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私のこれまで/これからとコンテクストデザイン

私はコンテクストデザインに救われた。だから今、こうしてコンテクストデザインを考えているし、サブゼミのみんなと活動していくことに凄くわくわくしている。

// 私を作っている物

とっておきのもの、お気に入りのものを並べようと思ったのだが、一つ私にとって大きな出来事あったので、はじめにその話をする。

2年生に進級するのを待つ春休みに、私は「URBANING_U」に参加した。URBANING_U は、身体で都市と向き合いながら、都市空間、公共空間に対するリテラシーを醸成すること、一人ひとりが能動的に場所を作ることを目的とした、2日間の都市の学校だ。建築、フィールドワーク、プロジェクトなどに取り組む、mi-ri meter が主催している。

入学時、デザインをやりたいという漠然とした思いしかなかった私は、目指すことについてはっきり語る周りの人たちを見て、何をやればいいのかよくわからなくなってしまった。そこで1年生のころは、とりあえず興味を持ったものを何でもやってみた。ダンスに地域アートにビジコンにインターン… そしてこの URBANING_U にも出会った。

普段登らない場所に登ったり、自分の持ち物を街に置いてきたり。それまで私は、正しいと教えられたことをそのまま実行してきた。今ある規範を疑い、何が良くて何がダメか各々が向き合うところから始まるここでの体験は、私にとって衝撃的な出来事だった。

参加者は建築家、編集者、プロデューサーなど様々だったが、皆さんに共通していたのは進化中であるということだった。大人になったらはっきりと道が決まるなんてことはなく、これからもずっと悩み続けるのだ。そうわかると、今悩んでいるという状況を悪くないものとして受け入れることができるようになった。

ずっと目の前を覆っていた霧が段々晴れていくような気分で、興奮を抑えられなかったことを今も覚えている。この体験をきっかけに、複雑なルールや人が重なり合う都市に興味を持ち、何か1つの答えがあるわけではない状況を面白いと思うようになった。そして、小さな一人ひとりが自分で自分の環境を作ることを研究対象とするきっかけとなった。

// 私なりの社会彫刻

私はデザインで世界を肯定したい。と最近よく言っている。

URBANING_U も一つのきっかけなのだが、私は路上を観察してなんでもないようなものを採集するのが好きだ。傾いた標識。くるくると絡まったホース。テプラで付け足された言葉。日常風景を面白がっていると、少し世界が輝いて見える。

少しかっこ悪いものかもしれないが、問題だ!とすぐに決めつけてしまったら、見えなくなることが沢山ある。良い悪いではなく、まず現状を認めて、何が起きているかを知ることが必要なんじゃないかと思う。

全てのものが今のままでいいというわけでは無いし、わかる人にだけわかる面白いものでは限界があるよなと思う。だから「肯定」という言葉は慎重に使わなければいけない。そして、面白がっているだけを乗り越える実践も行っていかなければいけないな、と考えているところだ。

// 私にとってのコンテクストデザイン

コンテクストデザインは、一人ひとり違う小さな物語を肯定することだと思う。冒頭、コンテクストデザインに救われたと書いたが、それはコンテクストデザインが誤読を歓迎していたからだ。ずっと間違ったことを言ってはいけないと思い込んで、作品を見ても人に説明したり感想を言ったりすることが苦しかった。しかし、自分が何かを読んで抱いた思いに正しいや間違いはなく、作者の意図と違っていても自分の物語を語ることが大切なのだと気づかせてくれた。

// 私なりのコンテクストデザイン的企画

今回サブゼミの企画で、弱い文脈と弱い文脈がつながるような仕組みを考えようと思っている。

私は使い方が決まっていない砂時計「Inscriptus」のエピソードが好きだ。

ある女性はこれを見て「娘にプレゼントしたい。大人になるまでゆっくり、節目ごとに時計を傾ける。成人するときになかを取り出して、親子で使うのはどうかしら」と言いました。

きっとこの女性以外にも、色々な人が自分だけの物語を作っている。が、私たちはそれを読むことができない。

ジンフェスで販売していたジンと楽しみ方のレシピセットでは、Takram radio と連携して、#takram813 で過ごし方を共有できるようになっていた。そこではtwitterが使われていたが、この共有する場自体を強い文脈として作ることも可能なのでは無いだろうか。


読み手が思わず自分で自分の物語を紡いでしまうような状況を作る。
一人ひとりが自分の、そして他の人の物語を尊べるような状況を作る。

それが、私が今からコンテクストデザインで挑戦すること。

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