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カスタマーサクセス組織のつくりかたー組織図、採用、ツール、ステップの考え方

openpage代表の藤島です。openpageでは、支援内容としてカスタマーサクセスの組織作りを支援・コンサルティングすることもあり、「カスタマーサクセス組織」に関するノウハウが溜まってきました。
本記事では、カスタマーサクセス組織を作り、改善していくにあたっての方法や考え方について紹介したいと思います。

※カスタマーサクセスの新規取り組み、デジタル化、効率化、スケールをご検討の企業様はお気軽にご相談ください!

①カスタマーサクセス組織のつくりかた:カスタマーサクセスの組織図

カスタマーサクセスの組織図をつくろう

カスタマーサクセスの組織を構造的に考えるには、すでに機能している他社の組織図を見習うのが一番早いです。
私が国内で一番参考にしているのは、SmartHRのカスタマーサクセス組織です。

SmartHR カスタマーサクセス 2021 〆

こちらは、2022年1月時点のSmartHRのカスタマーサクセス組織図です。
大枠は、「地域」、「対象顧客規模」「顧客担当 or バックオフィス担当」「事業部」というくくりが存在しているのがわかります。
※なお、その他の分け方としては、プロセス、契約金額、タッチチャネルといった区分の方法もあるでしょう。

地域別のカスタマーサクセス組織

SaaS製品の事業規模が拡大すると、顧客のエリアが関東から大阪、名古屋、九州、北海道など他の都道府県にまたがってきます。これにあたって地方で支社を立ち上げ、支社内でセールスとカスタマーサクセスの組織を組成するということが発生します。

対象顧客規模別のカスタマーサクセス組織

はじめはSMB(中小企業)対象であった製品がエンタープライズ(大手企業)対象に拡張していく。ないしはその反対に対象が広がる、ということがベンチャーの事業では起こります。
これに際して、エンタープライズは年齢がシニア、大手企業出身、コンサルティング企業出身といった対企業の交渉力がある人材でチームを固めるようになります。

顧客を担当するカスタマーサクセス組織

組織のはじめのカスタマーサクセス担当は、すなわち顧客対応担当で、営業担当のように1人あたり30~50社ほどの顧客窓口となるケースが多いです。
しかし、顧客の数は、数百・数千と増えるにしたがって、フォローアップしなければならない顧客の人数が指数関数的に増えていくため、フロントで窓口となる担当とは別に、社内の業務効率化を支援するカスタマーサクセスのバックオフィス系のチームが必要となってきます。

社内の業務効率化/ops/イネーブルメントを担当するカスタマーサクセス組織

カスタマーサクセスの組織規模が多くなってくると、業務効率化やカスタマーサクセスチームの提案水準の維持・向上などを図るためのバックオフィス担当が必要となります。
このチームは、SFA/ヘルススコアの導入、テックタッチの対応、業績モニタリング、チームの育成といった企画職・社内サポート職を担います。

②カスタマーサクセス組織のつくりかた:カスタマーサクセスの採用

カスタマーサクセスの採用を戦略的に考える

では、上記のような組織・チームにはどのような人材をアサインするのが適切なのでしょうか。私が自身のチーム組成、他社支援をしている中で下記のような職種の人がカスタマーサクセス職として採用されていました。

営業職、カスタマーサポート職、CRM職、導入コンサルティング職、編集職、PM職、営業企画・経営企画職

なぜカスタマーサクセス経験者以外から採用をしているのか?といえば、カスタマーサクセスの求人が生まれたのは2010年代の後半からであるため、採用市場に十分なカスタマーサクセスの経験者が少ないからです。(2022年現在、カスタマーサクセスの求人が出始めて3年程度が日本では経っているので、少しずつカスタマーサクセス経験者が転職活動を始めだすかもしれません)

そのため、カスタマーサクセスどんぴしゃの経歴ではなく、カスタマーサクセスに親しい職種を何らか経験している方を各分野で採用していく、という組織の作り方になります。

こちらの記事にある通り、カスタマーサクセスとは様々ある職種と類似している点があり、カスタマーサクセス組織に必要な役割に応じて近い職種の人材を採用することが可能です。
下記のような出身者をカスタマーサクセス部門で採用する・異動することでカスタマーサクセス組織を大きくスケールさせる事ができます。

営業職出身者

顧客に製品の価値を提案する、課題を解決するための方策を提案する、といった業務は営業に近い点があり、顧客窓口の担当として営業職からカスタマーサクセスへ採用するケースは多いです。

カスタマーサポート職出身者

顧客の不満を解決する、トラブルに対応する、といったカスタマーサポートの職種もカスタマーサクセス職に近しいです。

マーケティング・CRM職出身者

マーケティングのうち、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マーケティング)は、LTVを高めるための中長期のコミュニケーション施策を設計する仕事のため、カスタマーサクセスのテックタッチ・ロータッチの分野で活躍できます。

導入コンサルティング職

ITや研修など法人組織に対して個社別に導入コンサルティングする仕事は、カスタマーサクセスの仕事ほぼそのものです。主にエンタープライズ向けのカスタマーサクセスで重宝されます。

編集職

カスタマーサクセスのロータッチ・テックタッチは、コンテンツによるカスタマーサクセスと言ってもよいです。サイト、イベント、メール、メディアなどは編集者のコンテンツ構築能力が活きるため、採用したい人材です。

PM職

大手企業向けの製品、機能が複雑な製品の場合、顧客導入に向けたプロジェクトマネジメントの業務が発生します。そのためSIのPM(プロジェクトマネージャー)もカスタマーサクセス業務に向いています。

営業企画・経営企画職

ベンチャー企業として上場を目指す過程で、業務プロセスや予実管理の体制を構築していく必要があり、カスタマーサクセスの業務や予算の設計で採用が必要になります。

③カスタマーサクセス組織のつくりかた:カスタマーサクセスのツール

カスタマーサクセスの生産性をITツールで高める

カスタマーサクセス組織をつくるうえでは、各種ITツールの導入も不可欠です。
※米国ではいかにスマートなデジタル環境がカスタマーサクセス部内に導入されているかが、求職者に選ばれるポイントにもなっているようです。

SFA(セールス管理システム)

カスタマーサクセスにおいては、契約の継続が目標指標(KGI/KPI)となるため、顧客契約の情報を管理するSFAの導入は必須です。

カスタマーサクセスの計測環境(ヘルススコア、BIなど)

顧客の状況を理解するうえで、個社ごとの製品利用状況を理解するためのツールが必要になります。いわゆるヘルススコアツールや、BIツールです。

カスタマーサクセスのデジタルチャネル(サイト、メールなど)

テックタッチを進めていくうえでの、サイト構築システムやメール管理システムです。WEBサイトやメールコンテンツを顧客に視聴してもらうことで、窓口案内のコストを効率化します。

カスタマーサクセスの生産性向上(イネーブルメント、ストレージ、メール、日程連絡など)

ハイタッチでカスタマーサクセスを行うチームの業務生産性を上げるためのツールです。WEB会議、LMS(ラーニングマネジメントシステム)、ファイルのストレージ、日程調整システムなど顧客対応業務の効率を高めるためのものです。

カスタマーサクセスのフレーム(カスタマージャーニー、マチュリティモデル)

こちらはITツールではないのですが、社内のフレームワーク・共通言語として「カスタマージャーニー」や「マチュリティモデル」を持つと生産性が上がります。本記事では説明を割愛するのですが、カスタマージャーニーはマーケティング領域で複数のテンプレートが普及されており、マチュリティモデルはTHE MODELに掲載されています。

④カスタマーサクセス組織のつくりかた:カスタマーサクセスの成熟ステップ

カスタマーサクセスの体制を順序立てて設計する

【ステップ1】まずは営業、カスタマーサポートに近い泥臭い顧客対応から始める

カスタマーサクセスの事始めは、まず契約顧客に対人で向き合うことからスタートします。

【ステップ2】徐々にカスタマーサクセス業務の型化、言語化を進める

オンボーディング業務、製品利用にあたってのテンプレート、製品利用ノウハウのドキュメント、成功事例などを言語化し、カスタマーサクセスチームが属人化しないようにします。

【ステップ3】カスタマーサクセス担当の育成環境、デジタル用チャネル、計測環境を整える

カスタマーサクセスチームのスケールに対応するため、育成の仕組みや、デジタルチャネル(サイトやメール)、製品利用状況の計測環境などを整えていきます。

【ステップ4】編集、マーケティング人材によりカスタマーサクセスコンテンツ強化

カスタマーサクセスをより多くのユーザーに届けるため、カスタマーサクセスとして口頭で伝えていた内容をコンテンツとして整備し、デジタルのチャネルやイベントなどで顧客にお伝えします。

【ステップ5】ops職、企画職を採用し、パイプライン、会議帯、現場ツールなど現場効率化

カスタマーサクセスの専門的なバックオフィス職をチームに加え、顧客のステータス管理や、予算設計、ITツール導入などを整備します。

※こちらのステップは資金調達のフェーズとも絡みます。下記参考記事を共有します。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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