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マーマレードは夜に作るな


 何故か暖かかった11月も過ぎ去り、すっかり寒い日となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか? わたくしは室温が8度を下回り冬の産声に震えているところです。一週間前までは15度もあったのに……。

 寒くなってくると出回るのが柑橘類のみなさま。みかんやいよかんなどはこたつのお供に嬉しいですね。


 ところでレモンの旬を知っていますか?

 なんとなく夏のイメージがあるレモンですが、国産レモンは冬が旬なんだそうです。びっくりですね。夏のイタリアで生えてそうなイメージがあったんですけど、イタリアはともかくとして日本で育てられているレモンは冬が収穫時期だそうな。

 前々からレモンのマーマレード(レモンジャム)を作ってみたいなあと思いつつ機会を逃していたので、今回、レモンの旬を知った勢いに任せてレモンジャムを作ることにしました。


 先に結論から言うと「夜にレモンジャムを作ってはいけない」です。

 急な残業を終えて帰宅し、「やってらんねー!」の気持ちでレモンジャムを作り始めたんですけど、なかなか凄まじかったので、レモンジャムを夜中に作り始めた愚か者の軌跡をご覧ください。


 もし夜中にレモンジャムを作りたくなってしまったら、必要なものは「レモン」「砂糖」「鍋」「眠らない強い意志」です。


これは4.5キロのレモン

 ジャムの作り方はものすごく簡単で、基本的に『果物を切る』『砂糖と合わせる』『煮る』でおしまいです。

 煮詰まったジャムがぷくぷくぐつぐつとあぶくをはき出すさまは『魔女になって大鍋をかき混ぜたい欲』みたいなものを程よく満たしてくれる気がするので、たまに一人で魔女になりきってジャムとか作ってるんですけど、今まで作ってきたのはベリージャムとかりんごのジャムだったんです(冷凍ベリーでジャムを作ると地獄のマグマみたいな色になってたのしい)。

 レモンジャムもそういう感じで作り始めたんですけど、これからレモンジャムを作る人には「舐めてかかるな」と申し上げたいところ。

 じゃあレモンジャムと普通のジャムとの違いは何か?というと、「皮の処理」です。マーマレードって果肉だけじゃなくて皮も入っていると思うんですが、この皮の処理が!思っていたよりかなり!大変でした!!!!!


〜レモンジャムの作り方〜

【材料】

レモン(皮、果汁、果肉)→好きなだけ。適量はレモン4つくらいじゃないかと思う。

砂糖→レモンの重量の65%ほど。もっと甘いのがお好きなら増やしても。砂糖は減らすと保存には向かなくなるのでそこだけ注意。



○作り方○


【レモンを洗う】

「レモンを皮ごと使う」場合、皮についた農薬とかも落とさないとだめなので、レモンを洗うところから戦いは始まっております。国産のレモンなので防カビ剤などは塗布されてはなかったんですが、洗うに越したことはないのでまずは洗いましょう。

 レモンを洗う場合、①水でしっかり洗う②塩ですり洗い③煮る の3つがやりやすいし一般的かなと思うんですが、埼玉県の消費生活センターがすごく丁寧な輸入レモンの防カビ剤の落とし方を掲載してくれていた【 https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3382370/www.pref.saitama.jp/site/testkekka/testkekka-1.html 】のでこれを参考にしつつ(蛇足にはなりますけど、ナイロンたわしで果物って洗っていいんだ……という驚きがちょっとあった)、一番効果の高い ③煮る での洗浄をしていきました。


フライパンより鍋でやるのをオススメします

 あくまで輸入レモンの防カビ剤の落とし方ではあるので、国産の無農薬レモンとかならそこまで気を払わなくてもいいかなあとは思ったんですけど一応やっておきました。

 やっても無駄ではないし、次に書きますが「茹でこぼし」もするので、若干ラクに……楽になったかもしれないし…………?

 というか、行政(県?)でレモンの洗い方を出してくれるのメチャクチャ良くないですか?

 神奈川県に至ってはマーマレードの作り方を記載してくれてましたし(【 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cf7/cnt/f450009/p580746.html】農産物の上手な利用法(夏ミカンマーマレード/作り方のアドバイス))。いままで見てきた中でダントツ『寄り添った』行政のページでした。





【茹でこぼし】

 ジャムに皮を入れる際に「茹でこぼし」という『皮を茹でる→水を変えてまた茹でる』という工程があり、これを複数回やらないとダメなんですね。

皮だけを煮るのは少し不安になってくる

 レモンの皮にはリモノイドっていう苦味成分があるそうで、これ自体は別に体に害になるものでもないんですけど、メチャクチャ苦い。本当に苦い。この成分を減らすために茹でこぼしをして、皮から苦味を抜く工程が必要になるわけです。特に皮の白っぽいところにその苦味の成分が多いらしく、わたしは茹でこぼしてからスプーンでゴリゴリして内側の白いところを省きました。細かく切ってからナイフで白いところを切り分けるレシピとかもあったんですけど、『ていねいなくらし』に憧れた雑な日常の人間なので……。


 茹でこぼしを数回繰り返した後、内側の白いところをグリグリとスプーンで取り除き、その後ナイフで薄く千切りにしていきます。苦味が嫌な人はちょいちょい皮をかじって苦味がなくなるまで茹でこぼすといいかな、と思います。わたしは皮の味見を忘れました。グラントレモンという皮の薄いレモンだったのでなんとかなりましたが(オレンジとレモンの自然交配したやつだそうです。みかんみたいに皮が薄かったし、丸くてツルツルしている)、リスボンレモン(普段見かけるレモン!って感じのレモン)だと結構煮ないと厳しそうだな〜と思います。リスボンレモンは皮が厚いので。多分すごく苦いと思う。

 皮は全量を使うことはせず、全体の1/6くらいの量にとどめておきました。苦くなるかなぁと思ったのと、量が多くて途中で「もうやめとこ!!(いつ終わるかわかんないぞ!!)」になったためです。

【果肉の取り分け】

 皮がなんとかなったら次は果肉です。取り出しましたるは折りたたみのフルーツナイフ、相対するグラントレモンは大小合わせて11個。すでにここで作業開始から一時間半。マジ?と言いたくなりますがマジです。

 さらに大変なことを言うと「レモンの重さに対して65%の砂糖を用意しておけば良い」としか覚えていなかったので、やたらめったらレモンを出してきてしまったんですけど、本来ご家庭で作るならこの量の半分でオッケーです(レモンが5個もあれば十分かなと思います)。
 一人暮らしなので余計にそうなんですけど、鍋に入らないです800グラムのレモンは。しかもここに520グラムの砂糖も入りますからね……!!! 無謀でした。結局お鍋には入らないので2回に分けて煮ました。

 果肉の取り分けは房に沿ってナイフを入れて、薄皮から果肉を剥がしていきます。種は取り除いておきましょう。皮だけではなく種にも苦い成分があるそうですし、食べてる間に種がコリゴリするマーマレードはちょっと面白いけど癖が強そうなので。

 爽やかな香りの中、11個のレモンと格闘すること40分。手間取ったのかそうでないのか、皮の処理のあとではもう何もわかりませんが、何もわからないまま続けていきましょう。若干眠くなってきて「引き返すなら火を使う前の今だぞ」という己の声も聞こえてきましたがこのまま進みます。何故なら明日の朝にレモンのマーマレードを塗ったトーストを食べたいから。


【砂糖と合わせる】

 レモン(皮、果汁、果肉)の総重量を計り、その重量の65%の砂糖をレモンと一緒にお鍋に入れます。こんもりと白くそびえ立つ砂糖に怯えます。

不安

 今回はレモンが800グラムほどだったので、520グラムのお砂糖を使っています。0.52キロ。

 砂糖、約0.5キロって考えると怖くなりませんか?深夜なのでもう何も怖くなかったんですけど、昼間やってたら砂糖の量に震えてましたね。お菓子作りのいちばんのポイントは「砂糖の量にビビる心を捨てる」です。これはほんとに。

 ガスコンロに火をつけてしばし待ちます。しばらく中火でオッケーです。この間に出たゴミの処理や、もう使わない調理器具の片付けもしておくといいですね。鍋の方には常に気を配る必要がありますが、鍋の中身が湧くまではだいたい大丈夫です。湧いてきて「なんか危ないかも!こぼれそう!」と思ったらちょっと火を弱めてください。こぼれそう! と思ったときはたいていこぼれます。


【煮る。アクを取る】

 鍋を火にかけていくと、だんだん汁気が増してくるかなと思います。お玉などでレモンの果肉を潰しながら様子を見ていてください。料理によくある『アクを取る』という工程が間近に迫ってきます。

 料理に慣れている人は多分そんなことないと思うんですが、普段料理しないよ!という人間の場合『アク』と『アクじゃない普通の泡』みたいなやつってまあまあ見分けがつかないじゃないですか? 私もよくわからないタイプの人間なんですが、レモンはこれがよくわかるので、アクを取る練習がしたい人におすすめです。表現が難しいんですが、『アク』は明らかに他の泡より白っぽくて様子がおかしい泡です。それをすくって取り除きましょう。

 どうしてもアクが分からなかったら、液体に少しとろみがつくまでブクブクと煮立つのを待ち、真ん中に集まった泡をすくって取り除きましょう。多分それがアクです。水を張った入れ物に取り除いたアクを浮かべてみるとわかると思うんですが、『普通の泡』がすぐに水に溶けて消えてしまうのに対して、アクはいつまでもそこにいます。自我が強いのかもしれない。アクのある人間ってそういうこと?

 アクを何回か取り続け、液体がとろっとしてきたらジャムの完成です。イエ~イ。煮沸消毒した瓶に入れて、しっかりと蓋をしめ、2分くらいしたらひっくり返してください。吹き出したら諦めてください。その瓶のジャムは脱気が出来なくなったので早めに食べきってしまいましょう。
 蓋をした瓶をひっくり返すことで蓋の方にも熱いジャムが触れて、蓋の方に菌がいたとしても高温で死ぬってわけです。また2分くらいしたらひっくり返して元の状態(蓋が上にある状態)にして冷まします。

 ……さらっと「煮沸消毒した瓶に入れて」とか書いたんですけど、瓶を煮沸消毒するのも時間がかかるので、それだけ心に留めておいてもらえれば夜中にマーマレードを作ろうとか思わないはずです。

 このあと冷めたジャムを瓶ごと水を張った鍋に入れて、水から沸騰させて再度殺菌したら本当の本当に終わりです。

 作業終了、片付けまで4時間くらいかけました。眠かった。深夜に鍋をかき混ぜてるの、わたしか魔女くらいだよと思いました。でも楽しかったのでオッケー。

 社会人の皆様におかれましては、決して、決して、翌日出社の日の夜にマーマレードなどは作りませんよう。これは太陽の出ている朝に作る方がいいですね。うまくいけばお昼にマーマレードが食べられるかもです。


★出来栄えは?

 レモンの良い香りに包まれつつ眠り、マーマレードを求めて起きたわけですが、気になるのは出来栄え。味見を全くせずに仕上げるという無謀をやらかしたものの、たいへん美味しく仕上がっていました。念願のマーマレードのトーストも朝ごはんにできたのでハッピー。


びっくりするほどおいしい

 苦いのは苦手でちょっと酸っぱいのが好きなので、今回のマーマレードは大成功でした。好きな味。トーストに乗せるならこれでベスト。紅茶に入れるならもうすこし甘みがあったほうがいいものの、それは一緒に砂糖を入れてしまえばオッケーなので。

 なかなか手間のかかることではありましたが、そのぶん美味しいですね。今度は昼間に作ろうと思います。


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