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内閣府の「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」大賞を深掘り!

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/660/1121176
※大河内薫"お金の学び"ラジオ Voicy 2024年7月23日放送より

どうも、大河内薫です。

賃上げアイデアの落とし穴。内閣府のコンテストで話題になったこの提案、一体何が問題なのか?このアイデアが引き起こす可能性のある深刻な結果について、分かりやすく解説します。
そして、この騒動から見えてくる日本人のお金への理解度。今こそ必要なお金の教育について一緒に考えましょう。


■話題のアイデアとは?

最近、Xで話題になっていた内容をご存知ですか?内閣府が行った「賃上げを幅広く実現するための制作アイデアコンテスト」の大賞受賞アイデアなんです。このアイデア、一体どんな内容だったのでしょうか。

実は、会社員を個人事業主にして、残業代を全部副業にするというものだったんです。一見すると画期的に思えるかもしれません。確かに、このアイデアには一定の理屈があるんです。

残業代を副業にすると賃上げになる理由は、主に以下の点にあります。

  1. 社会保険料の削減:残業代が給与ではなく事業収入になるため、その部分にかかる社会保険料が不要になります。

  2. 経費控除の可能性:副業として扱うことで、関連する経費を控除できる可能性が出てきます。

  3. 所得税の計算方法の変更:給与所得控除から事業所得の必要経費へと計算方法が変わり、青色申告特別控除によって税負担が減る可能性があります。

これらの要因により、同じ金額を稼いでも、手取りが増える可能性があるんです。そのため、実質的な賃上げになるという考え方なんですね。

でも、税務の視点から見ると、実はかなり問題があるんですよね。このアイデアが話題になったこと自体、マネーリテラシーがまだまだ普及していないことの表れじゃないかなと思うんです。税務や給与の定義、個人事業主の定義など、細かく決められているんですよ。こういった知識があると、このアイデアの実現は難しいってすぐに分かるんです。

■アイデアの問題点

では、このアイデアの何が問題なのか、詳しく見ていきましょう。主に3つの観点から考えてみます。

1.給与と外注費の違い
給与と外注費は明確に区別されているんです。外注は指揮監督命令が及ばず、仕事の納品に対して支払いが行われます。一方、給与は雇用関係に基づいて支払われるものなんです。

例えば、残業から副業へ切り替えたとしても、同じ仕事を続けている限り、会社の管轄下にあるわけです。つまり、給与としての性質が変わらないんですよ。

2.代替性の問題
外注の場合、仕事を誰が行っても構いません。でも、給与の場合は特定の従業員が行うことが前提なんです。

残業を個人事業主の仕事として扱うなら、理論上は誰かに仕事を任せることもできるはずです。でも、実際にはそうはいきませんよね。これも給与としての性質を示しているわけです。

3.危険負担と用具の提供
外注の場合、仕事が完成しなければ報酬は発生しません。また、仕事に必要な用具も自前で用意するのが基本なんです。

残業を個人事業主の仕事として扱っても、納品できなかった場合に給与的感覚で支払われそうですよね。また、会社のパソコンを使い続けるでしょう。これらも給与としての性質を示しているんです。

これらの点から、残業を個人事業主の仕事として扱うのは、税務上認められない可能性が極めて高いんです。ゆえに、このアイデアは実現困難だと言わざるを得ないわけです。

■税務調査のリスク

このアイデアを実行すると、税務調査で大きな問題になる可能性が高いんです。税務署は、このような取り決めをほぼ100%の確率で給与として扱うでしょう。その結果、以下のような事態が起こり得るんです。

  1. 外注費として支払った分を給与として再計算

  2. 納税額の増加

  3. 延滞税の発生

つまり、一時的に得をしたように見えても、後で大きなペナルティを受ける可能性が高いんです。税務調査ではこの点がめちゃくちゃ厳しく見られるんですよ。

■なぜこのアイデアが受賞したのか?

このアイデアが受賞したことは、ある意味で驚きですよね。審査員にもマネーリテラシーやタックスリテラシーが不足していたのかもしれません。

もし内閣府がこのアイデアを大賞に選ばなかったとしたら、この国のマネーリテラシーとタックスリテラシーはめちゃくちゃ上がってきたなって思うところです。でも、そうは甘くないんですよね。

■マネーリテラシー向上の必要性

この事例から、マネーリテラシー教育の重要性が浮き彫りになりました。お金の知識は、学校でも教えられることが少ない分野です。でも、社会人として生きていく上で、極めて重要な知識なんです。

今回のようなアイデアが出てきたときに、その問題点を適切に指摘できる社会になることが理想的です。そのためには、マネーリテラシーを向上させる取り組みが必要不可欠なんです。

■まとめ

内閣府のアイデアコンテストで話題になったアイデアを通じて、マネーリテラシーの重要性について考えてきました。一見良さそうに見えるアイデアでも、税務の観点から見ると問題があることがあるんです。

こういった知識は、普段の生活ではなかなか学ぶ機会がありません。でも、社会人として生きていく上では非常に重要です。マネーリテラシーを向上させることで、より良い経済的な判断ができるようになるんです。

全ての人が人生を生きていく中で、こういった知識を得られるような環境がこの国に整うといいなと思います。みなさんは、このアイデアコンテストの話を聞いて、何を感じましたか?ぜひ、周りの人とも話し合ってみてください。それが、マネーリテラシーを高める第一歩になるかもしれませんよ。

それでは本日も張り切っていきましょう。

それでは、素敵な1日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ✨じゃあね!


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