休職日記⑤ 迷走

「あなたは”お客様”の何を見ていたの」

「もっと”お客様”に寄り添って声をかけていれば、こんなことにならなかったんじゃないの」

「あなたの”やり方”次第で、結果は変わっていたはずだよ」


昨年、前の職場で上司に言われた言葉。

私の担当した”お客様”が、家庭の事情で精神的に体調を崩し、”お店”に来られなくなってしまったときのことだった。

思えばこれが、私にとっての 呪いの言葉 となっている気がする。


以前、日記に「最近の仕事が一番つらかった」と書いたが、
辿っていけば、昨年からずっと、
この言葉に縛られながら仕事をしてきた気がする。


お客様の状態が悪くなるのは自分のせい。
自分がちゃんと、そのお客様に寄り添えていなかったから。
適切な対応ができなかったから。


ただ、そうは言っても、
心の奥では実は自分のせいではないと思っていて、
かわいそうな自分に酔いしれているだけではないのかとも思う。
だが事実、私の力不足は本当にあると思う。

それをプラスの方向に考えて、「じゃあ次はこんな風にがんばってみよう」と思うのが普通なのだろうが、
私はそんなにポジティブに考えられなかった。




何にしても自分はだめだ。

たとえ絵が少し描けても、ちょっと字がうまくても、多少人よりある方面についての知識があっても、
仕事で成果が出せない自分はダメダメだ。


おい、ちょっと待てよ。

自分をダメだと決めつけるのはよくない。
すべてを諦めているようで、みすぼらしいぞ。
努力しなくてはいけない。努力だ。


努力ってなんだ?こんなに無理してするものなのか?
もう嫌だよ。疲れたよ。
幸い、死にたいとは思わないけど、もっと楽に生きたいよ。


どうしてそんな考え方をするんだ。
あのときこうやっていれば、こんな風にならなかったんじゃないのか?


過去のことを責めるのはやめてくれよ。

その時の私はそれが精一杯だったんだ。





それならば、未来の話をしよう。

お前はこれからどう生きて、どう死にたいんだ?






わからない。

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