご連絡しますね」ベテランにお願いするとあっては手ぶらで帰るわけにはいかないので、次回のフレコンのために今必死で労働を頑張っている。仕事中に何かミスしても「この失敗により、次の失敗はなくなる」という気持ちで乗り越えることができる。リヴィエールの香りに包まれて。
シャリマーフィルトル
こちらも前述の香りの伝道師が激推ししていたので、ずっと気になっていた。が、香水にハマるタイミングが遅かったので、公式HPではすでに完売したあとだった。限定品なので再販も望めず、中古で未開封品を購入した。はああ~まだオリジナルのシャリマーすら嗅いだことがないのに、いきなりフィルトル(媚薬)だなんてっ。ゲランちゃんのエッチな一面を垣間見たような気持ちになりながら一吹き。これは……レモンスフレチーズケーキだ! ジューシーな柑橘の酸味が溶け込んだふわふわメレンゲと、バニラの風味、たまにスパイスがチラッと現れるときもある。まるで天使のティータイムの残り香をそっと掬ってきたかのよう。シャリマーって秘伝のタレみたいなイメージがあったけど、こういうのもあるのか。こうなると余計にオリジナルの香りが気になって仕方がない。しかし今年は既にたくさんの香りをお迎えしてしまったので、しばらくは落ち着いて、手元にある一つ一つとじっくり向き合って過ごしたいと思う。
こんなことを書いているうちにゲランの店員さんから直々にメールが来た。「夜間飛行の香りお楽しみくださいね♪1月のフレコンの予定が分かり次第お知らせいたします^-^」お、おねえさんっ…!! この一人ひとりのお客様に寄り添った接客を見よ。これこそラグジュアリーである。某高島屋のラトリエデパルファムなんか、店員さんがカンペ見ながら香水の説明していて雲泥の差。そもそも高島屋は出口に近すぎて寒い風が吹き込んでくるんだよね。そんなところでポートレートの36000円のボトル買えますか?(私は貧乏なので買えませんが…)ラトリエデパルファムのフレグランスアドバイザー求人なんか、月給17~19万で募集してるのを見るとそりゃあカンペ見ますわって感じだよね。ブルーベル様におきましては、従業員にたくさんお金を払って教育して、客が香りを選ぶその時だけは夢を見させてほしい。「安いお給料で立ち仕事大変だなあ……」とか思わせないでほしい。いきなり何目線の愚痴だよ……って感じなんだけど。ゲランの接客に感動して、ついそんなことを思いました。
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