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音のヴェールをはがす電源タップ KOJO TECHNOLOGY Crystal 3.1レビュー

電源タップ=音の最上流のお手入れ

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みなさん電源には手を入れておられますか?手持ちのシステムのS/Nや音のキレ、音場の見通しなどすべてを向上させてくれるのでオススメです。

オーディオは電気の遊びです。電気信号を再生機器が読み取り、アンプで増幅します。増幅された電気信号はイヤホン/スピーカーに至り「フレミング左手の法則」により物理的な振動=音に変わります。この電気信号を、いかに歪みや損失なくイヤホン/スピーカーに届けるかがオーディオの勝負です。その最上流に位置するのが電源部。ですから、電源へのこだわりのあまり電柱まで立ててしまうオーディオマニアがいたりするわけですね。

電柱となるとおおごとですが、今回レビューするKOJO TECHNOLOGYの電源ボックス「Cryrstal 3.1」は大きさも価格も手頃です。「電源は適当にしてた!」という方にこそ試していただきたいアイテムです。

前代機からの進化

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私はKOJO TECHNOLOGYさんにはお世話になっています。下の黒い電源ボックスは前代機。要するに以前から自前で使っていたんですね。電源ボックスの効果は何と言っても「S/Nが向上する」こと。機器をスタンバイした状態で、アンプのボリュームを上げると「サーッ」という音がしますね。この「ホワイトノイズ」が電源ボックスを嚙ますと明らかに下がる(あるいはなくなる)。この精度が前代機より格段に上がっています。

では、S/Nが向上するとどうなるのか?「静かになる」だけではないのです。例えばおいしい水でお米を炊くとご飯が一味変わってくるように、絵の余白が白いほどに彩色部の色合いが引き立つように、S/Nの向上は音の全てに好影響をもたらします。

音に雑味が減り、高音は伸び、低域の迫力は増します。音場はクリアになって楽器の位置が把握しやすくなりますし、ヴォーカルには艶が乗ります。音の邪魔をしていたヴェールが一枚剥がれて、サウンドのあるべき姿が見えてきます。音の最上流を整えるから、下流の全てが澄んでくるわけです。

ヘッドホン派にこそ試してほしい

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私見ですが、こうした電源の話は据え置きオーディオの媒体でよく見かけこそすれ、デスクトップオーディオの文脈ではあまり見たことがありません。しかし効果は同じどころか、イヤホン/ヘッドホンは据え置きと違って部屋の影響を受けない分、電源部による音質向上をよりダイレクトに感じられるはず。というわけで、部屋の逆側のデスクトップオーディオにCryrstal 3.1を噛ますことにします。

百均タコ足からの卒業

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これが以前の状態です。デスクトップ周りって、コンセントの取り合いになりませんか・・・?PC、デスクライト、各種充電器・・・見苦しいし電源として最悪なのはわかっていても、こうして百均のタコ足を使ってしまっていました(せめてもの抵抗として、USB-DACにはIFI audio iPowerを入れていた)。そこにCrystal 3.1を導入すると。

製品グレードが上がったような感覚

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こうなります。聴く以前に、「これは音も間違いなく良くなるな」と精神面が上がります。ちなみに挿しているのはUSB-DAC、PC、ヘッドホンアンプのコンセント。欲をいえばデジタル系とアナログ系で分けるのがベターですが、タコ足と比べれば大きい進歩でしょう。

そのサウンドは、全ての機器のグレードがひとまわり上がったかと錯覚するほどのもの。基礎体力が上がって、音の全ての動きに余裕が出ました。

電源ボックスや電源ケーブルなど、電源周りを整えることの良さは、元の機器のサウンドへの色付けが少ないことです。たとえばイヤホンのイヤーチップを変えるのも楽しいですよね。ですがイヤーチップは音質向上と同じくらい、音質アレンジの要素があります。先ほどのコメの例えで言うと、炊き上がった米に具材を混ぜ込んで変化をつけるような感じです。ご飯自体はあくまで同じご飯。それに比べると電源部の向上は、米そのものが美味しくなる。ふっくらと炊けて、米の旨味・香りも格段に引き出されている。そしてそんな風にご飯そのものがグレードアップするということは、そのご飯をどうアレンジしてどんなおかずに合わせても、おいしいわけです。

私はレビューをする際、消費者観点で、製品の弱点も指摘することを心がけています。ただ、Crystal 3.1は正直文句がありません。価格は効果を考えるとリーズナブルですし、他社製の電源ボックスより安い。デザインもいい。形状は縦長でスマートなため、オーディオラックの裏側など狭いスペースにもすんなり入ります。電源が四口とれるのも十分な数ですし、機器自体に制振機能があるためインシュレーターをしかないでいいのも助かります。

ONZOでレビューした製品の中で、なにげに一番のオススメです。特に「これまで電源は何もしていなかった」という方。手持ちのシステムのサウンドが、一枚も二枚もヴェールを取り払ったフレッシュな音を聴かせてくれますよ!これを機にぜひどうぞ。