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カスタマーサクセスの青本を要約する~原則⑩トップダウンかつ全社レベルで取り組む

カスタマーサクセスを勉強しようと思ったときに、最も有名でおすすめされる本は「カスタマーサクセスの青本」だと思います。

しかし、このカスタマーサクセスの青本、翻訳のせいなのか少し内容がわかりにくいです。
実際のカスタマーサクセス業務を行っている方に向けて、本の内容を要約・解釈しわかりやすく表現する必要があります。
そこで、「カスタマーサクセス10の原則」の主要なものを取り上げ、カスタマーサクセスの現場で役に立つノウハウをお届けします。

▼カスタマーサクセス10の原則:解説記事をリンクでまとめております

トップダウンかつ全社レベルで取り組む

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カスタマーサクセス10の原則、最後の原則はGainsight社CEOであるニック・メータ氏による章です。
本章は最終章にふさわしい内容で、これまで説明した10の原則のまとめにもつながる内容です。

カスタマーサクセスは新たな企業活動の「核」

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冒頭では、カスタマーサクセスについて「製品を作る」「製品を売る」に並ぶ第3の核が「カスタマーサクセス」であると説明されます。

カスタマーサクセスの原則をこれまで読んできた方であれば、この主張に異論はないでしょう。作って売るだけではダメで、カスタマーサクセス(実際に利用して、成功する)の状態に導かなければならない時代が今なのです。

なぜ、今がそのような時代なのか。これはカスタマーサクセスの青本よりも、Gainsightが発表で使っているスライドを参考にしたほうがわかりやすく理解できます。

これまでのビジネスモデルは破壊される

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こちらは、「これまでのビジネスモデル・企業運営のスタイルは破壊される」という主張のスライドです。

まず第一の波として、「クラウド」が誕生しました。オンプレミス(1社1社自社サーバー内にソフトウェアを構築する)の時代と比較すれば、顧客は自由に製品の選択をすることができるようになりました。
第二の波は、「ソーシャルメディア」の普及。顧客は企業がマーケティングをせずともSNSを介して自身で情報収集をします。いくら企業がマーケティングに力を入れても、ひどい製品はすぐに悪評が広がります。
第三の波は、「サブスクリプション」の登場。これにより、初期費用を大きくかけることなくIT製品を利用することが出来るようになり、導入・利用のコストが下がりました。それはすなわち、気軽に試して気軽に辞められる時代になったということです。

これらの時代の変化から、製品を売って終わりではなく、顧客が成功する(≒カスタマーサクセス)ことに企業は責任を追わなくてはいけなくなったのです。

カスタマーサクセスの範囲とは?

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また、タイトルにある「トップダウンかつ全社でカスタマーサクセスをする」とはどういうことでしょうか。
一般的に、SaaS企業のカスタマーサクセス職能を担う方々であっても、カスタマーサクセスの仕事の範囲は上記の図のように考えているのではないでしょうか。

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しかし、筆者の主張は異なります。
カスタマーサクセスは一部署に偏った業務ではなく、全ての部署が担うべき責務なのです。
Gainsightのニック・メータ氏は、一部の部署のみがカスタマーサクセスを行っている状態は「組織のサイロ化に陥っている」と明確に非難しています。

トップダウンかつ全社でカスタマーサクセスをする

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カスタマーサクセス10の原則を1からすべて読んで頂いた方は、「10の原則をすべて行うにはカスタマーサクセス部署だけでは完結が出来ない」と気づくはずです。

例えば・・・
原則①「正しい顧客に販売しよう」は、誤った顧客には販売しないような営業マーケティング部署との連携が必要となります。
原則②「顧客とベンダーは何もしなければ離れる」原則⑧「顧客の指標を深く理解する」で述べられていたLTVの発想で事業を行うには、請求方法をサブスクリプションモデルに変更しなければなりません。
原則⑥「本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ」で説明のあった開発リソースの管理は、プロダクト開発部門と協業することが前提の話です。

部署をまたいで意思決定する権限は、経営トップにしかありません。
「トップダウンかつ全社でカスタマーサクセスをする」とは、カスタマーサクセスという思想に基づいて会社を経営しようという、経営者への提言でもあるのです。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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藤島 誓也:Twitterアカウント
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