見出し画像

食べるを読む「男子厨房学入門」

 男子厨房に入らず、という言葉もあったけれど、最近では料理する男性は珍しくなく、文化も変わってきていると感じます。玉村豊男さんの「男子
厨房学入門」は1985年の本なので、当時と時代も違いますが、まだまだおもしろい。タイトルのとおり料理の入門書ではあるけれど、レシピに縛
られないのが特徴です。念のため書いておくと、普段料理をしない男が急に凝った料理をつくって後片付けせず困るということにはつながりません。 最初は、古い食パンをフレンチトーストにする、その次には包丁を使わず手でトマトを潰して料理するなどちょっとずつステップアップ。料理本なのになぜか感情移入してしまう文体も魅力です。

 この本のキモは、刺身もサラダも、生ものにソースをつけて食べる点では同じ料理なのではないか、と分析する抽象化。これは、冷蔵庫のありものから料理を考える応用力につながると思う。これを「料理はパズルだ」と表現していて、自分が料理初心者だったころに、できることが広がっていったときの楽しさを思い出しました。 

●片山大

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?