見出し画像

【簡単世界通史⑩1700〜1800】【プロイセン(ドイツ)・オーストリア・フランス】マンガとか映画で世界史がわかるきがする

とうとう開き直ってヨーロッパ各国を横断しようとしている大昔の生物です。ローマでやった地域と変わらんからいいでしょ!(強引)。

※こちらは連作となっています。マガジンからもどうぞ


ヨーロッパという蠱毒

前回宗教改革、絶対王政、重商主義のコンボがヨーロッパを世界史の中心へと導いたと書いた。ここに軍事革命は意図的に入れていない。多くの言説では近代化と軍事技術の前進がヨーロッパを大きくした的な事が書かれる。もちろんそれも含むのだが、オスマン朝でも火砲は使っているし、近代的な装備の刷新も行っている。それだけでは説明がつかない。

オスマン朝による1683年の第二次ウィーン包囲は失敗に終わった。

では何故ヨーロッパは技術的な差がそこまでないのにアジアに拮抗し、それを超えたか。私はヨーロッパが第二次世界大戦まで含め、ずっと争い続けている(軍事だけでなく思想や経済も含めて)からだと思う。1500年頃から、いや100年戦争も考えると1300年頃からずっとヨーロッパは600年ぐらい争い続けてる。凪の時代がほぼ無い。ヨーロッパは蠱毒と化していた。

日本を含めアジア諸国はどこかで数十年は続く安定を手に入れている。対してヨーロッパの安定は一部地域に限られ、なおかつ保って数年。壮大な実験場ではないかと思われるほどに各地は荒れ続ける。それがヨーロッパを現在でも覇権を握り続ける怪物に育てたのではないかと思う。

では、そんな様々な毒が絡まり、煮詰まり、世界史の中心となっていくヨーロッパの様をみていこう。

プロイセンってなんやねん

簡単にいうとドイツの前身がプロイセン。そもそもドイツという国号は1900年頃から使われはじめた割と新しい名称。

プロイセンは神聖ローマ帝国の選帝侯の一翼であり、選帝侯の中ではやや弱めの立場だった(ちゃんというとブランデンブルク選帝侯プロイセン公だけど、複雑になり過ぎるので割愛)。

神聖ローマ帝国という名前は世界史では頻出で、その名前が大仰な事からすげぇ大国感があるが、実情でいうと1つの国とは言い難く、選帝侯と呼ばれる領邦主がトップのお鉢を回しながら形成していた国。選帝侯の数は時代によりけりだが、7つ前後。選帝侯は各々の領邦で立法や貨幣鋳造をしていたのでほぼ独立国。なので領"邦"という表現がされている。

すこし時代を遡ってしまうが、神聖ローマ帝国内での宗教改革時、三十年戦争のお話。まだはじまったばかりで何とも言えないけど、面白くなると思うなあ。センゴクの宮下さんだし。

フリードリヒ大王と啓蒙専制主義

そんなプロイセンが躍り出たのは1700年初頭にトップに立ったフリードリヒ2世、後に大王とまで呼ばれる人物の登場による。

エリザベス1世やルイ14世に代表される絶対王政は劇薬で市井の人々への圧力が強く、反発を各国で招いている。その為か、市民への配慮を一部散りばめた啓蒙専制君主制を導入する国々があらわれはじめた。啓蒙とは無知な人々を正しい道理へ導く事を指し、今では不適切用語という扱いになりつつある。蒙は音からなのか盲にちかく、知にくらい人を意味し、啓は哲に近いのか道をひらくとかそんな感じ。歴史用語としてだけ存在する塩梅で、今の一般用語だと啓発かな?啓発ポスターとか。

神から民草を統治する権限もらってる、いいからいうこときけや的な絶対王政とは違い、みんな無知だし私が神に代わって教えてやんよ、いうこときけやよりはよろしかろ?が、啓蒙専制君主。

そんな啓蒙代表フリードリヒ2世。軍事ももちろん思想や経済そして文化などあらゆる事に介入し、積極的に、それこそ啓蒙していった。

クララ ―300年前にはじめてヨーロッパを旅したサイのはなし― この絵本は1700年頃にインドを訪れた商人がみなしごのサイを譲り受け、そのサイとともにヨーロッパを巡る事実をベースとしたもの。クララが可愛い。故郷のオランダに乗り付けて最初に向かったのがプロイセン、フリードリヒ2世の所だった。どこまで事実ベースかは分からないけど、ヨーロッパの中で彼は開明的だという認識があったのではないかな?と思わせるシーン。あとクララが可愛い(2回目)。

他にも彼は音楽に造詣が深く、自身フルートを演奏した。


ポツダムのサンスーシ宮殿で演奏していたそうな。ちなみにバッハもこの時代の音楽家で軽く接触している模様。友好的ではなかったみたいだけど。

音楽の捧げ物―バッハへ無茶振りして作らせ、あんまり乗り気じゃなかったとか。

オーストリア マリア・テレジアの欲望

そんな色々目立っていたフリードリヒ2世。同じ神聖ローマ帝国の中でも抜きん出た存在であるハプスブルク家のマリア・テレジアと犬猿の仲だった。

彼女が玉座に着く際、フリードリヒ2世は横槍をいれ、オーストリアの一部をかすめとる。マリア・テレジア激おこ。そりゃそうや。で、プロイセンを潰そうと今まで敵であったフランスと結ぼうとする。そんな政略が見られるのが皆大好きベルサイユのばらだ!

史実じゃないものてんこ盛りだ!でももうこの漫画が歴史やろ!ということでマリー・アントワネットの首ちょんぱまで描かれてます。三部会の様子も何となくわかるからよいと思う。

残念ながらマリア・テレジアを中心とした娯楽作品は見つけられなかった。関係諸氏には頑張ってほしい。

ちなみにメン限ですが、応援してるVtuber桃仁しのさんがベルばら語ってます。

分かり易いきがしないでもない。

あ、フランス革命でした(急に適当)。ということでオーストリアもプロイセンもケンカしてる場合ではなくなる。フランスをどうにかしないと、という思惑で一致していく。

フランス ナポレオンという梟雄

市民によって国の主権が奪取されるというフランス革命は、ヨーロッパにかなりのインパクトを与えた。各国王室は王権という大義を維持する為フランスへの圧迫をはじめる。そんな中頭角を表したがナポレオン。

リドリー・スコットさんのナポレオン。最近の作品。こちらもあまり評判はよろしくないのだけど……。1793年マリー・アントワネットの断頭から物語りははじまる。映画の中ではナポレオンの妻ジョゼフィーヌとの関係がかなりクローズアップされている。歴史的なお話をすると市民革命によって主権が国民に移ったのに、その国民による選挙で皇帝になるという共和制を利用した帝政の再興を実現したり、ヨーロッパ大陸をイベリア半島を除いて制覇したり、かなりやっちゃっている。それも10年ぐらいの間に。普通にやってることがヒトラーなんよな……と思わないでもない。

ただ彼の行為は時代を加速させた。共和制、王権、軍事、思想、技術。アレキサンダー大王やチンギス・ハンが行ってきた世界のシャッフルを彼は行った。ちょっと範囲は狭いが。

最終的にはヨーロッパ各国の連合軍によりナポレオンは敗退し、失脚。ヨーロッパは次のフェーズに入っていく。

ナポレオンの影響が大きいのは豊富な作品群にも現れる。

原哲夫さんのアシスタントさんだった方の作品。この紹介が長谷川さんにとって良いのかわからんけど赦して……。画が濃い。いつ秘孔を押すのかな?と思いながら楽しく読み進められます(グロい)。

ヴェルばらの池田理代子さんもナポレオンについて描いてますよね。図書館のリサーチ結果で出すのもわるくないな。

トルストイの戦争と平和を映画化。オードリー・ヘップバーン綺麗ねえ。ロシア側からみたナポレオンの姿がみられる。この作品はサブスクでもみかけた。3時間あるけど……。

ヨーロッパからナポレオンを締め出す戦争のみに焦点を当てた作品。オーソン・ウェルズなんかも出演してます。4時間あるけど……。

おまんらナポレオン好きすぎやろっていうぐらいあります。すきなの見て。

今回はここまで

最後まで読んでくれてありがとう。今回もなかなか苦労した……。というかフリードリヒ大王とマリア・テレジアの娯楽作品が全然ないの解せん。文字である程度まとめるしか無いもの……。さておき、一応このシリーズは次の回で締めたいと思います。第一次世界大戦がはじまる前までにします。そこからはもう映像が残っているから。映像の世紀を見ればわかる。というか見て欲しい。

ということで良ければ次回もお付き合い下さい。では。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?