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胃袋を掴まれた話

私は突然遊びに誘われるのが好きだ。
次の日でも、お互いの予定が空いていて天気が良ければひょいとバスに乗る。

これは2019年6月のお話。

2019年、就職活動に心が折れそうになっていた所をネットでなんとか精神を保っていた。

その頃急に仲良くなった子がいて、5月にネットで出会い、6月には泊まりに行っていた。
私史上最速の人間関係だった。

その子の家は私の家からバスに乗って電車に乗って、3時間くらい。駅名は思い出せないけど神奈川だった。結構遠かったのだけど、知らない地名呼ばれる度、私はとてもワクワクしていた。ワクワクすっぞ!!と心の中で言っている。そしてその子とはじめて会ったのだ。
特に写真なども交換せずに待ち合わせをしたのだが、雰囲気ですぐに分かった。

その夜はとても楽しくて、徒歩で行けるカフェでカレーを食べたり、そのお店に置いてあったクラシックギターを弾いて遊んだ。その後たくさん歩いて横須賀辺りの古着屋さんを巡ってマックを食べた。私はその子が後輩から貰ったというステキな鞄を借りて下げていた。

歩いているとどっちの道がいい?と言われて、私はたくさん歩く方と言った。その方がたくさん話せるし。
だか、途中から小雨が降ってきた。

帰り道でやってるのかやってないのか不安な感じのお店でシュークリームを買って食べた。
仲良さそうな老夫婦が接客してくれて、和やかな気持ちになった。
小雨の中、普通に歩いていたので老夫婦には不思議に見えただろう…

最後にコンビニで次の日のご飯を買って帰る。

そしていつもの様にその子はお風呂に入らず力尽き、寝ようとしていたのを叩き起こした。
今日の私の任務である。

その後ちゃんとお風呂に入った二人はいい匂いを纏って柔軟をしたり恋の話をした。
布団の準備をする。こういうのは本当に楽しい。お泊りはこうでなくては。

私は泊まらすよりも断然泊まる方が好きで人の家の布団の新しい感じに包まれて眠るのが好きだ。とその時つくづく思った。

次の日、何時に起きたかは忘れたが、もうお昼前だったと思う。その子が料理を作ってくれた。
そこで私は初めて"胃袋を掴まれる"ということを知る。その組み合わせをするのか驚くけど、美味しくベストマッチしているという。
新しい感覚に。

今まで料理というのはレシピ通りに作れば誰でも同じ様な物を作れると考えていて、大して変わるものでは無いと思っていた。
でも違った。料理はもっと自由なもので、何もかも、育った土地や調味料の選び方など何でもありの世界だった。
その選び方と感性はとても真似ることが難しい。個性的なもの。

完全に掴まれた。

食べたいなと、ふと思い出してしまうのだ。

1つだけ伝授されたものを自分で作っては他の料理ももっと知りたかったと欲ばってしまう。

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