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美団が再び「半導体チップ」を動かす(後編)

1カ月もたたないうちに、2件のチップ資金調達事件が、同じ投資先に辿り着いた。美団だ。

このうち、最近設立されたウェハー半導体ファウンドリ企業「栄芯半導体」は馮源資本、セコイア資本、美団、民和資本、元禾埼玉などからの戦略的投資を得た。視覚チップ設計会社の愛芯科技による数億元のA+ラウンド融資のうち、美団とその産業ファンド「美団龍珠」も投資家リストに名を連ねた。

前編では、栄芯半導体が12インチウエハサイズの工場を立上げ台湾TSMCのようようなファウンドリメーカーを目指しており、インターネット企業として美団が唯一、投資をしていることを述べた。では後編を見ていこう。

2. 清華の人々は「心が動いた」

美団が栄芯の今回の資金調達において、唯一のインターネット企業として参画することになった背景には、創業者が清華大学出身であるということと一定の関係があるかもしれない。

世間でよりよく知られているのは、清華大学の「EE85系」がが極めて伝説的なクラスであり、このクラスから兆易創新の舒清明氏、韦尔半導体創業者の虞仁栄氏、卓勝微電子共同創業者の馮晨暉氏、格科微電子創業者の趙立新氏、燧原科技創業者の趙立東氏などの半導体チップの大物を輩出していることだ。

前出の陳大同も1977年に清華大学ラジオ電子学科に入学し、同期で唯一、半導体を専攻した学生だ。帰国して半導体集積回路産業を振興したいという願いを抱いて、当時陳大同氏ら一団は海外で深く研究し、2000年に清華学友の武平氏と手を携えて展訊通信を共同で創設した。

これと同時に、創業を通じて中国の半導体集積回路産業の変革を推進しようとするチームには、中芯国際董事長の趙海軍氏、華大半導体総経理の童浩然氏、華卓精科と華海清科の半導体会社2社を設立した朱煜氏などがいる。

半導体チップ業界に身を投じた清華人の中で、上述の業界の大物が自らの技術力を利用して実業興国を目指しているほか、一部は投資家としてもサポートしている。半導体業界の有名な産業ファンドは、陳大同氏の元禾埼玉華、陳洪武氏が設立した国科嘉和、無線電系の李立新氏、鄧峰氏が共同で設立した北極光創投など、清華人の姿がそろっている。美団の半導体業界への投資の軌跡を辿ると、半導体投資分野において重要なインターネット企業の投資活力になる可能性も高い。

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今回、投栄芯に参加した美団の創始者である王興氏は、清華の電子工学部の1997年の卒業生だ。栄芯の取締役会には、工銀国際融通資本取締役社長の嵐金鋒氏と清控銀杏創業パートナーの呂大龍氏も、清華出身だ。

公開された資料によると、清華大学110周年記念日を前に、清華大学集積回路学院が正式に発足した。同学院は主に国家重大戦略の需要に向け、集積回路学科の先端に焦点を絞り、集積回路の「首を絞められる」という難題に照準を合わせ、集積回路に不足するハイレベル人材の育成を加速する重要措置だ。王氏は創立記念日に約10%の株式を寄付して清華基金会を設立したが、同基金会も主に科学研究やハイテク人材の育成に使われるという。

清華の人々が参加している栄芯について言えば、その設立は中国半導体業界の創業活動が設計段階から中上流の製造段階に移行し始めたことを反映している一方で、投資が資源配置の方式として産業の上流にも移行していることを反映している。

これは、美団と他のインターネット企業との間で、半導体チップのサーキットに切り込む方法が異なっていることも説明しているのかもしれない。第一に、投資から始まったこと、第二に、半導体チップと事業におけるシナジー性の問題だ。

業界別では、百度の崑崙第1世代は主に検索エンジン、スマートクラウド生態パートナーなどの具体的な業務シーンに用いられる、テンセントがチップを作る目標は、主にAI加速とビデオコーデックに集中し、そのコンテンツ業務にサービスを提供する。バイトダンスと今日頭条の状況は似ており、バイトダンスも5G時代により多くのコンテンツを搭載しなければならず、これらのコンテンツにはデータセンターやエッジコンピューティングなどのサーバーチップのサポートが必要になる。これらと比較して考えると、美団が半導体チップに投資する論理は十分に明確ではないようにも思われる。

しかし美団がなぜこのような投資選択をしたのかは、王興氏がアナリストの電話会見で表明したように、

「一つの科学技術がどんなにエキサイティングであっても、結局はわれわれの使命を実現するためのひとつの手段にすぎず、目的ではない。われわれの目的は即ちわれわれの使命だ」

と述べたことが表しているのかもしれない。

確かに、多くの人類世界と社会の変革に影響する大きな歴史の機会の中で、最終的に頼りになるのはすべて科学技術であり、科学技術はただ最終的に使命を実現する手段である。科学技術への参加方式のうち、投資や自前研究もすべて手段、人類の歴史を変える大きな機会に参加する一つの手段に過ぎない。

戦略投資でも財務投資でもなく、美団は典型的な使命駆動型投資に属する。

「美団の投資は完全に自社の需要や事業の境界から出発したものではなく、それらの真のビッグチャンス、ビッグトレンドに注目している。半導体チップは他のすべての分野と同様、彼らが注目する最先端の科学技術分野のカテゴリーだ」

美団に詳しい投資業界関係者はそう話す。

この国産代替の大波においては、半導体チップのチャンスが至るところにあるようだが、創業者にとっても投資家にとっても成功するのは容易ではない。チップに注目する資本とチップ創業者が共にこの高度成長市場を構成しているが、最終的にごく一部の企業しか生き残っていないとしても、中国の半導体業界に貢献していることは確実だ。

さらに、どのような姿勢で臨めばチップ製造に向けた大波を乗りこなすことができるのか、それには更なる時間の検証が必要だ。

<訳者メモ>美団の半導体チップ投資に関して後編で述べられたのは、中国有数の大学である精華大学ネットワークが関係しているのでは、というものでした。美団の投資は戦略投資でも財務投資でもなく、『使命駆動型投資』であるというのが筆者の主張です。百度、テンセント、バイトダンス等も投資する中国半導体チップ分野。今後の行方にも注目です。


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