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the next stage
中二階の窓辺から雨を眺めていると、しなやかな肢体を持つ女性が、雨に打たれながら、水溜まりを撮影していた。私が食い入るように盗み見していると、地面に這いつくばるように、夢中でカメラで撮影している。その姿はとても美しくて、階下に降りていき、声をかけることにした。
声をかけたことに警戒していた女性でしたが、傘を持って行って雨を凌いでやると、落ち着いたようで撮影した写真を見せてくれた。液晶モニターに写った画像たちは、雨に濡れて妖艶に輝いていた水溜まりであり、泥であり、鈍色の空であり、水溜まりに写り込んだ女性の脚だった。私のハートに火をつけるには十分魅力的な写真たちで、思わず私は女性の腕をむんずと掴んで離せなくなった。
戸惑っていた女性は、私の身体をやわらかく片手で抱き留めて、そっと離せなくなった腕を、介抱するようにするすると解いていった。そして、ダークカラーのグラジオラスの一筆箋に、名前と携帯番号を書いて渡して、去っていった。
序破急を感じる身のこなし方に、私は茫然と立ち尽くし、傘を放り出したまま、激しくなるばかりの雨に打たれて、ずぶ濡れになっていた。
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