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SDGs 目標2 飢餓をゼロに

まず初めに、SDGs入門編についてはこちらをご覧ください。

1. はじめに

SDGsの持続可能な開発目標2であるのが「飢餓をゼロに」です。すべての人に栄養のある安全な食料を確保し、あらゆる栄養不足を解消するとともに持続可能な農業を推進することが目標です。

この目標を構成するターゲットは以下の8つです。

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

2. 飢餓とは何か?

まずはじめに、“飢餓”とはどういう状態をいうのでしょうか? 一般的には、十分な食べ物を食べられずに栄養不足になり、健康を保てなくなった状態のことをいいます。

国連食糧農業機関(FAO)の定義によると、十分な食料、すなわち、健康的で活動的な生活を送るために十分な食物エネルギー量を継続的に入手することができないと解釈されており、以下の2つの条件に当てはまる必要があります。

1. 習慣的な食事エネルギー摂取量が、栄養学者が適正とみなす最低水準を下回った場合。
2.栄養不足を評価するための適切な期間を満たしている。

これら2つの条件を満たすことで、「飢餓(状態)」と言います。

ちなみに、ここで言われている栄養不足とは、一時的な期間のみ食糧不足になるのではなく、丸1年食糧不足である状況を示しています。

参照:国連食糧農業機関(FAO)

3. 世界の飢餓の状況

現在の世界の現状を追っていきましょう。

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参照:2018年版「世界の食料安全保障と栄養の現状

上のグラフからわかるように、私たちが暮らすこの地球には食べる物がなく飢えに苦しむ人たちが8億人もいます。

日本で暮らすわたしたちには、想像し難いかもしれませんが、これは世界の人々の9人に1人が飢餓に苦しんでいるという数字になります。

これは喫緊の対応策が必要な世界的な課題と言えます。

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画像:世界の人口推移

また、世界の人口は今後急速に増えていく傾向にあり、現在76億人の人口が、2050年には97億人になると予測されています。

そして、それに伴い2050年に飢餓に苦しむ人たちは20億人になると予測されます。
参照:世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳)

4.なぜ飢餓が起こるのか

「飢餓」が起こる原因は大きく分けて3つあります。

1つ目の原因が「気候変動」です。現在では、土壌や淡水、海洋、生物多様性の劣化が急速に進んでいます。気候変動は私たちが依存する資源にさらに大きな圧力をかけ、干ばつや洪水など災害に関連するリスクも高めています。

気候変動によって飢餓に苦しむ20億人に食料を供給するためには、世界の食糧・農業システムを根本的に変える必要があります。

農村部には男女を問わず、自分たちの土地で生計を立てられなくなり、働く場所を求めて都市への移住を余儀なくされる人々が多くいるのです。

SDGsの飢餓の問題を解決するための対策として「持続可能な農業の実現」が掲げられています。持続可能な農業とは、持続的に農業を行うことで安定した収穫・収益を確保できることを意味します。

食料・農業部門は開発課題解決の鍵を握るだけでなく、飢餓と貧困の根絶にも中心的な役割を果たすのです。

特に、農林水産業は適切な管理を行うことで、すべての人に栄養価の高い食料を提供し、適正な収入を生み出せるだけでなく、人間中心型の農村開発を支え、環境を守ることもできる可能性を秘めています。


2つ目の飢餓が起こる原因として挙げられるのが「食品ロス」です。国際連合食糧農業機関の報告書によると、世界では食糧生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。

日本でも、1年間に約600万トンもの食料が捨てられていて、日本人一人当たり、お茶碗1杯分のご飯の量が毎日捨てられている計算になります。
食品ロスは大きく分けると「事業系食品ロス」「家庭系食品ロス」の2つに分けられます。年間600万トンのうち、事業系食品ロスは324万トン、家庭系食品ロスは276万トンとなっているのです。

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参照:農林水産省HP

食品ロスは、日本人にとっても重要で対応可能な問題です。一人ひとりが食品ロスに対しての問題意識を持ち、まずは家庭系食品ロスをなくしていくべきだと考えます。

最後に3つ目です。飢餓を生む最もな原因として挙げられるのが「紛争」です。飢餓人口の60%は長い間紛争に苦しめられているシリアやイエメンなどの国に住む人々です。

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事実、国連が2017年に発表した報告書、「世界の食料安全保障と栄養の現状2017」によると、10年以上減少傾向にあった飢餓人口が増加に転じた主な原因が、紛争の拡大であると示されています。 この報告書では、2016年には世界の飢餓人口が前年の7億7700万人から8億1500万人に増加したと伝えています。お腹をすかせている人々の大多数が紛争に脅かされている国々に住んでいるのです。

参照:深刻化する紛争地域の飢餓

5. 飢餓への取り組み事例

事例1)日本は、2015年2月に閣議決定された「開発協力大綱」において、開発途上国の「質の高い成長」を通じた貧困撲滅や持続可能で強靱な国際社会の構築を重点課題とし、フードバリューチェーンの構築を含む農林水産業の育成や食料安全保障及び栄養等の地球規模課題の解決に必要な取組を行うなどしています。

この中で、短期的には、食料不足に直面している開発途上国に対して食料援助を行うとともに、中長期的には、飢餓等の食料問題の原因の除去及び予防の観点から、農業生産の前提となる品種開発や農業の生産性向上に必要な政策の立案支援、灌漑施設や農道等のインフラ整備、生産技術の普及・住民組織の強化等の支援など行っています。

そのほか、農村地域における農産物加工、市場流通や食品販売の振興等のフードバリューチェーン全体を視野に入れた支援も行っています。
参照:外務省 日本の取組

事例2)フードバンクの国とも呼ばれているアメリカでも、飢餓をゼロにする取り組みは盛んに行われています。フードバンクという言葉はあまり聞きなれない言葉ですが、「食べ物の銀行」という意味で全米各地域に200以上もあります。

それぞれの地域にフードバンクと連携した支援センターが数多くあるのです。支援センターでは、収入が少なく生活が苦しい人たちに1ヶ月に一度、家族2週間分の食べ物を支給しています。

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画像:CNN.co.jp

また、1960年代から行われているのが「フードドライブ」です。フードドライブとは、家庭で余っている食品を集め、食べ物を必要とする組織や個人へと繋ぐ活動のことです。この活動は誰でも気軽に参加することができ、SDGsに対する生活者の意識を高めることができます。

6. Open Sesameでの取り組み

弊社も、株式会社ボーダレスジャパン社のコンサルタントとして、JICA中小企業・SDGsビジネス支援というスキームを用い、貧困農家の所得向上と健康改善のための無農薬ハーブ及び雑穀等生産・販売ビジネス調査(SDGsビジネス)を行いました。

↑ SDGsの目標2に資するソーシャルビジネスとしての事例のひとつですので是非ご覧ください。

もし、JICAなどのスキームを用いて資金援助を受けながら海外展開をしたいという方がございましたら、こちらよりお問い合わせください。

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