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映画レビュー「ベイビーわるきゅーれ」(2021)

同年の映画「ある用務員」からのスピンオフ。たくさんの殺し屋達に命を狙われる女子高生を守る男の闘いを描いた「ある用務員」は「殺しの烙印」(1967)「スモーキン・エース」(2006)のような殺し屋のバトルロイヤルって感じで最高に面白い映画だが、自転車に2人乗りでやってくる女子高生ペアの殺し屋が今回の主人公。

しかし今回は殺しの部分だけでなく、高校を卒業した私生活がコミカルに描かれキャラクターをより深みのある魅力的なものにしている。

殺し屋と言えば日本人なら「ゴルゴ13」が思い浮かぶがデューク東郷の私生活は謎に包まれている。殺し屋の普段の生活を描くのは「ある殺し屋」(1967)やテレビドラマの「必殺仕事人」シリーズくらいでとても珍しい。

この映画はさらに第2弾「ベイビーワルキューレ2ベイビー」から今秋に第3弾も公開され、BSテレ東でも連続ドラマ化される。オリジナル脚本としては大ヒットのシリーズである。設定やキャラクターなど目の付け所も面白いが、このシリーズに説得力を持たせるのは金髪のコミュ障まひろを演じる伊澤彩織のアクションだ。スタントパフォーマーとしても活躍する彼女のアクションが無ければ、この映画自体が成立しない。

他の映画ならアイドルや女優の付け焼き刃的なアクションでは男を倒せるわけがないと思うところに、屈強な男の暗殺者も殺せるという説得力を持たせる伊澤なくして、この映画も連続ドラマもあり得ない。肉弾戦も銃の扱いもとにかく速いし強いし上手い。伊澤さんの今後の活躍を祈ります。

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