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華為が取り組む、拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)技術の課題解決とイノベーション

拡張現実(AR)技術はさまざまな技術の焦点となってきたが、車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)への応用はどうだろうか。この分野ではどのような課題があり、誰がイノベーションを起こしているのか。

多くの人が拡張現実(AR)を考えるとき、まず頭に浮かぶのはスマートグラスやヘッドマウントディスプレイかもしれない。しかし、ARはそれ以外の多くのアプリケーションを、スマートフォンや車にも搭載可能なことが発見されつつある。

画像1AR HUD技術の開発と投影。写真はテキサス・インスツルメンツ提供

自動車のARヘッドアップディスプレイ(AR HUD)は、多くの企業がこの技術を現実化しようと取り組んでいる重要な関心・研究分野だ。この分野では先週、ファーウェイによるものとインフィニオンによるものの2つの進展が発表された。

この記事では、この新しいテクノロジーが直面するいくつかの課題と、ファーウェイやインフィニオンのような企業がもたらす課題について詳しく見ていきたい。

AR HUDの課題

光学および電気工学の観点から、AR HUDはいくつかの大きな設計上の課題が存在する。

ここでの主な課題の1つは、処理とグラフィックの位置合わせだ。AR HUDとは、さまざまな車載センサーからデータを読み込み、それを処理してデータを生成し、最終的には急速に変化する環境に合わせた表示をすることを目的とした技術で、すべてがリアルタイムで行われる。

これらすべてを完了するには、GPU、高解像度ディスプレイ技術、光を導くための調整可能ミラー、ユーザを追跡するアイトラッキングカメラなどの処理ハードウェアが必要だ。また最も重要なのは、これらのデバイスをスペースに制約のあるダッシュボードに統合する必要があることだ。

画像2AR HUDシステムの例

2つ目の設計上の課題は、消費電力だ。HUDでは、必要なルーメンは視野(FOV)と視野面積に比例する(いずれも2倍にすると2倍のルーメンが必要になる)。AR HUDでは広い視野範囲と広い視野範囲が望ましいため、消費電力と視野範囲はトレードオフとなってしまう。そして、これら消費電力の増加とそれに対応する熱の問題が課題となる。この課題にからより効率的なイメージング技術の需要が生じており、デジタル光処理(DLP)技術の応用が流行している。

このようにいくつかの課題はあるものの、AR HUDの開発と発展により、この技術を現実のものにする方法を見いだそうとしている企業が増えている。

インフィニオンのAR HUDチップセット

より小型で効率的なイメージングシステムを実現するため、インフィニオンは新しいMEMSスキャナーチップセットを発表した。

新しいチップセットはMEMSミラーとMEMSドライバを統合しており、小型化と低消費電力化を実現している。また、チップセットには新型チルトミラーが組み込まれており、インフィニオンによると、これにより、新たなレーザービームスキャナー(LBS)技術に道を開くことができるという。

いずれにせよ、このチップセットは、小型・軽量・低消費電力のARマイクロプロジェクターを実現したいと考えている。これにより、自動車やヘッドマウントディスプレイに使用されるAR HUDで、より効率的なイメージング技術を使用できるようになる。

最近AR HUDに注力しているのはインフィニオンだけではなく、ファーウェイも最新のHUD技術を発表したばかりだ。

ファーウェイ、新型HUDを発売

先週、AR HUDに関するもう一つの大きなニュースは、ファーウェイが最新の自動車AR HUDソリューションをIAA MOBILITY 2021で初披露したことだ。

画像3ファーウェイの新しいAR HUDシステム図。写真はファーウェイ提供

新しいAR HUDは13°x 5°の視野範囲まで適応可能で、ドライバーの前方7.5mの距離で70インチの画像を表示することができる。

全体的には、DLP技術を利用して100PPD(1度あたりの画素数)を超えるフルHD表示を実現し、約10Lのコンパクトなサイズを実現している。また、ファーウェイは同社のHUDが独自の光路設計とアルゴリズム技術を採用し、画像の鮮明度を高め、ゴーストによるめまいを解消していると述べている。

アプリケーションと機能の面においては、Huawei HUDは次のようなものを提供できると主張している。

・ARナビゲーション情報                        ・周辺の車両や歩行者の検出                          ・視力が低い環境(夜、雨の日など)での視力の増強

AR HUD技術は、ドライバーの安全性を高め、私たちの車の運転方法を再構築する準備を進めている。まだまだ課題があることは間違いないものの、ファーウェイやインフィニオンなどはそれを克服しようとしており、今後、有望であることは間違いない。

<訳者メモ>米国からの制裁を受けスマホの出荷台数を一気に落として以降、車関連の開発を一気に加速させている華為ですが、変わらずアグレッシブな技術開発を続けているようです。ゲームのような画面を見ながら運転できる未来が、すぐに実現するかもしれないと思うとワクワクしますね。


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