セールスイネーブルメント(Sales Enablement)
セールスイネーブルメント
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、セールスチームの効率と生産性を高めるための戦略、プロセス、スキル、コンテンツの統合といった総括的な取り組みです。
セールス担当者の教育やセールスコンテンツの制作、営業ツールの導入、セールスプロセスの改善など各施策を実施して、営業活動への貢献度を数値化します。
セールスイネーブルメントは、セールスプロセス全体を通じて、セールスチームのパフォーマンス強化と成果を最大化することを目指しています。
マーケットについて
セールスイネーブルメントの市場規模は世界でも日本でも伸び続けています。
世界のセールスイネーブルメント市場は2030年までに79億ドルに達する見込みだと推測されています。
セールスイネーブルメント・プラットフォームの世界市場は、2022 年に 21 億米ドルと推定されており、2030 年までに修正後の規模は 79 億米ドルに達すると予測されており、2022 年から 2030 年の分析期間にわたって 17.7% の CAGR で成長する見込みです。
レポートで分析されるセグメントの 1 つであるプラットフォームは、16.5% の CAGR を記録し、分析期間の終わりまでに 46 億米ドルに達すると予測されています。コロナウィルスによるパンデミック後の継続的な回復を考慮すると、サービス部門の成長は今後 8 年間の CAGR 19.6% に修正されると見込まれます。
※Research and Markets参照
セールスイネーブルメントの取り組み
セールス担当者の教育
セールスイネーブルメントを導入することにより、セールス担当者の成績や営業手法を可視化することができます。
成績優秀なセールスメンバーが顧客獲得のためにどのような営業活動をしているかを把握えきるため、それらを共有して組織のボトムアップを図ることができます。セールスコンテンツの作成/共有/管理
セールス組織を強化するために、商談時に顧客へ提示するセールスコンテンツ(提案資料)を作成します。
そして、セールス担当が必要なタイミングでセールスコンテンツを取り出せるよう、クラウドサービスなどんい保管しておき、いつでも使用可能な状態を作ります。SFAやCRM、MAの活用
セールスイネーブルメントではSFAやCRM、Maを活用してデータの収集を行います。
小規模なセールス組織ではExcelやスプレッドシートで関数やマクロを使用してデータ収集を行っているケースもあります。
各ツールで蓄積される顧客データを一元管理することで、どの施策が効果を発揮しているのか、どの施策が上手くいっていないのか、効果を検証しやすくなります。
定量的な数値を検証しながらPDCAを回し、売上の増加に結びつけていきます。
セールスの全体像
まずは、上記の図から「セールス全体像」を掴んでいただければと思います。
セールスの大きな流れとして、「リード獲得」「商談化」「契約獲得」「顧客フォロー」の4つのフェーズがあります。
その上で各部門(マーケティング, インサイドセールス, フィールドセールス, カスタマーサクセス)がフェーズに合わせて対応を進めます。
パートナーセールスは全体を通して関わっており、全体管理としてリソースとパフォーマンスのマネジメント必要となってきます。
それぞれの部門について解説していきます。
マーケティング
マーケティングとは
マーケティングは、企業や個人が市場において価値を提供し、顧客との関係を築き、維持するための包括的なプロセスです。その核心には、顧客のニーズや欲求を理解し、それに応える製品やサービスを提供することがあります。
広義のマーケティングは、単にリードや商談を獲得することだけではなく、顧客の購買旅行(カスタマージャーニー)全体を通じて、顧客とコミュニケーションを取り続けることを指します。これには、リードが生まれる前の段階から始まり、リードが見込み客になり、最終的に購入に至るまで、さらには購入後のフォローアップやリピート購買へと繋がるプロセス全体が含まれます。
また、マーケティングの中にもさまざまな種類や属性が存在します。
BtoBのセールスにおいて主に起用される手法は下記の3つが多いです。
・デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは、メールマーケティングやCRMなど、デジタルを活用したマーケティングを指しますが、その中にWebサイト(コーポレートサイトやECサイト、LP)やSNS、Web広告を駆使して実施する「Webマーケティング」が内包されています。
・Webマーケティング
Webマーケティングは、ウェブサイトを中心に展開するデジタルマーケティングの一形態です。SEO、コンテンツマーケティング、オンライン広告などを通じて、オンラインでの見込み客獲得に注力します。
・コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、有益なコンテンツを提供することで、顧客の関心を引きつけ、関係を構築するマーケティング手法です。ブログ記事、動画、インフォグラフィックなどがこれに含まれます。
本記事では、Webマーケティングにフォーカスして解説します。
Webマーケティング戦略の立案
Webマーケティングを成功へ導くには、効果的な基本設計が不可欠です。
マーケティングプロセスは単にリードを獲得することだけではなく、顧客との長期的な関係を構築することも目指します。このためには、顧客のライフサイクル全体を考慮した設計が必要です。これには、初期のリード獲得から、ナーチャリング、購入、さらには顧客のリサイクル(リピート購買や推薦)に至るまでのフローを設計することが含まれます。
ペルソナ設定
ペルソナとは、マーケティングで活用される概念で、「自社製品・サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだもの」を指します。
詳細に定義したペルソナを用意することで、チーム全体が同じ方向を向いてマーケティングを行うための羅針盤として機能します。競合調査
競合のWebサイトや検索ボリュームの大きいキーワードを抽出し、他社の商品・サービスの特徴やターゲット、打ち出す訴求などを探ります。そして他社のポジションを明確にすることで、自社のポジションをはっきりさせていきます。
以下のフレームワークを使って競合分析を行うのが一般的です。
・業界環境を分析する「3C分析」
・内部環境と外部環境を分析する「SWOT分析」
それぞれ競合他社のサイトと自社サイトの強みや弱みをそれぞれ分析するのに用いられるフレームワークです。サービスの強み、課題の明確化
Webマーケティングでは、自社の強みを明確にすることが重要です。インターネット上には常に情報が掲載されており、ユーザーは「自分にとって役に立つ情報はあるのか」を判断します。明確で具体的な自社の強みをアピールすることで、ユーザーに見つけてもらいやすくなります。
自社の強みを明確にするには、経営者や担当者一人の視点で考えるのではなく、さまざまな立場の意見を取り入れて考えることが大切です。また、物事の一部ではなく全体像を見るために、マインドマップを作成するのもよいでしょう。目標設定
サービスの明確な強みを明らかにした後は、目標達成に必要な施策を検討し達成状況を把握するための指標を作成します。
目標に合わせて適切なKPIを設定し、KPIの達成状況を常に把握しながらWebサイトを運用していくことで、目標達成のための細やかな対策を打つことが可能になります。
個々のKPIは、Webサイトの大きな目標となるKGIや、その成功要因となるKSFがはっきりイメージできていないと設定できません。設定の際には、KGI達成のためには何が必要かを現状をもとに考えてKSFを設定し、その達成度を評価できるKPIを決めていきます。集客チャネルの設定
Webマーケティングにおける「チャネル」は、Webサイトへの訪問者がどこから流入してきたかという流入経路を指します。
・オウンドメディア:
自社サイト、公式SNS、SEO記事など
・ペイドメディア:
広告メディア(リスティング、ディスプレイ、展示会など)
・アーンドメディア:
第三者が発信するメディア(プレスリリース、ホワイトペーパー、セミナーなど)。
・シェアドメディア:
ソーシャルメディア(Facebook、Xなど)
Webマーケティングの業務
マーケティングの実務は、以下のようなポイントに注意しながら実行していきます。
データの分析/解析
リスティングやアド広告を使って自社サービスへの集客を行う際は、主にGA(Google Analytics)の数値を確認しながらデータの解析、分析を行うことが多いです。訪問者数はどのくらいか/どのような経路で流入しているか/どのページを最後に見て離脱しているか/どのデバイスから訪問しているのか、といった詳細な情報が把握できます。GAの基本的な使用方法は必ず押さえておきましょう。ナーチャリング強化
獲得したリードを成果に結びつけるため、貴重な資源を用いたナーチャリングの充実を目指しましょう。顧客ごとの最適なコミュニケーション時期や方法を計画し、その実行によりナーチャリングを推進しましょう。経路毎の費用対効果をモニタリング
マーケティング活動のROI(投資収益率)を最適化するためには、各マーケティングチャネルの費用対効果を定期的にモニタリングし、評価することが必要です。これにより、最も効率的なマーケティング戦略を特定し、調整することができます。PDCAサイクルを回す
各施策の効果をモニタリングしていくと、問題点や改善点が出てきます。課題に対する具体的な施策の実行や、ABテストなどを繰り返し、施策の効果を最大化させましょう。その上で、定期的に顧客ニーズの変化や競合の動向を見て戦略へ反映する必要があります。オウンドメディアやSNS運営
成果が出るまでのハードルは高いですが、やり切れたら強力なリード獲得に繋がります。サービスと親和性の高い自社のメディアを立ち上げ、自然に流入が獲得できる状態を作りましょう。立ち上げから成果が出るまで1 ~ 3年程度はかかるため早めに注力しておくことをおすすめします。
便利ツールと仕組み化
Webマーケティングを実行して行く中で、取り入れると業務効率が大きく改善されるツールや仕組みは様々存在します。
代表的なものを紹介しますので、参考にしてみて下さい。
問い合わせ内容をチャットに通知
多くの会社ではSlackやchatworkなどのチャットツールを使用していると思いますが、どれも便利なAPIが提供されています。
うまく活用することで、獲得したホットなリードに対して即座にアプローチなど、大きなメリットを享受できます。商談自動調整カレンダー
LPにフィールドセールスのカレンダーを埋め込み、スケジュール調整を自動化させましょう。電話がかかってくることを毛嫌いする方も多いので、有効な手段となります。MAツール(マーケティングオートメーション)
マーケティングオートメーションはMA(=Marketing Automation)とも略される、マーケティング活動を自動化させる仕組み、そしてそれを実現させるためのツールのことを言います。
利用する目的を明確にし、必要な機能、サポート体制を確認し、自社に合ったサービスを利用しましょう。
代表的なサービスは「Marketo」、「Hubspot」、「Marketing Cloud(Salesforce)」あたりではないでしょうか。資料 / デモアカウント自動メール送付
問い合わせと同時にユーザーに資料やデモアカウントを記載したメールを自動送付する仕組みは非常に便利です。メール送付の工数を削減することができます。
よく使うマーケティング用語
マーケティング担当としては必ず押さえておきたいマーケティング用語を以下に列挙します。
CV(コンバージョン)
ウェブサイト訪問者が望ましい行動(購入、問い合わせなど)を行った際のこと。CVR(コンバージョン率)
コンバージョン数を訪問者数で割った比率。CTR(クリック率)
広告がクリックされた割合。CPC(クリック単価)
広告を1回クリックするために支払われる費用。CPA(コストパーアクション)
広告によって誘導されたユーザーが、広告主のサイトで会員登録や商品購入など、特定のアクションに至った回数(1回)当りの費用。LP(ランディングページ)
広告やEメールのリンクから訪れる、特定の目的を持ったウェブページ。自然検索(オーガニック)
検索エンジンの結果ページで、広告ではなく自然に表示される部分。LTV(ライフタイムバリュー)
「顧客生涯価値」を意味するマーケティング用語です。顧客が自社の商品やサービスを利用し始めてから終了するまでの期間に、自社がその顧客からどれだけの利益を得ることができるのかを表す指標です。MA(マーケティングオートメーション)
マーケティング活動を自動化するシステムやソフトウェアのこと。
顧客情報を一元管理し、顧客との関係を深めるためのシステムや戦略。
ここまでのマーケティング解説は、ほんの入り口の基礎知識についての内容です。
各セクションごとに、本一冊ではまとめきれないような奥深い内容がありますので、マーケティングの実務者は勉強あるのみです。
マーケティングについてより体系的に深く学びたい方は下記のnoteが大変おすすめです。
インサイドセールス
インサイドセールスとは
インサイドセールスは、電話、メール、ウェブ会議ツールなどのデジタル手段を用いて、直接相対せずに見込み顧客にアプローチする営業手法やその職務を指します。
このアプローチでは、顧客との対話を通じて、顧客自身も完全には認識していないかもしれない問題を明らかにし、その課題解決を促進することで、顧客の意思決定プロセスを前進させるリードナーチャリング(見込み顧客育成)が重要な役割を果たします。
さらに、問い合わせに対し迅速に対応することが求められると同時に、顧客情報の整理やコミュニケーションの記録といった、顧客データ管理も重要な業務です。
かつては商談を直接訪問して行うのが普通でしたが、今日では商談がオンラインで行われることが多くなり、インサイドセールスも商談プロセスの担当としての役割を持つことが増えています。
インサイドセールスの職務範囲は、企業やその時々の状況に応じて大きく異なる場合があります。
マーケティングが獲得したリードにアプローチし、角度の高い商談に繋げることがインサイドセールスのミッションです。
インサイドセールス戦略の立案
目的を明確にする
インサイドセールスの戦略立案における第1ステップは、目的を明確にすることです。「インサイドセールスを導入することで、どのような自社の課題を解決したいのか」を明確にします。
また、インサイドセールスには「分業型」「独立型」「協業型」といったように、企業ごとに業務範囲が変わってきます。
大規模な営業組織で高単価商材を扱っている場合は「分業型」
小規模で低単価商材を扱っている場合は「独立型」
「分業型」と「独立型」のハイブリッドが「協業型」といったように、自社の状況に併せてうまく業務範囲をコントロールしましょう。シナリオ設計
インサイドセールスのシナリオ作成とは、「どのターゲット」に「いつ」、「どんな情報」を提供するかを計画するプロセスです。
インサイドセールスは基本的に設計したシナリオに従って営業活動を行うため、シナリオ設計は受注率を左右する重要なポイントでもあります。
自社の顧客を深く理解するためには、カスタマージャーニーマップ(顧客の行動や感情を時系列で可視化したもの)が有効です。
各部門で共有し、それぞれの役割において自社の価値を顧客に伝えるにはどうすべきかを判断するための基準にすることが大切です。
マーケティングやインサイドセールスに役割を聞いたときに、全員から、個人の目標ではなく、顧客起点の回答が出てくる状態が理想と言えるでしょう。目標設定
シナリオ設計が終わったら、具体的な活動目標を設定します。
基本的にはKPI指標を導入するのが一般的です。
KPIが適切に設定されていないままだと、自社のインサイドセールスの効果測定を適切に行えず、非効率な運用を続けていても可視化することができません。
結果的に、費用対効果の低い施策を行なっていても改善が期待できず、
インサイドセールス部門がコスト面で営業活動の負担になってしまう可能性も考えられます。
代表的な指標は下記です。
商談獲得数/商談獲得率
インサイドセールスを立ち上げたばかりの頃は、商談獲得数が重要なKPIになることが多いでしょう。
架電数・架電率
架電数や架電率は、新規顧客の開拓を目的とした営業活動で用いられるケースが一般的です。
商談数・商談化率
ナーチャリングしたリードをどれだけ商談化できたかというのはインサイドセールスにとって重要な指標です。
インサイドセールスが成熟してくると、品質を高めて、成約につながりやすいリードに絞り込んで商談化させるといったことができるようになります。
インサイドセールスの業務
リスト作り
質の高い情報を元に自社のリストを作成することがチームの生産性を高めます。
質が高い企業データベースサービスを活用して、自社の商材と親和性の高い企業にアプローチできる体制を作りましょう。
企業情報を取得するためにスクレイピングを活用するなど、工夫することで効率的なリスト作成が可能です。フォーム営業
フォーム営業は、ホームページのお問い合わせフォームに対して自社のサービスを案内する内容を記入し、送信する営業手法のことです。
ターゲットとする企業へのアプローチ方法はさまざまですが、近年ではリモートワークの普及などの背景もあり、電話よりもネットでの問い合わせを受け付けている企業が多くなっています。
電話を掛けるよりも効率的であるとしてフォーム営業が効果的な場合があります。架電
インサイドセールスとテレアポは違う!というような記事をよく見ますが、インサイドセールスがテレアポを行うことは多いです。
BDR(新規開拓営業)かSDR(反響営業)で目的が変わってきますので、目的に合った手法で営業活動を行いましょう。
テレアポがアポイントを獲得する、という単一の目的のための営業手段であるのに対し、インサイドセールスはテレアポも含めた様々な営業手段によって見込み顧客との関係値の構築や商談設定を目指します。
リードの定期的な掘り起こし
「将来検討可能性あるが、購入は今ではない」というリードは全体の65%と言われています。状況に合わせて適切なコンテンツを配信し、定期的に掘り起こしをする仕組みを作りましょう。
便利ツールと仕組み化
メルマガツール
眠っているリードに対しての定期的なサービス案内や、タイミングが合わず契約まで至らなかったリードに対してのアプローチなど、Excel管理では漏れが発生しやすいです。
いろんな機能がついたツールは高額なものもありますが、特定の目的にのみ使用する場合などは安価なサービスも存在します。
目的に合せて導入を検討しましょう。
目的に合ったCTIの導入
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話・FAXとコンピューターを連携させて、電話応対業務の効率化を実現するシステムのことです。
・顧客情報の連携による、一人ひとりに合わせたパーソナライズされた対応
・問い合わせ内容や提案商材に最適なオペレーターの割り当て
・データ収集と分析による高品質なトークスクリプト
上記のように上手く活用することで爆発的な効率UPに繋がります。
商談自動調整カレンダー
マーケティングでの仕組み化と同様ですが、LPにフィールドセールスのカレンダーを埋め込み、スケジュール調整を自動化させましょう。
電話がかかってくることを嫌う方も多いので、有効な手段となります。SFA(営業支援ツール)
インサイドセールスにSFAを活用することで、新たに獲得した新規リードを効率的に分類することができます。
そして、分類したリードの中から商談に持っていくことができそうなもの(確度の高そうなリード)を抽出し、優先的に電話をかけてアプローチしていきます。
ステージ別に管理することで、人の作業によるフォローの抜け漏れが減り、アプローチ先のリスト作成が効率化され、業務がよりスムーズに回るようになります。
よく使うインサイドセールス用語
リード
BtoBマーケティングにおける見込み顧客やその顧客情報のこと。インサイドセールスはリードに対してマーケティング・営業活動を行い、商談化するプロセスを担当する。リードジェネレーション
リードを獲得するために行う一連の活動のことを指し、BtoBマーケティングの入り口部分で行う取り組みのこと。リードナーチャリング
獲得した見込みリードの購入意欲を高め、将来的な受注につなげていくためのプロセス。リードタイム
リードにアプローチしてから受注に至るまでにかかる時間を指す。リードタイムを短縮するために、適切なアプローチ時期を把握しておくことが重要。ホワイトリスト
受け入れ可能なリストのことで、そこに含まれないものは一律に拒絶される。広告配信時のホワイトリスト設定では、登録されたサイトのみに配信される。ハウスリスト
イベントやWebサイト、営業活動により集めた、企業で保有するリードの情報のこと。ABM(Account Based Marketing)
特定のアカウント(企業)をターゲットにし、それに基づいた施策を行うマーケティング手法。ターゲットの解像度を上げて、特定の条件を満たした企業にのみアプローチするため、売上に繋がる顧客に注力できるメリットがある。SDR(Sales Development Representative)
反響型営業を行う組織のことを指す。資料請求やセミナーなど様々な問い合わせに対する対応を行う。BDR(Business Development Representative)
新規開拓型営業を行う組織のことを指す。能動的にテレアポやメールを送ったりし、顧客との新たな接点を作っていく働きをする。オープンクエスチョン
「はい」や「いいえ」では答えられない自由に発言できる質問のことを指す。オープンクエスチョンを効果的に使うと、相手の背景や状況を把握することができる。クローズドクエスチョン
「はい」や「いいえ」で答えられる質問を指す。クローズドクエスチョンを効果的に使うと相手が求めている答えが明確になるため、自分と相手の認識のすり合わせを行うことができる。CTI(Computer Telephony Integration)
電話やFAXをネットと連携させ効率化するシステムのこと。電話番号から顧客情報や取引の履歴を確認できる機能や通話録音機能などがあり、効率的な架電が可能になる。
フィールドセールス
フィールドセールスとは
フィールドセールスとは、マーケティングやインサイドセールスによって構築された顧客関係と、蓄積された顧客情報の活用により、訪問営業、サービスの提案、クロージング活動を行う営業組織です。
外部に出る営業のため、外勤営業とも言われます。
フィールドセールス(外勤営業)成功のためには、インサイドセールスの時点で、どれだけ顧客/見込み客の課題点を把握し、それに対する解決策が提案できるかによります。
一般的にフィールドセールスを配置するのに向いているサービスは下記に該当する場合が多いです。
・高単価サービスを扱っている
・対面でのデモ紹介が必要な商材を扱っている
・売り切り型の商材を扱っている
・アカウント営業
フィールドセールス戦略の立案
フィールドセールスの戦略立案の前提条件として、どのようなサービスを提供しているのか、どんな事業体なのかに合わせて設計することが重要です。
商談の細分化
業界や企業規模
顧客が属する業界やセクターによって、ニーズや利益のポイントが異なるため、これに基づいて商談を細分化することが有効です。
エンタープライズ、SMBなど、企業の規模によってもアプローチや提案の内容を変えるのも効果的です。
購買ステージ
顧客が購買プロセスのどの段階にあるかを把握し、それに応じた細分化が効果的です。たとえば、意識認知段階、検討段階、購入決定段階などがあります。
顧客毎の課題
顧客が直面している具体的な課題や痛み点に注目し、それに基づいた商談細分化を行うことで、よりターゲットを絞った提案が可能になります。目標設定
下記はあくまでKPIの一部です。
このような指標を参考にPDCAサイクルを回して行くことが重要です。
平均契約額
企業規模に応じた平均契約額を計測し、ターゲット企業規模に対する製品またはサービスの適合度を評価します。
リードタイム
リード生成から成約までの時間。この時間を短縮することは、効率性の向上に直結します。
成約率
(成約数÷商談数)✕100で算出します。
訪問やプレゼンが実際の成約にどれだけ影響しているかを測定します
ステージ別クローズ率
各購買ステージでの成約率を追跡し、特定のステージでの改善点を識別します。
フィールドセールスの業務
商談の成約率を高める
フィールドセールスチームのパフォーマンスは、会社の成績に直接的な影響を及ぼします。予測に波があり売上にムラがある状態に甘んじるのではなく、予測管理を行い、売上の予測が可能になるように業務プロセスを構築しましょうネクストアクションの設定
最初の商談で直ぐに契約に結びつくといったケースはそう多くはありません。顧客と合意形成しながら具体的にいつまでに何をするのか必ず握りましょう。顧客との信頼関係の構築においても重要な役割を果たします。マーケやISとの連携
効率を追い求めすぎると業務が機械的になりすぎ、機会損失を生んでしまう可能性があります。フェーズごとに役割を分担することは大事ですが、必ず振り返りを行い、適切なフィードバックを行いましょう。変化の激しいマーケットなので、連携を疎かにすると直ぐに取り残されてしまう意識を持ちましょう。
便利ツールと仕組み化
商談自動調整カレンダー
TimeRexなどの自動カレンダーツールをメールの署名に入れていくのも良いでしょう。
スケジュール調整を自動化させましょう。よく使うメールはテンプレ化
商談後の挨拶、各フローに合わせたネクストアクションのメールなど、全てテンプレートを用意し、無駄を省きましょう。契約関連書類のデジタル化
徹底的に商談に集中するべく、関連業務は基本自動化、デジタル化しましょう。
クラウドサインなど各種電子契約サービスの準備を忘れずに。
よく使うフィールドセールス用語
MAL
Marketing Accepted Lead(マーケティング アクセプティド リード)
競合企業・グループ企業・ノンターゲット企業などを除外したリードのこと。MQL
Marketing Qualified Lead(マーケティング クオリファイド リード)
MALの内、受注確度の高いリードのこと。CRM
Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)
顧客との関係を管理するプロセスや仕組み。顧客管理システム。
一般的には、それを管理するシステムのことを指します。SFA
Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)
営業活動を一元管理するシステムのこと。
リード情報の取得経路や、商談前後のプロセスなどを蓄積、共有、活用するために使用します。セールスファネル
顧客獲得のプロセスを表すモデルで、リード獲得からクロージングまでの各段階を示します。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(Customer Success)は、企業が提供する製品やサービスを用いて顧客の成果を促進する概念です。この用語に明確な定義が設けられているわけではありませんが、「製品やサービスの提供を通じて顧客の成功に貢献する」という思想が基本にあると考えると理解しやすいでしょう。
組織内でカスタマーサクセスを浸透させることにより、社員が一致団結して目標に向かうことが可能になり、さらには方向性が明確になる利点があります。クラウドサービスが広く普及する現在、顧客との利益の相互依存が増す中で、カスタマーサクセスの重要性が増しています。
「カスタマーサポート」という似た概念もありますが、これは既にサービスを利用中の顧客を支援する役割を持つ組織で、主に問い合わせ対応など受け身の活動が中心です。
対照的に「カスタマーサクセス」では、企業が積極的に顧客の未来を見据え、必要な助言やサポートを提供します。これには、顧客が直面する課題の特定や、製品及びサービスを通じて実現可能な計画の提案も含まれることがあります。
カスタマーサクセスは顧客と共にその成功を追求することを核とした思想であると言えるでしょう。
カスタマーサクセス戦略の立案
顧客像の整理/サクセスの定義
カスタマーサクセスを効果的に遂行するためには、顧客を詳細に理解することが欠かせません。
顧客のプロファイルを明確に定め、彼らがどのような成功を望んでいるかを具体化することが、カスタマーサクセスを達成するための出発点です。
カスタマーサクセスの取り組みは、大きく次のフェーズに区分されます
オンボーディング(導入)
アダプション(定着)
リテンション(維持)
アップセル・クロスセル(追加販売・交差販売)
各段階での顧客のカテゴリー分けをどのように行うかを策定します。
例えば、直接対応(ハイタッチ)と自動化対応(テックタッチ)の方法をどう区分けするか、さらに、「顧客が『成功している』と感じる状態とは具体的に何を指すのか?」といった、カスタマーサクセス活動の目標定義も重要な考慮事項です。カスタマージャーニーの策定
顧客の特性と自社が目指す成功のビジョンが明確になれば、次に取り組むべきは顧客関連データの整理と、顧客行動を追跡するカスタマージャーニーの設計です。
この段階では、顧客の行動パターンを解析し、どのようなアクションが行われているかを明らかにします。また、目標とする成功を実現するために必要なデータを特定し、集める方法を考えます。カスタマージャーニーの策定にあたっては、保有している顧客データを参考にしながら、行動に基づいた仮説を立てて計画を進めることが効果的です。目標設定
KPIの達成は顧客に価値を提供している証拠であり、自社のビジネスが健全に機能していることを示しています。一方で、KPIが達成されない場合、これは顧客への価値提供が不足しているサインとなり得ます。このような指標をもとに、プロダクトの改善や新たな施策を実施する具体的な行動を起こすことが可能です。これらの改善措置は、自社と顧客の両方にとってさらなる価値を生み出し、事業の成功に大きく貢献します。
代表的なKPIは下記です。
LTV(顧客生涯価値)
解約率
オンボーディング完了率
リテンション率
アップセル/クロスセル率
カスタマーサクセスの実務
オンボーディング
オンボーディングは、顧客が製品やサービスを購入後、それを効果的に使用開始できるように支援するプロセスです。この段階では、製品の基本的な使い方を教えるためのトレーニングセッションや、必要なリソースとサポートを提供します。また、顧客が自分のビジネスや目的に合わせて製品をカスタマイズできるように案内することも含まれます。目的は、顧客が製品の価値をすぐに理解し、スムーズに利用開始できる環境を整えることです。タッチポイントを増やすコンテンツ作り
顧客とのタッチポイントを増やすコンテンツ作りとは、顧客が製品やサービスを利用する中で、定期的に関連情報や有益なコンテンツを提供することです。これには、ニュースレター、ブログ記事、使い方ガイド、チュートリアルビデオなどが含まれます。これらのコンテンツは顧客の関心を引き続き保ち、製品やサービスの価値を強化し、顧客とのエンゲージメントを高めることを目的としています。ヘルススコアチェック
ヘルススコアチェックは、顧客が製品やサービスをどの程度効果的に利用しているかを評価するための指標です。このスコアは、顧客の活動データ、利用頻度、フィードバック、サポートリクエストの数などから計算されます。低いヘルススコアは、顧客が製品に満足していないか、問題を抱えている可能性があることを示します。この情報を基に、カスタマーサクセスチームは介入し、サポートを提供し、顧客の成功をサポートする策を講じることができます。解約防止/フォロー
解約防止やフォローは、顧客がサービスを解約する前にその意向を察知し、問題を解決するためのアクションを行います。これには、顧客の不満点を理解し、解決策を提案するための定期的なチェックイン、サービスのカスタマイズ提案、特別なオファーや割引の提供などが含まれることがあります。また、顧客のフィードバックを積極的に求め、サービス改善のための貴重なインサイトとして活用することも重要です。
便利ツールと仕組み化
商談自動調整カレンダー
商談の日程調整を自動化することで、手動での調整が必要な時間を削減し、重要な業務に集中することができます。TimeRexなどのスケジューリングツールが有効です。ツールを使う事で、メンバーのカレンダーと連携して利用可能な時間を自動で表示し、顧客自身が都合の良い時間を選択して予約できるようにします。CRMでの顧客情報管理
顧客情報管理には、SalesforceやHubSpotなどのCRMが役立ちます。これらのCRMは、顧客に関する詳細情報、通信履歴、購入履歴、サポートリクエストなどのデータを一元管理することができます。CRMを活用することで、顧客のニーズや問題点を迅速に把握し、パーソナライズされた対応を行うことが可能になります。また、顧客のヘルススコアやエンゲージメントの測定も容易になり、解約防止策などの戦略をデータに基づいて立てることができます。手順書やマニュアルの作成
業務の標準化と効率化には、手順書やマニュアルの作成が不可欠です。これには、Google DocsやWordで文書を作成し、共有ドライブ(Google Drive、Dropbox、OneDrive等)でチーム内で共有する方法が一般的です。さらに、手順書の視覚的理解を助けるために、画像や動画を組み込んだインタラクティブなマニュアルを作成することができるツールとして、Notionがあります。これらのツールは、マニュアルをデジタル化し、更新が容易でアクセスも簡単な形式で管理することができるため、業務の標準化を支援します。
よく使うカスタマーサクセス用語
チャーン率
特定の期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す。カスタマーサクセスでは、この指標を低く保つことが重要で、顧客の維持とビジネスの持続可能性を示す重要な指標。リテンション率
継続率や定着率を数値化したもので、顧客にサクセスを提供できているか測る指標にもなる。リテンションレートとも呼ばれる。オンボーディング
新規顧客が製品やサービスを効果的に使用開始できるように支援するプロセス。適切なトレーニング、リソースの提供、初期設定の支援が含まれる。アップセル
既存の顧客に対して、彼らが現在利用している製品よりも機能が多いまたは価格が高い製品への移行を促す販売戦略。これにより顧客に更なる価値を提供し、同時にビジネスの収益を増加させる。クロスセル
顧客が既に購入している製品に関連する追加製品を提案するプロセス。これにより顧客の満足度を向上させると同時に、ビジネスの収益拡大を図る。カスタマー・ライフサイクル
顧客が初めて製品に触れる瞬間から、購入、使用、最終的には更新または解約に至るまでの全過程を指す。カスタマーサクセスは、このライフサイクルの各段階で顧客をサポートし、ポジティブな経験を提供することを目指す。
パートナーセールス
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