見出し画像

今どきの韓国ブームとジェンダーについて

昨日、こちらの本を読み終わった。サブスク視聴しているジャーナリスト、津田大介氏による「ポリタスTV」の中で激震が走った、歴代視聴回数NO1、「宗教右派とフェミニズム」についての回を書籍化したものだ。

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B0CFQPWDQP/ref=ya_aw_dod_pi?ie=UTF8&psc=1

昨年7月の安倍元首相銃殺事件から、約30年ぶりに統一教会と政界の癒着についてクローズアップされた。のみならず、源流をさかのぼると戦後の反共のうねりから現在の性教育の規制・家父長制を助長させるような政策の数々の関連性が見えてきたのではないだろうか。今読み返しても改めてずっと感じ続けてきた違和感がはっきりした。そして2023年9月、内閣改造が行われたが閣僚のうち女性5名が任命されたが副大臣・政務官クラスは54人中0人という衝撃のニュースが出た。

おまけに任命した女性5名については「女性らしい感性を持って仕事してほしい云々」と、令和とは思えないような性別役割分業の発言が出た。とうに男性は外で働き、女性は家庭を守ると考えることそのものがハラスメントになる今、日本だけがますます取り残されているように思えて、一女性として絶望している。

その中で、今いる職場は偶然にも女性が管理職含めてほぼ100%なのだけれど、多くの人が韓国好き(マニア)である。韓国料理食べにふらっとコリアンタウン行っても、ハイティーンから20代の若い女性が楽しそうに歩いている姿が目立つ。K-POPなどのポップカルチャーの活躍が目覚ましいというのはあるだろうが、根底にはいろいろな面で遅れている日本の文化に見切りをつけたのではと思っている。最近私も追いついていないが、ネトフリで放映されるドラマは、直球でジェンダーや社会格差の問題などを、演出の巧みさも併せて視聴者につきつける作品が多いのもある。ジェンダーギャップ指数においては他国と比べたら日本と状況が似ている韓国だが、光州事件のように、既存の社会のありかたに対して声を上げ、自ら自由と権利を勝ち取ってきた歴史、成功体験が続いているのも一因かと思っている。

私は20年前の「冬ソナ」に始まる韓流ブーム(当時中学生)から、韓国ドラマ、バラエティなどを見ているが、当時のブームとは一味違うなと思う。もちろん、特定のアイドルに熱中するのはありつつも、同僚たちを見ていると数か月に一回韓国にいったりとか、自分のライフスタイルの一環として取り入れていると感じたからだ。ポップカルチャーだけでなく、韓国語も、料理も好きで日本にいるときは言葉や料理を習ったりと、日常生活に深く根を下ろして楽しんでいるといったらいいだろうか。おそらく、20年前は比較的単発的で、特定のアイドル・TV番組にはまる傾向があったのに対し、今の若い世代を中心とする楽しみ方はとても日々の暮らしに接しているように思う。少なからず、この10年経済的にも、ジェンダー的にも後退している状況を、一番肌身で感じているからではないだろうか。なんとなく「ゆるやかなシスターフッド」が形成されているようで、彼女たちを見ていて思う。好きなことに好きと堂々といえて、お互いの好みを認め合える。新大久保を食べ歩きしながら楽しそうにしている彼ら・彼女たちを見ていてうれしくなりながらも、閉塞感に一番しわよせが行くのが、経済的にも、社会的にもまだ不利といえる人たちに行く現状を実感した。

この10年続いている政権に対してNOを突き付けるのが、比較的女性の方が多いと世論調査で出ているのは、いまだ続いている「こうあるべき」という価値観に対して疑問を持ち声を上げているからだ。もちろん男性も「あるべき」の押しつけは害悪でしかない。ただ、多かれ少なかれ、今の世代でも「あるべき」が内面化されていることがあるなかで、やはり押し付けられた行先には妊娠・出産という肉体的にも精神的にも大きな負担が女性には身に迫っているからにほかならない。
※意見をパブリックな場で表明したら誹謗中傷、エスカレートすると性犯罪の被害にあうなど、それぐらい、不均衡な現状があることを、特に日本の男性の政治家・為政者を目指す人に認識してもらいたい。一度被害を負ったら一生あらゆる痛みに苛まれるからだ。特に性犯罪はなおさら。
お腹に一年近く、一人の人間を抱え、四六時中体調不良や気分の不安定に襲われる。いくら医療技術が発達しようと、身ごもるのは女性しかできない。

家父長制はじめ、宗教右派はそうした女性の姿を「聖母・淑女」と持ち上げ、そのようにすべての彼女たちに強いている。それは、「保護してもらえる」と耳障りの良いことを言っているが、家の管理下に置かれ自由意志を奪われることと裏腹である。いくら少子化止めようと叫んでも、そうしたバイアスがなくならない限り、子どもを産もうとは思わない。隣の韓国はいろいろなメディアを通じて訴えてきたし、状況が似ている分日本の女性たちにとって更に身近な存在になったのではと考える。単にカルチャーの魅力、洗練さだけでなく、ソウルを中心にジェンダーなど社会問題にフォーカスした書店が多くなったりとか、ふっと、無意識でも生じた違和感やあるいは共感するものがフランクな形であちこちにあるのかな、とは思う。

私もおそらく今の政権にとっては「扱いづらい人」にカテゴライズされているだろうが、(30代前半独身・子無し・一人暮らし・特に結婚願望なし)「らしさ」を脱却し洗練された風が吹きわたる隣国が好きになるのは納得しつつ、誰かと一緒じゃなくても、いつでもどこでも、身体的に・精神的に安心していられる場所にこの日本がなるよう、できるところからがんばっていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?