見出し画像

温泉小噺/この気持ちに名前をつけたい

時々行く温泉。 
番台さんは数人いて、曜日により交代で勤務しているっぽいが、
だいたい顔は覚えている。(覚えられている)
今日行くと、番台のおばちゃんが・・・
「あぁ、今日来てくれてよかった。私、今日が最後なのよ」
とおっしゃる。
「会えてよかった、いつもありがとうございました」と。

私は常連というほどでなく、多くても週1、2回いくところ。
行かないときは数週間間があくし、特にこの番台さんとだけ
親しいわけでもない。
挨拶はするけれど、あとは天気の話や温泉の話、
そこまで深い会話はしたことがない。
そうそう一度更衣室に虫がいて、取ってもらったことはある。
それから温泉で産直野菜を売っていて、その食べ方(お漬物の作り方)を
聞いたことはある。
その程度。 お互い名前は知らない。
だが、辞める前に会えてよかったわ、と言ってくれた。
なんだか。
じーん。
そこまで常連でもないのにそう言ってくれてすごく嬉しい気持ち。と、
名前も知らないこの番台おばちゃん、私はこの近隣住民でもないし、
毎日ここを通らないし、もう二度と会えないのかも?という気持ち。
なんて言うの?こういう気持ち。
なんでもない人だったのに(失礼)急に親しくなって、そして
その知人がいなくなる寂しさ。
ウレシセツナイ?

お風呂の中では「〇〇ちゃん、今日が最後ってなー」と話題。
そうか〇〇ちゃんって言うのか。

帰り際に「お互い、お風呂のお客さんとして会うかもね」
とか言い合って、名残惜しく・・・・
せめてと思って
精いっぱい心を込めて「元気でいてくださいね」と、
さよならしてきました。 

嬉しかったのか、寂しかったのか、説明できないでいます。



この記事が参加している募集

#至福の温泉

4,563件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?