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民主主義とは。『香川一区』を観て

『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編ともいえる、立憲民主党の小川淳也議員の昨年10月の衆議院選挙出馬の様子を追ったドキュメンタリー『香川一区』を観てきた。前作も見ても思ったが、スタートラインに立つだけでも準備や応援依頼など、膨大な労力・資金が必要になることに呆然とした。私も微力ながら、昨年の都議選に出馬した大学時代の先輩の応援でビラ配りやポスティングなどに関わっていたので実感として思い出した。

途中、小川議員の青空集会でお子さんを育てている女性の発言のように、大方の私たち有権者は「右とか左とか、保守とかリベラルとかはどうでもいい。暮らしやすい生活を実現してほしい」という思いがだんだん厚くなってきているのではないだろうか。30年近くのデフレ、またそろそろ2年が経つコロナ禍が追い打ちをかけているのは確かだろうが、そういった姿勢は民主主義的なのだろうかと考えてしまった。

経済的困窮、またモリカケ桜の問題など未解決な課題は山積みだが、一向に投票率は6割以上に到達せず、低迷している中、私含め多くの有権者は上の彼女の発言のように「誰でもいいから暮らしを楽にしてほしい」という思いを一度でもよぎるが多いだろう。でも、それは民主主義ではなく、一方的な依存にはならないだろうか。相手を疑う言い方になるが、一見余計な争いを排除している姿勢のようでありながら、映画で示されるように、他方で組織票で特定の候補に投票させるようにしたりする実態が起こることも許しているのではないだろうかと思った。

暮らしを楽に、というのはどのように、税負担の軽減なのか社会保険料の負担軽減、あるいは雇用の受け皿の拡大なのか。具体的に切り分けると、どんなテーマでも政治に結びつく。この映画の反響が、マスコミでは報道されない現政権の現実が明らかになるという効果もあるのはもちろんだが、視聴者の我々が単に小川議員の政治家人生感動物語のような受け止め方をせず、次の選挙や誰かの出馬の応援活動、あるいは政権にとって不都合な情報を積極的に発信しているメディアを観たり聞いたり、何かしらのアクションに繋げるきっかけであることを願っている。それが、自分たちの民主主義の始まりであるから。


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