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カスタマーサクセスの青本を要約する~原則③顧客が期待しているのは大成功だ

カスタマーサクセスを勉強しようと思ったときに、最も有名でおすすめされる本は「カスタマーサクセスの青本」だと思います。

しかし、このカスタマーサクセスの青本、翻訳のせいなのか少し内容がわかりにくいです。
実際のカスタマーサクセス業務を行っている方に向けて、本の内容を要約・解釈しわかりやすく表現する必要があります。
そこで、「カスタマーサクセス10の原則」の主要なものを取り上げ、カスタマーサクセスの現場で役に立つノウハウをお届けします。

▼カスタマーサクセス10の原則:解説記事をリンクでまとめております

顧客が期待しているのは大成功だ

書籍の中では、顧客が製品を購入するのは「顧客の事業目標を達成したいから」だと、顧客にとっての成功とは顧客社内にある目標達成であることを強調しているようにも伺えました。
これは私の所感ですが、実は顧客社内にある目標を正確に理解しているカスタマーサクセス担当は少ないのでは?と思います。
顧客の成果目標は主に3つに分かれます。

顧客の「成功」とは

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顧客の事業の目標。そして職能部署(営業、マーケティング、財務、開発など)の目標、最後に個人の目標(MBOなど)です。

・あなたのMBOは何を設定していますか?
・あなたは何を目標に日々業務をしていますか?


関係値が浅い状態では、上記のようなストレートな質問はなかなかしづらいと思います。しかし、まずこれを把握しなければ、顧客は何を目標にしていて、どんな期待値を持っているかがわかりません。
顧客に目標に応えてあげることが「成功(=カスタマーサクセス)」
です。

顧客の「『大』成功」とは

しかし、本書に書かれているのは単なる成功ではなく「大成功」です。
この「大」という表記がポイントです。
Gainsightはカスタマーサクセスの原則を「CS=CO+CX」と唱えています。

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「顧客の成功」とは何でしょうか?
そうです、顧客の目標や期待通りに成果が出ている状態です。

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では「顧客の大成功」とはなにか。

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上記の通り、単に成果が出ているだけにとどまらず、その過程、プロセス、体験が素晴らしいものになっているということ。これが顧客の「大成功」なのです。

顧客とのTrail(トレイル)

以前に書いた記事でSalesforceのカスタマーサクセスを紹介しましたが、その中でSalesforceのトレーニングサイト「トレイルヘッド」について触れました。

この「トレイル」というネーミングがバッチリだなと思いまして、SaaSの導入に限らず、何らかの事業成果を出すためには、それ相応の努力をしなければなりません。

そこに至る道程の中で辛く大変なことはたくさんあるでしょう。
その苦労や大変さを軽減してあげて、モチベーション高く最短距離で成功まで導いてあげる取り組みがカスタマーサクセスだと思います。

カスタマーサクセスを妨げるビルドトラップ

これはカスタマーサクセス青本に記載されている内容ではありませんが、ITのプロダクトを持つ企業は一般的に「ビルドトラップ」を起こしやすいです。

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ビルドトラップとは、何かを作る・何かをすることに集中してしまい、顧客のアウトカムを生み出していない状態です。全く使われていない機能を作っている。特に喜んでもいないサービスをしてしまっている。といった悪循環を指しています。

たくさんの機能があるということは、それだけ顧客が成功に向かっていくうえでの道筋が長くなってしまうということでもあります。

会社組織にいると、ついつい「お客様のためにもっと貢献したい」「上司に評価されたい」と新たな製品機能やサービスを付け加えていきがちです。
しかし、「顧客の大成功」という見方で考えたときに、「これは余計な道草を食わせてしまうのではないか?」と立ち止まるべきときもあります。
顧客が期待するアウトカムと、そこに至る道程を考えることはバランスゲームでもあるのです。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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藤島 誓也:Twitterアカウント
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