別府鉄輪の『腸活×湯治ととのうワーケーション』がとても良かった(後編)
別府は鉄輪(かんなわ)温泉の、3泊4日で行ってきた『腸活×湯治ととのうワーケーション』レポートの後編です。前編(1~2日目)はこちらから↓
3日目
手前味噌づくり(食の改善ワークショップ)
3日目は、食の改善を目的とした「手前味噌づくり」からスタート!
講師は、大分県杵築市(きつきし)にある「からだこころ健幸協会」の菊池さんです。
「からだこころ健幸協会」は、『時短で簡単にできる発酵調味料で腸内環境を整えることで、あなたもあなたの家族も健やかな幸せ “健幸” になってほしい。(HPより)』という想いで活動しています。現在は合同会社として、調味料キット販売やアドバイザー養成などの事業をしています。
まずは味噌の基礎知識を勉強。味噌は主な材料「大豆」と、用いる麹により「豆味噌」「麦味噌」「米味噌」があり、地域によってよく使う味噌が分かれています。
ここで「青森では主にどの味噌ですか?」と先生に聞かれたのですが、気にしたことが無かったのでさっぱり分からず。。
帰宅後に冷蔵庫の味噌を見ると「米味噌」だということが初めて分かりました。青森の温泉地、大鰐町にある温泉醸造の味噌です。(青森アピール)
味噌作りスタート
ということで、初めて自分の手で作る手前味噌づくりがスタート。今回は麦・米の合わせ麹と、温泉の蒸気で蒸した「地獄蒸し大豆」による味噌を作っていきます。この大豆を蒸して熱々の内につぶしたりするのが一番大変だそうですが、味噌づくりキットではこの工程が実施後の状態なのです。
ここから素手で作業していきます。人間の身体には腸内や皮膚に「常在菌」という菌が誰でもあるそうです。行程の途中で自分の常在菌が手から素材に移るので、出来上がった味噌は人によって違うオリジナルになるとのこと!
手で味噌をこねたり、空気を抜くためにたたきつけたり、団子にしたりして、最終的に樽にピッタリ入れて蓋をします。重量2キロ!このまま寝かして、9月になったら味噌が出来ている予定です!9月が楽しみ!
フリータイム
味噌作りの後は、夕方の合流まで少しフリータイム。
前日に事務局の方々が素敵だと噂していたカフェ「Alice」が気になったので潜入しました。
こちらは鶏のおだしの温麺や、別府名物やせうまが人気メニューとのことです。自分もそれらを頼もうと思っていたのですが、メニューを見て、どうしても気になったのがこちら・・「炭酸そうめん」。
写真だと分かりにくいかもですが文字通り、炭酸水の中に浸されたそうめんです。そうめんがシュワシュワ・・口に入れてもシュワシュワです。自宅で炭酸水の中にそうめん入れたらできるんじゃないか、という気がしつつ、一方で絶対に自宅では再現できない何かが隠されている気がする…!という感想でした。スッキリおいしく頂きました!
爽快感そのままに、共同浴場のひとつ「谷の湯」に入浴。お金を入れるところに迷いましたが、受付にあるパイプへお金を投入するシステムでした。じっくり気持ちよかった~。
菅野さんによる鉄輪案内
夕方前に再合流して、湯治ぐらし菅野さん自ら、鉄輪を案内してもらいました。スタートは「大谷公園」から。明治時代、僧侶でありながら大谷探検隊として世界を巡り、日本の産業や教育の発展に注力して晩年を別府で過ごした「大谷光瑞(おおたにこうずい)」が由来です。奇しくもこの時WBC中で、明治から令和まで大谷が熱い。
大谷公園の広場にも源泉の蒸気があったり、鉄輪の街並みにも、至るところから湯けむりがもくもく湧いております。この蒸気が湧いている源泉を「地獄」と呼ぶそうです。
今更ですが、別府の源泉数・源泉湧出量は日本一を誇ります。明治のはじめまでは自然湧出の源泉のみでしたが、後に生まれた源泉掘削技術「上総掘り」を、別府の職人が独自に「別府式」として改良しました。この別府式の上総掘りにより、鉄輪などの硬い地盤でも源泉掘削が進みました。
更にその後、昭和30年代以降はボーリング技術の発達により、全国的な源泉掘削ブームとなります。元々の温泉地も、あるいはそれまで温泉が無かった場所にも、昭和40年代から平成の始めくらいを中心に、源泉ボーリングがどんどん進みました。
ここで青森の話を挟みますが、青森県に温泉が増加したのは、この昭和以降の源泉開発ブームの頃です。平成9年に青森県が発行した「青森温泉地質誌」によると、昭和以降の青森県の温泉掘削は「全国でも類例のない速度で」急速に行われました。現在、都道府県別の源泉湧出量を見ると青森は大分県、北海道、鹿児島県に次いで全国4位ですが、青森県の源泉の実に約9割が掘削(動力)による源泉です。掘削による急増が伺えますね。ちなみに大分は約6割が動力、という割合です。
参考:大分県庁と青森県庁の温泉ページ
その後、鉄輪のひょうたん温泉が発祥で他の温泉地でも導入されている竹製温泉冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」を見学したり。
「踊り念仏」で知られる時宗の開祖・一遍上人が、鎌倉時代に鉄輪の噴気を活用して作ったと伝えられる、「むし湯」の広場を案内してもらったり。
菅野さんが『精神と時の部屋』と呼ぶ、すじ湯温泉を紹介してもらったりしました。後ほど私も入浴させてもらいましたが、そう呼ばれるのが納得の隔世感・トランス感でした。
最後に案内してもらったのは、元旅館にアトリエを構えるアパレルブランド「Nuitrip.(ヌイトリップ)」(菅野さんTwitterより拝借。)
菅野さんからは他にもたくさん、温泉や鉄輪の話を教えてもらいました。歩いていると菅野さんの仕事仲間や、仲良くしている人からどんどん声がかかり、ご縁を大切にしているんだなあと感じました。貴重なお話とご案内ありがとうございました!
4日目
湯治カウンセリング(2回目)
ということで、あっという間に最終日の4日目。午前中はもう一度シェアハウスに集合して、初日と同じく血圧や唾液によるストレス測定、カウンセリングを行いました。
私のストレス値は初日の35⇒14となり、おかげさまで「ストレスがない」範囲となりました!すごい!血圧もちょっと下がりました。(まだ高いけど)
温泉に入浴すると基本的には血管が広がって血圧は下がるはずなので、血圧計れるところではやってみたらいいですよ、とのこと。なるほど~。
(※通院中・持病のある方などは医師の指示に従ってください)
カスタマイズ薬膳ランチ
これが最後のプログラム。蒸し料理のお店「蒸士茶楼(むしちゃろう)」さんへ。別府の温泉の蒸気を使い分けて提供する蒸し料理のお店です。
蒸士茶楼の前田さんは、薬膳師であり、また温泉マイスター(大分県の本格温泉資格)であり、更には四柱推命鑑定士であります。各参加者のアンケート回答などを基に前田さんが作成した診断シートを、食事前後に説明してくれました。
この前田さんのお話が本当にすごかった・・。本当にすごいんです。私では1割もこの感覚を皆さんにお伝えすることができません。すみません。
ひとつだけ書いてみると、皆さん「インターステラー」という映画知ってますか?私はたまたま見たことがあったのですが、とにかく人類のために宇宙に旅立って次元や時空を超えるという壮大な映画です。
なんで急に関係ない話するんだっていう感じだと思うんですが、前田さんは料理の話をしていて、その延長戦でインターステラーの話をされていたのです。蒸し料理をするために蒸気工学を学び、それが気象学に繋がり、宇宙に繋がり、五次元六次元の世界となる・・。健康も、陰陽五行も、歴史も物理も、温泉も宇宙も、突き詰めると全ては繋がっている・・ということです。(鎌田の理解です。)とにかく全く分からないんですが、こんな人がいるのか・・!といい意味のショックを受けました。
そんな世界観を揺さぶる話を聞きながら、温泉の蒸気を駆使した、おいしい料理を頂きました。それぞれの身体に合わせてカスタマイズされた薬膳スープは、自分はすごく飲みやすかったんですが、他の皆さんはかなり癖がある味で、苦戦していました。一口もらいましたが全く違う味。
ちなみに前田さんによると、私の顔を見ただけで血圧が高めなのが分かるそうです。(もはやそこにさえ感動!)
更に油の種類に気を付ける、酸化した油を取らない、自己中な所があるから気を付ける、人脈を大切にする、という教えを、診断結果から頂きました。ありがとうございます!!
日程終了!
これで、『腸活×湯治ととのうワーケーション』が全て終了となりました。本当に、今回参加できてよかったです。
今回の「湯治」は、元々の湯治のように宿で入浴と休息を繰り返す、ということに留まらず、「身体と心をととのえること」「自分の身体と向き合うこと」「これからの生活を考えること」などについて、鉄輪とそこに繋がる人を通して教えてくれました。4日間で出会った皆さんからの教えが、今後の財産になる感覚があります。
これも、湯治ぐらし菅野さんと、事務局の西村さん中尾さん、また一緒に参加、もしくは登場頂いた皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
また必ず鉄輪に行きたい!その日まで精進していきます。
長くなりましたが、以上鉄輪ワーケーションのレポートでした!
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