「眼瞼下垂の手術」を喜んでやりたがるひとたち

シリーズ企画「眼瞼下垂のおーばが語る『整形』のおはなし」
今回は第2回「眼瞼下垂の手術」を喜んでやりたがるひとたち をお届けします。

『プチ整形』ということばが使われるようになったのは2000年以降のことだと思います。
『プチ整形』の正確な定義はあるのかもしれませんが 切らない『整形』ということになるのでしょうか
たとえば皮下に薬液を注入したり、皮下に糸などを埋没させることで、 
見た目の美しさを整えること ということになると思います。

あくまでも個人的感想なのですが 以前よりも『整形』に対するハードルが下がったのは
この『プチ整形』ということばのおかげのように思います。
(この場合のハードルは
自分や家族が手術を受けるときのハードルでもあるし
他人が『整形』手術をしたとき、それを容認する気持ちのハードルでもあります。 
ですが 実際は一筋縄じゃなくって… 
いやそれはまた 別の機会にお話しましょう。)


「プチ」をつけることによって 患者さんの抵抗感を見事に払拭したんだなあと、感心します。
身体にメスを入れない(身体を傷つけるのではない)ことをアピールしたのも一因とも思います。
こうして
ひとは より美しくなるために、あるいは若さを保つために
美容外科クリニックに行って『整形』をします。
プチとはいえ 自由診療ですから 10万円単位の手術代がかかることも多いですね。

まぶたの手術をする際 多くの美容外科クリニックで
「眼瞼下垂の手術ということにすれば、保険が適用になります」ということを宣伝しています。
保険が適用になることで 患者さんが負担は片目2~3万円になります。
(医療施設によって異なると思いますが)

かくて 若い女の子のブログなどで
「ラッキー! こんど、眼瞼下垂の手術しまーす♡」という文章を目にすることになります。あるいは手術を受けたいという意味だと思うのですが
「眼瞼下垂したい」というつぶやきも出てきたりします。

あたかもプチ『整形』をするような感覚で書かれているのですが
眼瞼下垂の場合、本当に症状を改善させるためには まぶたを上げる筋肉を縫い縮めたり まぶたを上げるための材料をまぶたに移植したりするので、プチ『整形』とはいきません!
施設によってはまぶたに関する手術を全部「眼瞼下垂」ということで保険対応にしているのかなあ
と思ってしまったりもします。
(現状をレポートしたことはまだないのですが)


生まれたときから眼瞼下垂に悩んでいる人やその家族からすると、このカジュアルさが奇異に思えます。
眼瞼下垂という病気を軽くみられているような
美や若さを求めたい人のために 病名を利用されているような 複雑な気分になります・・・。
 
ただ。
本人も家族も気がつかないながらも 実は眼瞼下垂の症状があって
美容外科を受診したことがきっかけで先天性眼瞼下垂を診断されて
挙筋短縮術や 腱移植などであがりにくいまぶたを上げることができたという話もよく聞きます。
カジュアルな『整形』がもてはやされるような時代になったことによる よかった面だと
そう感じたりもします。

でも 
「眼瞼下垂の患者支援をしている身」から一言言わせていただくならば、
美容外科クリニックでまぶたの手術をするときには ぜひ眼瞼下垂を得意にしている施設を選んでほしい。
見極めるポイントは その病院のwebページ。
形成外科にしろ、美容外科にしろ 
自信をもっている手術に関しては その病気のページを作って
原因は何か とか どんな手術の方法をとるか などをきちんと作っているから。 
安いから とか 短時間でできるから 
という理由で 決めてしまわないこと 
じゃないと 
「こんなはずじゃなかった!」ということに なってしまいかねません・・・。

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