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表紙イラストについてのよもやま話:『AI/IoT特許入門3』河野英仁著~先進国に学ぶAI特許権利化の勘所と、諸外国でのAI特許の保護~ (現代産業選書)

待望の河野先生の著書による、『AI/IoT特許入門』のバージョン3のAmazonでの予約販売が開始されました。

この度、河野先生から「印象的な表紙イラストをお願いしたい」とご指名を受けたので、ご期待に沿うべく、最高の表紙画を作ろう!と意気込みました☺
法律の本は、どうしても無味乾燥なものになりがちですが、知財界だけでなく、知財を活用される企業、エンジニアや新しいアイデアを創出されるクリエイティブな方々へ訴求するデザインを、ということが河野先生と私の願いにありました。

まだ発売前ですから、本の内容は、お手元に届いてからのお楽しみに📖!(といっても、2までの読者は、おそらく河野先生ならば、この分野の日新月歩の豊富な最新事例を、わかりやすく解説下さっているにちがいない!とお考えでしょう、その通りです☺
勿論、本書が初めての方も、AI界隈の最新動向にキャッチアップできる書籍なのは言うまでもありません)

ということで、画の方の話をちょっとしようかなと🎨☺

表紙イラストについて

本書にも解説がありますので、そちらもお読みいただければと。
ここでは、その追加の周辺の話を。

まず、皆さん、このタイトルを聞いて、どんな画がいいと思いますか?
今回、「AIが人間に近づきつつある」という河野先生の伝えたいキーワードから、それを主題とし、ヒューマノイドロボットを登場させました。
描く前に、映画やポスターから写真まで様々に、こうしたサイバー分野におけるイメージというものを大量に調査しました。
そこで感じたのは、欧米系人種のデザインがほとんどだなと。また、ロボコップではないですが、欧米系だと殺りく兵器のイメージがあるなと。

また、「不気味の谷現象」不気味の谷現象 - Wikipedia というのがあって、ロボットに対して「恐怖感・嫌悪感・薄気味悪さといった負の要素」が惹起されることを指すのですが、私としては、この<兵器>と<不気味さ>を喚起させたくない、と思いました。
というのは、日本のお家芸でもある、「鉄腕アトム」や「ドラえもん」をはじめとする、ロボットは、日本の文化としては共生社会の体系の中で、捉えられてきたと思うのです。
本書が、日本から刊行されるに鑑み、席巻されている欧米系イメージではなく、無国籍ながらアジアを、それから親しみ易い表情で、ということを、かなり考えて描きました。こうした映像はなかなかないはずです。

では日本で関連映像を調べると、これまたアニメ体型の美少女3Dモデル系が多数占めてきます。昨今の3DモデルによるAIアニメ制作やVtuberで使われるモデルなどの影響かもしれません。個人的にはどんな画も描けるのですが、科学的な書籍が世界に出た時のイメージとして、ノーベル賞の広告デザインや世界的企業の広告デザイン、世界的な科学雑誌の表紙にしかりも、リアル系か筆記系かのデザインで、アニメ美少女系となると、それはそれで違う印象を与える様に感じました。また、昨今の状況をみるに、べつに少女でもおばさんでも、少年でもおじさんでも、どちらの性別かに決めなくても良くて、「ヒト」を総称できればいいなぁと思って、そこでジェンダーレスな形で描きました。(ちなみに、眉毛やまつげなんかも一本一本描いているんですよ)

それから、ロボットのデザインですが、日本のお家芸といえば、慣れ親しんだガンダムやエヴァなど数えきれないコンテンツがあるわけです。ここを著作権上かぶらない形でデザインをしながらも、古い・ダサいと思われないようなオリジナルなクリエイティブさを工夫しました。

背景ですが、今回、主題が「人間に近づきつつあるAI」ということで、AIと人間を対比する形で仕上げています(このあたりは本書の解説で)
左半分はAIのアルゴリズム、右半分は人間の脳神経ニューロンで、AIニューラルネットワークにより、本書における「特許・発明」が生まれる、というイメージを描いています。(ちなみに、ニューロンとかも、ペンで一本一本描いているんですよ)

あと色彩。色が与える視覚的印象を重要視しています。色彩設計にはいつも気を使います。ワクワクするような、サイバーパンク的な雰囲気を醸しながらも、暗くなりすぎず、発光を帯びたような楽しさを出せるように着色しました。また、この表紙は、PP加工(表紙の耐久性をあげるために透明フィルムで圧着コーティング)がされているので、この透明フィルムで、光の反射率が変化し、制作した画と同じ色彩にはなりません。従って、ここもPP加工後サンプルを確認し、それを見越した色調補正をしておきました。私がイメージしていた色彩が表現出来ていると思います。
こうした細部への確認とこだわりが、無意識下における人間の感じる美に大きな影響を与えています。モノづくりにおいて、最後にモノが届く最終形態まで考えてデザインしないと、思っていたのと違う残念な結果になりかねません。河野先生に色彩も気に入って頂けました。異次元の出来、というお言葉拝領!冥利に尽きます。

脱線しますが、AIのディープラーニングですが、「ストーリーマンガでわかるビジネスツールとしての知的財産」の方でマンガ説明していますので、ご興味のある方はそちらも宜しければお読み頂ければと思います。同書ではほとんど取り上げられないハードのスパコンの方の解説も描いているので、そこもお楽しみいただければ☺
今回の河野先生の書籍でも取り上げられているDeepmind社の論文に触発を受けて、当時制作したマンガですが、その後(マンガ刊行後)の同社のタンパク質構造予測も、理研時代にバイオインフォマティクスとNMR解析でタンパク質構造解析予測に関わる研究に携わっていたことを思うと、隔世の感があります。個人的には、新技術が大好きなので、ワクワク楽しいです、けれども、それは人間社会と地球環境において、健全な方向に進むものであるようにと、思う次第です。

さて、画のよもやま話はこれで終わりです。
河野先生の最新書籍『AI/IoT特許入門3』をお楽しみに!

大樹七海 拝










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