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新宿区 金沢浴場

2020.09.24

新大久保駅からてくてく15分、賑やかな大久保通りを東新宿駅方向に向かい、静かな住宅街にぽつんとあるお風呂。

浴場に入るとそこは、かぐや姫の物語のよう。「竹取翁といふものありけり」の翁の気分になれるお風呂。なんなら、たけのこの里のたけのこでもいいよ。

露天風味の屋内風呂、バイブラ、マッサージ湯2席とこじんまりとしながらも、よい気分。利用者も静かなお風呂を楽しんでいて、よいお客さんに支えられているのだなあ、と。

脱衣所も含め、注意書きめちゃくちゃ多いのはなんででしょう?

お風呂を出て、ハシゴの銭湯に向かいながら、「アレ?なんで金沢浴場なんだっけ?」の理由を聞くのを忘れたことに気づく。ここも北陸の方のご出身なのだろうか。と思いつつ歩きながらも、気になりすぎて200mほど戻り、店主らしき方に聞いた。こういうあたりが、私の挙動不審のサガなのだろう。

「金沢とついていますが、北陸ご出身なのですか?」と今出たばかりの私が出戻ったことに驚かれつつ、「名前の由来は、店の前が昔、沢になっていたそうで。当時はこの辺りでも稲作をしていたので、稲、つまりお金のたくさん成る沢、で金沢にしたそうです」とのこと。
「北陸は関係ないんですね、ご出身の方が多いと聞いたので、それはなんでなんでしょうね」と続けざまにお尋ねすると、「集団就職で、同郷の先輩を頼って上京して銭湯で働き、暖簾分けをして増えていったんです。公衆浴場は都の認可が必要なので、そう簡単には開業できない。けれども暖簾分けなら認可不要、そういうわけで北陸出身者の銭湯が多いんです」とのこと。なるほど、一部謎が解けた!

さらに事情聴取の手は緩めず、「ではこちらも兄弟店、姉妹店はあるんですか?」と聞くと、「墨田区の・・」と話してくださり「墨田区は結構行きましたよ、どちらですか」と聞くと「大黒湯と黄金湯を親戚がやっていて」とのこと。なんと、あの二軒の本家がこちらなのだそう!

店主の「風呂屋は必ず繋がっているんですよ」と笑った店主の表情がめちゃくちゃかっこよかった。よっ!名言でた!ちなみに本家の本元は新潟出身なのだそう。

開業について学んだところで、思ったこと。となると、一旦廃業になるともう減っていくばかりなのね。とても寂しいことだ。

寂しい気持ちを携えつつ、ハシゴ銭湯へレッツゴーウ!


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