町田市 大蔵湯
2020.12.10.
今日は午後半休を取り、ふらっと町田まで。しかし、町田ってのはさ、新宿からかなり距離がありますわね。
まずは、「町田市立国際版画美術館」に。町田駅からてくてく20分。そんなに距離を感じなかったのは、きれいな紅葉があったから。過ぎ去りし秋だけれど、景色だけは憶えておくからね。
展示は、美大生の版画ばかりを集めた作品が飾られていて、昨年の夏に東京藝大でまなんだリトグラフ制作のことを思いながら、これはどうやって作ったんだろう、次に体験するならこんな技法も使いたいな、と「自分ごと」として鑑賞できた。
結局、なんでも「自分ごと」にしないと身が入らない。作品もそうだし、銭湯料金だってそう。以前は、版画の作品なんて見ずに通り過ぎてしまっていた。けれど、5万円と安くはない受講料を自腹し、土日の7日間、朝から夜まで上野に通い、インクで洋服を汚したりしながらできたリトグラフの作品たち。
さて、美術館からなぜ徒歩を選んだのか不明だが、てくてく55分。翌日の在宅勤務に備えてPCを持ち帰っていたのを忘れていて、すっごく重かった。ゆえに、すごく疲れた。
例によって回数券でお支払いし、フレッサーと大小タオルをお借りする。ちなみにここのフレッサー、すごくいい。スタンプをもらいつつ事情聴取。こちらは現在二代目で、フロントの女将さんが石川県出身、ご主人が新潟県出身で、お二人が一代目。世田谷区祖師ヶ谷大蔵あたりの銭湯で修行し、こちらの銭湯を始めたのだそう。今でも道を迷えば、真っ暗な小道。当時は丘の上のお風呂屋さんだったのだろうな。二代目はおいくつかわからないけれど、よきものを知り、そして、若々しい感性をお持ちなのだろう。
脱衣所は、焦げ茶で統一されており、天井の模様が素敵なので、ぜひ見上げて欲しい。トイレの反対側の扉は、外につながるようで、この状況下では換気のために開け放たれている。今日は外気浴なしで、内装を楽しもう。
浴場は、奥の壁一面が富士山のモザイク画。振り返ると、入り口側は朝陽のようだ。黄色、山吹色、白、オレンジでトーンが揃えられた富士山。向かいの壁の朝陽を浴びてキラキラと輝きを増している。富士山を照らすは、天井のスポットライトも。空間の水蒸気もキラキラと煌めく。お客さんはたくさんいるのに、静謐な時間。
カランが男性サイドの壁と奥の壁の二面に10席ほど用意され、手前左手に立ちシャワー。お湯は全て天然井戸水を軟水化しているようで、シャワーからもとろみのあるお湯が。シャワーヘッドも、今井健太郎さんの設計でよく見る機器だ。檜風呂が三つあり、ぬる湯、やや熱湯、17度の水風呂がコンパクトにまとまっている。そうか、2016年12月にリニューアルしたとのことで、まだ四年しか経っていない。なのに、なんでこんなに落ちつくのかといえば、光と無音と素材がそんな空間を作っているからかもしれない。連子格子(れんじこうし)という作りで、見上げると落ちつく内装。
今日はサウナも。定員は6人のところ、4名に制限されていて、なんと貸切。8分を5セットして、ここでも無音と自分と向き合う。ああ、極楽。
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