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新たなカスタマーサクセス製品CustomerCore(カスタマーコア)。カスタマーサクセス市場開発の挑戦

本日は、国内で生まれた新しいカスタマーサクセス製品「CustomerCore(カスタマーコア)」の事業責任者をしている株式会社リンクの内木場さんに、製品コンセプトや競合となるHiCustomerとの違いなどをヒアリングした内容を記事にしました。
カスタマーサクセスの新しい製品や、データ周りの話に興味のある方はぜひご一読ください。

株式会社リンクは、コールセンターシステム首位の「BIZTEL」などで有名なIT企業です。内木場さんは温厚ながら実力とベンチャーマインドを持ったお人柄で、とても楽しくお話することができました。

■「CustomerCore」は、ハイタッチのカスタマーサクセス担当のデータ活用を支援する

CustomerCoreの内木場さんからは、テストマーケティングで様々な企業にヒアリングをする過程で、上場している有名なSaaSベンダーはカスタマーサクセスの「データ」の取り組みに先進的なチャレンジをしている一方、多くの会社のカスタマーサクセス担当はデータ活用はまだまだ全然出来ていないとの顧客の声を聞くことが多かったそうです。

日本のSaaSベンダーはまだまだ設立2~3年の会社も多く、カスタマーサクセスも専門チームができて1年ちょっとです、といった会社も多いので、データ周りの投資(例えばヘルススコアなど)はたしかに手が回っていない印象があります。

また、分析は出来ていても過去のデータで、「リアルタイム分析」すなわち今の各アカウントのリアルタイムの動きのキャッチアップとなると、なかなかそこまで出来ていないとおっしゃっていました。

■「CustomerCore」で実現するのは顧客状態変化のリアルタイム把握と自動化

CustomerCoreは、カスタマーサクセスの方が簡単にデータ分析が出来るような機能を実装し、様々なデータソースを一つのダッシュボードにまとめることが可能です。

ただ、これは私自身も思ったのですが、「単にデータの可視化をするのはBIやSalesforceで出来るのでは?」というツッコミはお客様からも頂いているようです。ヘルススコア系ツールの解約理由は「BIがあるから」という理由も多くあるのですが・・・

上記のように思っていたところ、内木場さんが教えてくださった内容は、非常に納得のいくものでした。
「例えばBIやSalesforceで月次でデータを貯めた場合に、どのアカウントにどんなアプローチをするかは、目視で各データをチェックしてアプローチ~となります。
CustomerCoreはその作業自体の自動化、つまりデータの監視やアラートについてもシステムのロジックを組んで自動的に行えるようにして、カスタマーサクセス担当のレポート確認業務を抑えるUXを設計されているんです。」とのこと。

アラート

たしかに、レポート作成、レポートチェック、アカウントのフォローはやり出すとかなり時間を食ってしまいます。カスタマーサクセスのデータ分析をする製品を選定するときに、カスタマーサクセス担当者が業務時間を減らせるものなのか?は重要なチェック項目だと思いました。

■CustomerCoreの核となる「解約予測」機能

CustomerCoreで凄い!と思った機能は、単なるカスタマーサクセスのデータ可視化に留まらず、集まったデータを元にした解約予測の機能が既に実装されていることです。
仕組みとしては、CustomerCoreに様々なデータソースを含めることが出来るので、1企業アカウントに対して20〜30の変数を同時に管理することが可能で、その多くの変数から機械学習・統計処理を行うことで解約可能性をシュミレートできるようになっています。
内木場さん曰く「2〜3の変数を用いた3次元の分析くらいまでなら人の力で出来るが、それ以上の変数を用いて分析しようとするならツールの力が必要です。対外的にはAI分析機能とわかりやすく呼んでおり、CustomerCoreの特徴的な機能です。」とのことでした。

海外でも同じような統計による予測機能が実装されているカスタマーサクセス製品はあるのですが、海外ツールだと日本語の文字列は処理することが出来ないし事例もないと思います。このように日本の製品で本格的なデータによる解約予測の機能を実装したことは業界としても素晴らしいことだと思いました。

しかし、「解約予測の精度を高めるには、過去の解約データ2~3年はあったほうが高い精度となるため、まだマーケットに出すのは早すぎるんですよね」と内木場さんは語っていました。そのため、SaaSベンダーは今のうちに解約データと解約に起因する変数を貯めれるよう綺麗にデータを整備しておくべきですね。

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■CustomerCoreの副産物である「解約に寄与する重要変数の発見」

解約の予測が出来るということは、すなわち「何が解約に繋がる変数なのかを導き出す事ができる」と同義です。
CustomerCoreの他社にはないもう一つの機能は、何が解約に最も起因しているのかの変数発見できる「重要変数の可視化」と、その重要変数となる特定の変数をモニタリングしていくことが出来る機能です。

契約詳細(カスタムレポート)

私の知人でGainsightを導入している方がいるのですが、その方が大変だと言っていたのはヘルススコアの設計の際に、「何の変数に何点をつければいいかわからない」とのことでした。何度も何度も相関分析をしながら変数発見に時間をかけて苦労している様子でしたので、そもそもカスタマーサクセスの重要変数はなにか?を見つけれる機能は確かに重要だと思いました。

HiCustomerやPottosなどヘルススコア製品がある中で「CustomerCore」はどう差別化していくのか気になっていたのですが、このようなデータを処理する専門的な機能は国内の類似製品の中でも群を抜いていると感じました。

■先行するカスタマーサクセスベンダー「HiCustomer」との違い

いわゆるヘルススコア構築のためのカスタマーサクセスベンダーは「HiCustomer」が先行していましたので、ストレートにCustomerCoreはどのあたりで違うんでしょうか?と聞いてみました。

「大きくポジショニングが異なる部分は、先ほど説明したAI/機械学習を活用したデータ周りの機能に投資しているところです。しかし、大枠の機能は変わらないので、細かい機能やUXの差になってきています。ここのUXには私も”こだわり”がありまして・・・(略) HiCustomerはカスタマーサクセスの市場を切り開いたマーケットリーダーです。弊社は彼らが切り開いたマーケットの道路整備ができればと思っています。」

「またデータ接続についてもこだわっているところです。APIベースでの接続ももちろん行えるのですが、CSV連携や外部コネクタ活用など、非技術者でもデータ接続ができる仕組みについても作り込みをしています。意外とCSVはビジネス現場ですぐ使えるので人気がある接続方法ですね。」

CSVアップロード

たしかに、前述いただいたデータの機械学習系の機能は今後も強化されていく差別化ポイントなんだろうと思いました。またCSVでの接続がなんだかんだで人気がある、という話は興味深かったです。手元でさっと出来るので、想定していた以上に意外と使われるようです。

■UIを含む製品開発のこだわり

内木場さんのご経歴は興味深く、もともとは広告制作やクリエイティブプランニングの畑の方ですので、マーケターあがりの私とも近しいキャリアに感じました。

リンク社に入られる以前は、大手広告代理店とともに、女性アーティストのデジタルコンテンツやそのUX設計などをされており、広告マーケティング業界のバックグラウンドがある方です。

CustomerCoreのサイトデザインや製品UIを拝見した率直な感想は、(失礼ながら)歴史ある会社に対して、非常にモダンなデザインだなと思いました。

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実際に顧客からのUI/UXの評判は良いらしく、デザイナーと協働しながら細かい制作も内木場さんが管轄されていらっしゃるとのことでした。
弊社openpageも、どちらかといえばプロダクト開発にこだわりのある経営チームですので、この点も非常に共感できるところがありました。

■カスタマーサクセスという「新市場」を作る会社の”諦めない力”

弊社openpageも、日本では生まれたばかりのカスタマーサクセスという市場に向き合っているのですが、内木場さんにはこのように語っていただきました。

新しい市場開発には時間がかかります。BIZTELという製品を立ち上げた際も、クラウドPBX(クラウド型電話交換システム)やCTI(コールセンターシステム)というカテゴリ自体が一般的でない中で、しぶとく生き残りマーケットを作ってきました。他社がキャッシュが続かずに撤退していく中で事業化していくということは元々会社として得意なんです。現在はBIZTEL含め他製品のキャッシュカウがあることが強みの一つ。カスタマーサクセス分野も、市場形成においては短期的な売上を追わずに、長期的に市場とお客様に向き合いたいと思います」

実は私は、内木場さんとお話する前に、日本市場でヘルススコア製品が今後も市場参入していくだろうと予想していまして、どこが一番勝ち残るのか?を考えたことがあります。私の見込みでは、コールセンター市場での顧客基盤がある(つまり製品シナジーがある領域で首位にいる)かつ、キャッシュカウがあり、広告宣伝や製品開発を適切なタイミングで実行していけるリンク社(CustomerCore)が最もうまくいくのでは、と思っていました。
今回直接お話を聞いて、よりその気持ちが高まりました。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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藤島 誓也:Twitterアカウント
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