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無駄を愛そう。

効率を求める動きが、
いやでも競争を意識させて、
それで
なにもかも
苦しくなることに気がついた。

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だから、
この夜に、
この夜だけで終わるものをつくろう。

言ってしまえば「無駄」なこと。
無駄を愛そう。

きょうもピアノを弾いた。
ギターも弾いた。
砂浜に寝転んでお日様のひかりを浴びていた。
柱を見つけた。倒立を手伝ってもらった。

名前のつかない様々な行いをした。
なんともいえない息をしていた。
どことも言えない方向を見ていた。
言葉にならない音を聞いていた。
意識には上らない音も、耳には入っていた。


鼻に感じた香りを
名付ける言葉を
うちは知らなかった。

視覚も、嗅覚も、聴覚も、何もかも無駄だ。


無駄に生じて、無駄に消えゆくもの。
でも、だからこそ
その上で感じられることは愛しい。
ときに美しい。

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仕事も恋も、
競争が入り込んでしまった途端、
その場は苦しみばかりになる。

その上、
その苦しみは経験としては記憶されない。
ただ頭の中だけのことだからね。
出来事の記録に名前がつくだけだ。
思い出のない記録。

仕事でも、恋でも、
本当に記憶に残っているのは、
競争や効率性から自由だった束の間のフェーズ、
束の間の場面だけだった。



無駄をなくそうとする動きが、
効率を求める動きが、

無駄でできた美しい世界の鑑賞を
著しく阻害する。

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絵を描くときも、
ピアノを弾くときも、

下手したら
競争に成ってしまって
記憶に残らない営みになる。



より「無駄」に。
より「遠回り」に。

そもそも、
生きていること自体、
壮大な(壮大だと思われている)
無駄なんだから。

元々が遠回りなんだから。

無駄をなくす動きはきっと馴染まないんだ。
生きることにはね。

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うちは、
無駄を愛そう。

29.4.17 Mizuki

絵を描くのは楽しいですが、 やる気になるのは難しいです。 書くことも。 あなたが読んで、見てくださることが 背中を押してくれています。 いつもありがとう。