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¿クリスチャンがアッラーに祈る?

スペイン語は、アラビア語の影響を色濃く受けています。
願望を表す”ojalá“オハラもその一つです。

英語の“I wish”にあたり、
¡Ojalá que no llueva! (どうか雨が降りませんように)
¡Ojalá!(そうなりますように)
のような形で日常的によく使われる単語です。

「神が望めば」という意味のアラビア語「インシャアッラー」から、アンダルシア方言”law šá lláh”を経て、”ojalá”となりました。
つまり、”ojalá”の”-alá” はイスラム教の絶対神アッラーを指しているのです。


クリスチャンにとって、イスラム教徒は排斥の対象でした。十字軍はエルサレムを奪還しようと蛮行を繰り返し、レコンキスタは800年かけてイベリア半島からイスラム教徒を追い出しました。

結果、今日のスペイン語圏ではカトリックが大半を占めています。

それなのに彼らは、今日も¡Ojalá!と願いごとをしています。

排斥してきたはずの異教の神アッラーの名を口にし、そのアッラーに願い事をしているのです。

皮肉が効いていてなかなか面白いのですが、当のスペイン人はそんなこと全く気にしていないようです。


だから、私はスペインに惹かれるのだと思います。

昔も今もいがみ合っている2つの文化が、このイベリア半島では境目が分からないほど溶け合っている。異教の神に祈っていてもわからないくらいに、混じり合っている。

そこから生み出されるスペイン独特の空気に、ついつい惹きつけられるのです。

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