SF西遊記・はじまり…!
SF西遊記 ~はじまりの章~
ドォオンッ…!!
さながら爆発音かのような破壊音が轟いた。
白い煙が立ち上り、目の前で怒号とかまびすしい悲鳴が交差する。やがて悲鳴と怨嗟の声ばかりが鳴り響き、それらもすべてがぱったりと途絶える…!
空しく乾いた頭の中では、かつての、ある情景が思い起こされていた。
―…ええ。そうよ。あなたは、特別なの…! とても特別な、まさしく選ばれた子…―
―特別…このオレが?―
ただひたすらに焦がれて信頼を寄せていた人物の言葉を、その時はわけもわからずにただ聞いていた。
少年は、その真の意味も知らないまま…。
―時が来たの。そう。あなたがその特別な力と、特別な存在であることを理解する、その時が…! だから、ねえ、このわたしの言うことを、どうか静かに聞いてちょうだい。そして、あなたの本当の名を…! そうよ。あなたの名は…!!―
血のにおいが鼻をつく。
血まみれの動かぬ人型たちの真ん中に立って、少年はみずからの血にまみれたどす黒い手を見つめる。おびただしい返り血で赤い衣装が今はただ黒く染まっていた。
おびただしい血しぶきは天井までも赤く染めていた。
空しい視線で天を見上げて、少年は乾いたのどからかすれた声をふり絞る。
「ねえ、せんせい…このオレは、何が特別なの? 教えてよ…!」
大きな穴が空いた壁からは、まぶしいオレンジの夕焼けがギラリと差し込む。
むせかえるような死臭と血にまみれたその身体を焼くように照らした。
かくて物語は幕を開けた…!