悪魔のじかん

ある知人が
勉強会のあとの
誘いを丁重に断った

わたしも
同行しなかつた
そのひとは
わたしに
『夜は、悪魔の時間なので
帰ります』

敬虔なるクリスチャンの彼の理解だ 
わたしは
彼とも
彼らとも違って

夜の街の
高齢夫婦が営む
ラーメン屋で
ビールをひとり
口にしながら考えた

なるほど
神仏を尊んだり
神に手を合わせたりするのは
悪魔のこころと
対峙するためなんだ

姦淫をしたい願望
売春宿に出向きたい願望
男性も女性もそうだ

かつての名作
カトリーヌドヌーヴ
『昼顔』
性の倒さつに溺れる
貞淑な妻を見事に演じている

神に祈る
長年にわたり理解が
できない部分もあつたが
邪淫を封じるための行為なのば
理解できる
もちろん、それだけではない
神に祈りを捧げるとは
安易に説明など出来ない

夜は、悪魔の時間
彼の言葉が、なんとなく
わかる
誘惑が多いのは事実だ

闇に潜める悪魔は
人間のなせる業どはあるが
いる
ラーメンを啜って
そうそうに退店

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