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【いちご通信#2】         「はるおくん」~心の旅~

 先日ふと「はるおくん」のことを思いだした。「はるおくん」と言うのは長男(30代)の同級生のニックネームだ。本名も素敵なのだが、中学生の頃同級生からなぜか「はるお」と呼ばれていた。そのうち先生からも「はるお」と呼ばれるようになり、みんなから愛されていた。ニックネームの由来を長男に尋ねてみたことがあるが、いつの間にか誰かが呼び始め浸透していったらしい。まだ学校内でやあだ名や呼び捨てが許されていた時代。「はるおくん」は野球が大好きな少年だった。

 「はるおくん」と長男はそんなに親しい間柄ではなかったが、彼のお母さんと私は学校行事で会えば会話をしていた。彼がどれだけ野球が好きなのか、お母さんから聞いたことがある。学校では部活動に打ち込み、家に帰っても毎日素振りや練習をして、購入する本は全て野球に関するもの、とにかく彼の24時間は野球一色で幼い頃から野球が大好きなのだと話していた。それは高校生になっても続いていた。

 長男とは別の高校に進学した「はるおくん」だったが、たまたまお会いした彼のお母さんに卒業後の進路を聞いて驚いた記憶がある。彼は看護師になる為の進学を選んだ。看護師をしていたお母さんが患者さんとの関わりや、仕事の楽しさを毎日のように話していことが選択の理由だったようだ。その後風の便りで「はるおくん」は看護師になったと聞いた。「はるおくん」の中にあった野球は何処へ行ったのだろう?幼い頃から高校まで野球に打ち込んでいたが、思い残すことなくやりきったからだろうか?ほんの少しその頃の彼に尋ねてみたい気持ちになった。


何をしても続かない子どもの頃の僕は
「これぞってモノ」って聞かれても
答えに困ってた
そんな僕にでも
与えられたものがあると言うんなら
迷い立ち止まった自分自身も
信じてたいな
*映画『ドラえもん のび太の恐竜2006年』主題歌
スキマスイッチ「ボクノート」の歌詞より

 私はこの歌のような子ども時代を過ごしそのまま大人になった。「これぞってモノ」をいつも探しては、やってみて、失敗して、また探してはやってみて・・・そんなことの繰り返しだった。天職や天命という言葉に惹かれるように働いていたこともあった。それも一旦脇に置いてみた。今は一つのことに打ち込む生き方もありだと思うし、私の様な生き方もありだと思っている。ただその人にとっての歩む道があるだけなのだ。もっと自由でいいのだと感じられるようになったら、自分の心の声がはっきりと聴こえるようになった。

「はるおくん」は今どうしているだろうか。
「ばっちこーい!」
「おー!」
人はみな誰でも心の旅をしている。
自分の探しているものは
自分の心だけが知っているのだ。







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