スーパーでレジに10分も並ぶようだとお金持ちになれないよ

周りにお金より時間を大切にしろと教えてくれる人がいなかったので、気づいたのは30歳過ぎだった。親が立派な人だったら小学校に入る前に教えてもらっていただろうと思うと悔しい。私は逆を強制されていた。私のような人の方が多いだろう。

若い子には時間の大切さをなるべく早いうちに知ってもらいたい。私でなくても同じようなことを言ってくれる人は今はたくさんいるので大丈夫だと思いたいが。

とは言え、子供にうまく説明するのは難しい。なのでまずは大人向けの説明だ。以下はよくある話なので知っていると思った人は次の段落まで読み飛ばすことを勧める。
自販機で缶コーヒーを買うとすぐ品物が出てくるが140円だ。同じ缶コーヒーをスーパーで買うと88円で買えることがあるが、広い店内をうろうろしたあげくレジで並ぶので下手すると10分くらいかかる。これで本当に得をしたと言えるだろうか。
スーパーの中で使った10分を他のことに使ったらもっとお得にならないかという話だ。よく持ち出されるのがコンビニのバイトだ。10分間だけ雇ってくれるコンビニはないので、あくまでイメージだ。コンビニのバイトは地域にもよるが時給は800円〜1300円だ。800円だとしても10分あたり133円だ。となると140円の缶コーヒーを自販機で買ってその後10分間働いて133円稼いだら、缶コーヒーは7円で買えたことになる。こちらの方がスーパーで88円で買うよりお得だ。

ここで重要なのはコンビニのバイトは最低賃金ということだ。もっと時給の良い仕事がたくさんある。普通の才能しか持ってなくても時給1万円の仕事に就くのは全然難しくない。テストでクラスの上位に入るよりずっと簡単だ。時給10万円もそれほど難しくない。時給10万円を実現できている人はとてもたくさんいる。時給100万円はチャレンジングな目標だが、達成できている人はいる。時給100万円は誰かから給料をもらっている例は少なく、自分でお金を生み出していることが多い。スーパーのレジに並ぶ10分を使って、そんな仕事に就けるように考えて動いた方がずっとお得だし、考えること自体が面白い。

大人はこの説明で納得するが、子供にこれを説明しても分かってもらえない。これは「時間があったら本を読め」「時間があったら考えろ」と言っているのと同じなので、素直に聞いてくれる子供なんていない。そんな訳で誰か知恵のある人が子供向けの説明を創作してくれないものかと期待している。

私は「こうやってお金を儲けたんだよ。時給換算だと100万円くらいだよ」という経験談ができて、それを子供は目を輝かせて聞いてくれそうなのだが、聞いた子供が相場師を目指しそうなので話すのを控えている。私は「相場で儲けられるのは血反吐を吐く覚悟がある奴だけだ。もっと楽に金を稼ぐ方法はたくさんあるので、そちらの方を勧める」と言いたいのだが、子供は血反吐の部分は無視して聞いてしまうだろう。

お金持ちは1円を節約するためにスーパーで缶コーヒーを買うとか、いろんなお店を探し歩くとかの偽情報を目にするが、それはお金持ちではない人が想像で書いている記事だ。信じてはいけない。遺産相続でお金持ちになった人でたまにそういうケチケチ行動をとる人がいるが、そんな人はマインド(頭の中)が貧乏人なので、なんかの機会に一文無しになったら二度とお金持ちになれない。マインドがお金持ちの人は一文無しになってもまたお金持ちになる可能性がある。どちらがよいだろうか。

あとポイ活もかける時間と得られるポイントのバランスを考えた方がよい。たいていのポイ活は時間の無駄だ。800万円の車を買ってそれでポイントが80万円分付くと言うなら手続きに30分かけるのは有りだと思うが、8万円分しかポイントが付かないのなら手続きをすべきかどうかは人それぞれだ。

最後に重要なことを。お金が全てではない。趣味に時間をかけて楽しむのはお金の損得とは関係ない。クレカのCMで言うように経験はプライスレスだ。ただし、この境地に達するには一度お金持ちになっておく方が易しいのも事実だ。私はいちばん贅沢な時間の使い方は「寝る」「休憩する」「ぼうっとする」「瞑想する」「ふにふに?する」と今は思っている。だからこの20年間は、500万円かけて旅行へ行って旅先で食事以外何もしないというパターンの旅行しかしてない。気まぐれで何かを見物することもあるが、地元の人からしたらなぜこんな当たり前のもの見るのかというものだ。よく考えたら、これはお金がなくてもできることだ。一度お金持ちになっておいた方が、本当の経験の価値に気づきやすいというのはこういう理由だ。

じゃあ、結局お金はいらないのねということにはならない。お金があれば、たいていのこと(お金で解決できること)では怒らなくなるし、ストレスが減って健康長寿が手に入るし、家庭円満になるし、お金が有り余るほどあるのは、お金の有効な使い方を知っている人には悪いことではない。そうそう、もうひとつ重要なことを。お金を使うと時間が買えるのだ。買った時間で趣味に没頭するもよし、寝て活力を蓄えるのもよし、さらにお金を増やす作戦を考えるのもよしだ。

ここからはのろけ話になるが、時間の重要性を私に気づかせてくれたのは専業主婦の妻だ。前世紀だから20年以上前だ。ファーストクラスでヨーロッパへ行った。私は例によって高級なお酒と食事をせっせとお腹に詰め込んでいたのだが、妻はスチュワーデスさんに「寝るから飲み物も食事もいらない」と言って寝てしまった。もったいないのではと思ったのだが、到着してから妻の賢さが分かった。私は寝不足と時差でいつも通りには活動できなかった。妻は元気に楽しんでいた。時間が大事、寝るのが大事と分かったのはこれ以来だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?