『公務員の逆襲』/時事ニュース


「公務員の逆襲」―――。
週刊ダイヤモンド7月27日号が刺激的な見出しを付けた特集を組んでいる。かつては選良と呼ばれた中央省庁の官僚や、地方のエリートが集まる都道府県庁職員。
一体彼らに今、何が起こっているのだろうか-----


 社会のハラスメントに対するコンプライアンス意識の高まりで、ここ数年、著名人のパワハラ、セクハラ、モラハラ疑惑やそれに対する批判は枚挙にいとまが無い。それは公務員や議員と言った公職にある人たちとて例外ではないことは、今更言うまでも無いだろう。
最近も関西の某知事に対するパワハラ告発や、大御所芸能人までも実名登場した北海道選出の国会議員の威圧的な言動などが、週刊誌やワイドショーだけでなく、大手メディアに取り上げられている。
 そんな時代の空気を敏感に感じ取ったのが、週刊ダイヤモンドの今回の特集である。
この特集、なんともすごいのが現役の中央省庁、地方県庁職員970人を対象に、アンケート形式で本音を引き出しているところ。「地方公務員が決める働きがい都道府県ランキング」「役所OBOG社外取締・報酬ランキング」など一見、当たり障りのない内容も掲載しているが、なんと言っても読者の目を引くのが「パワハラランキング」。
上司からの被害、政治家からの被害といった項目別に、どの省庁でパワハラ率が高いだとか、あの政治家、あの政党が威圧的だという公務員の本音をランキング形式で実名告発している。
 その内容たるや「自民党のパワハラ四天王」「ワースト県庁で殴る蹴るも」と刺激的な内輪話が並ぶのだから、読者の興味を引くだけではなく、関係者は首筋がひやりとしたことだろう。
さすが、新聞、雑誌の「活字不況」が当たり前になる中で、良質な企画とスクープで生き残ってきたダイヤモンドである。
 探偵がこの特集を読んだのは、長年付き合いがある大手企業の中堅社員から勧められたからなのだが、その中堅社員も今回の特集では首筋がヒヤリとした1人なのだという。
彼は「今の若手は、少しでも厳しいことを言えば、パワハラと受け取れかねない。こちらが良かれと思って親身になっても、言葉だけが切り取られて上司に告げ口されることもあります。特集を読んで身につまされました」と困惑していた。
 その言葉から、確かに今回の特集は「変容する社会で自分自身がどう変わるべきか」――という、公務員のみならず全ての組織人に対する問題提起になっているのだと、実感せずにはいられない。

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