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中央区 十思湯

2020.12.03.

今日は、銀座一丁目での仕事が終了。
え、若干終了時間が早いのではないかって?
そういう見方もあるかもしれないが、お答えは控えたい。

そういうわけで、銀座一丁目から日本橋高島屋に立ち寄ってお惣菜を買いに。私はここのお店が好きで、結構おすすめ。渋谷、青山にもあるので、近くを寄ったら大体買ってしまう。以前、渋谷のフードショーにはジェラート屋さんもあって、そこの求肥、小豆、抹茶のジェラートが特に好みだったのに、改装でお休み中なので残念。
その足で、さらにてくてく15分、中央区の銭湯お遍路もラストスパート、こちらの銭湯に。ビル型というか、「十思スクエア」という公共施設の2階にあり、いつもの所謂「銭湯」とはちょっと違う。とはいえ、港区「ふれあいの湯」のようなそっけなさもないのが不思議だ。この建物には、保育園やデイケア施設、地域包括支援センターがあるようで、子どもからお年寄りまで行き来するからなのかもしれない。

例によって回数券でお支払いすると、行き来する常連さんが多いよう。時間帯にもよるのかな。こちらは開店して6年半で、「東京銭湯」でも記事になっているが、店主は台東区蔵前で「梅の湯」という銭湯を43年経営していた方。かわいいおじいちゃん、シルバーセンターの方なのかななんて思ってごめんなさい。

例によって事情聴取タイム。新潟県のご出身で、おそらくご兄弟と上京し、揃って銭湯に勤め始めたのだそう。ご兄弟もだいぶ前まで、千葉で銭湯を経営していたのだとか。10年ほど前に「梅の湯」を閉めた後、2年ほど遊んでいたのだそう。だって、毎日忙しかったもんね。
ちなみに、廃業時の記事は、ファンの方のものがムネアツ。外観などは、「月刊・お好み書き」のこちらの記事で。
めちゃくちゃ立派な銭湯だったんだね。

廃業後、組合から「今度新しい施設ができるから、ぜひ運営をお願いできないか」と依頼があり、十思湯の開店からこちらに来たのだそう。これ、銭湯好きにはたまらないエピソードだよね。
常連さんが「奥さん、お元気?」と声をかけていたので、メモを取りながら待っていると、こちらの運営をお手伝いされている奥さんが怪我をされてしまったようで、しばらくいらしていないので、みんなが心配しているのだそう。自転車で通っているそうで、「足のけがが治ったらね」と仰っていた。

ちなみにその「梅の湯」、先ほどの記事でも立派な外観はわかると思うけれど、NHK連続テレビ小説「こころ」にも撮影協力したのだそう。すごい。一流銭湯!ぜひ行ってみたかったなあ。

さて、脱衣所は小綺麗なロッカーが並び、かつての「梅の湯」とはだいぶ違うのだろう。町場の銭湯には生活感というか、雑多な置き物や掃除用具、そして空気感があるけれど、ここにはそういうものはない。綺麗だけれど、昔の話を聞いてしまうと、ちょっと寂しいけどね。

浴場は、これまた綺麗。手前にはカランが20席ほど、右手には立ちシャワーが二席あり、奥には大きな湯船が二つある。左手は45度くらいのあつ湯と右手には41度のお湯でジェットバスが二席ある。湯船のヘリにはプールサイドのような座れるスペースもあり、きっと身体が少し不自由な方も脚だけ、下半身だけと、浸かれるようにバリアフリー仕様なのかもしれない。そしてその脇の男性サイドとの境には日本橋を描いた浮世絵が壁絵にあり、その並びのサウナの部屋には椅子が四脚、入り口の方を向いて並んでいる。

サウナは、男性はドライ、女性はスチームだそうで、こちらは45度くらいの温かさ。入ると、耳鼻咽喉科で鼻に入れる蒸気の機械から出てくるような香りが懐かしく鼻腔をくすぐる。苦しくないのだけれど、あまり長居もできなくて、2セット温まった。

ジェットバスでは常連さんとちょっとおしゃべり。65歳以上だと、区民はこちらを100円で利用できるのだそう。お母さんは定休日以外はご夫婦で食後に来ているのだそう。ここが休みの日は、「千代田区の玉の湯も近いけれど、こっちの方が綺麗だからね。定休日は玉の湯かしょうがないから自宅かなあ」と。自宅にお風呂があるのにこちらに来るのは、お掃除も面倒だし、何より安いからだそう。そうだよね、100円ならね。私もそうしたい。気持ちいいし、ねえ。綺麗すぎるお風呂で、昔ながらのコミュニケーションがあるのも、とてもうれしい。

脱衣所に戻り着替えていると、シルバーヘアのおばあさまが、「あなた、ちゃんとドライヤーかけた方が髪の毛つやつやになるわよ」とありがたいお言葉をくださる。あい、とぅいまてーん。私、いつもこのまま帰るんです、だからボサボサなの。

ここ、本当にのぼせちゃうほど温まる。きっと、「梅の湯」もいいお風呂だったんだろうな。

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