移乗用リフトがホコリを被らないために
どーも、おーじです。
今回は介護施設で多発している、リフトがホコリ被る問題とその対策を紹介します。
介護施設における設備投資とは
そもそも介護施設が行う設備投資の詳細は「センサー機器類」と「移乗関連の福祉用具」があり、その他にもオムツ類や手袋などの消耗品があります。
設備投資と時代背景
昔からですが、介護業界の人手不足問題は深刻です。特に夜勤者の確保が依然、大きな課題です。それを補うために見守りセンサーなどの機器を導入していれば、夜間帯の人員配置を0.5人減らせるような法改正があったことも記憶に新しいと思います。
また、見守りセンサーを導入することによって、定時巡回という業務自体を削減する施設も増えてきました。これによって夜勤者の身体的負担は極めて少なくなったと体感しました。
以上のように、その時代の問題を解決するために、新たなテクノロジーが開発されてきました。では、前述した「移乗関連の福祉用具」が活発に開発されるようになった原因はなんでしょうか?
それは「腰痛」です。前回の記事でも少し触れましたが、一昔前まで介護=腰痛だというイメージは根強くありました。それを解決するために生まれたのが「3モーターベッド」「スライディングボード・シート」そして「移乗用リフト」です。
今回の記事は、その移乗用リフトの話です。
導入するだけでは介護士は使ってくれない
よくある例として、介護施設の施設長が介護士と話をした時に、介護士から「腰が痛くなっちゃって」という話を聞いたとします。施設長は、このままでは腰痛が原因で介護士が辞めてしまうと考え、移乗用リフトを購入し、部署に配置します。
介護士たちは施設長に会うとニコやかに感謝の言葉を口にします。後日、施設長が現場を訪れると、そこにはホコリを被ったリフトがあった。
これは実話で、こういった話は多くの施設で見聞きしてきました。それらの話に共通することは、「良かれと思って導入しても使ってもらえない」ということです。
どうすれば使ってくれるのか?
設備投資を埋没コストにしないための方法を説明します。
信頼のある中堅職員を選ぶ
その中堅職員をリーダーとしてプロジェクトチームを発足させる
チームのメンバーに外部研修などでスキルを習得させる
各部署に拡散していく
以上が大まかな流れです。ですが、これでは中堅職員やプロジェクトメンバーの能力に依存しているため成功確率は低くなります。もっと成功率を高くする方法があります。
介護士の感情を刺激せよ
ここでいう感情は「不安」「恐怖」と「楽」です。そして、これは私が実践して効果は確認済です。では、何をするのか? 単刀直入に言います。
強制的に「試験」をしてください。
それぞれの福祉用具に対して実技試験を作成し、プロジェクトメンバーを実施主体として全ての介護士を点数で評価してください。そして、その試験結果が給与や賞与に影響すると明言してください。担当者は反感を買うことになりますが、試験に合格した職員から順に手のひらを返し始めます。
また、点数の良かった人には報奨金などを贈呈すると年々クオリティが向上していきます。
こういった試験を行うと、ほとんどの介護士は自発的に練習をします。そして、自然とスキルを身に付けていきます。結果、現場で実際に使ってみたくなり、使います。そして、道具を使うことがどれだけ「楽」なのかを体感した瞬間、その職員のスタンダードな介護が変わります。
気が付けば、リフトにホコリが被っていない状況になっているでしょう。
まとめ
本来であれば、試験のような人員を割くことはやらないに越したことはありません。私が実施した際には、個室内にてカメラで動画を撮りながら、メンバー複数人で受験者を囲んで行いました。過度なストレスを与えていたと思いますが、結果的に移乗用の福祉用具のスキルは全国トップクラスになりました。
経営者からすれば「投資したからあとは任せた」と感じるでしょうが、想像以上に現場の介護士たちはロジカルな思考・行動ができません。そんな職員は多くの場合「出る杭」なのです。
よく「家に帰るまでが遠足」と言われますが、設備投資も同様で「使ってくれるまで」が大事なのだと思います。
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