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いつも気怠そうなキミへ

吐き気を催す日常から抜け出す。


僕に居場所はどこにも無い。家にも学校にも…

毎日憂鬱な時間を、人生を浪費するような感覚。

あてもなくふらふらと歩き続けた。


昭和のベッドタウンの名残であろう、古臭いアパートから見える人影。

睨むよう顔を上げる。

いや、今思うと「奴」と…


ベランダから気だるそうに煙草を吸い、神に抗うように吐き出す様はどこか神々しい。

「奴」は珍しく話しかけて来た。

こちらを向いてにへら、と笑う

「「上がるかい?」」





「なんで僕を部屋に上げたんですか」

「「キミが今にも消えそうだったから…」」

綺麗で細い指。吸い込まれそうな目。
煙草の匂い。僕はすでに正気ではいられなかった。

黙って見つめ合う時間が長くなる。
次第に体温が上がる。

「「結局キミも、か…」」

黙って俯く。

このままだと戻れないような気がして…





熱を帯びる部屋。


「「なんだ、まだ、生きたいんじゃん」」

潤んだ目で、耳元に誘うように言う。

ああ、僕はまだ生きたかったのか…

「「結局キミは」」

それ以上は聞きたくない。獣のように覆い被さる。


快感と後悔。愛と拒絶。

目がまわる…


下腹部から感情が漏れる。

まるでこの世の全てを憎むかのように。


「◎スキで表示!!!!」





三浦皇成が1着入線、横山のゴーグル直す方をクビさで抑えて嬉し涙を流すのを見ながら、僕たちは果ててしまった。


人生という線路から、脱線してしまった。
でもそれで良い。それで良かった。

「「また来るかい?」」

もうこないよ、バカ

そう呟いて僕は人生に抗う旅に出た。

買い目

14-10 馬単1点



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