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地球のはなし 野菜の料理法

 食べることは、日々気になることである。なるべくなら、美味いものを食べたい。とは言っても、テレビショーなどで取り上げられる、いかにも食通向きというようなものではなく、日常のごく普通のものだ。このところ野菜への関心が強くなって、うまく食べたいと思っている。それも和風のものを。歳のせいでもあるのだろう。

 そんなわけで、スーパーの野菜コーナーをのぞいては、あれこれ買い込む。近ごろは産地直送のものも買えるようになって嬉しいが、料理法を習ったことがないせいもあって、出来上がるものは代わり映えがしない。どんな風にすればいいのか、分からないものもある。

 なにか参考になるレシピはないかと探していたら、格好の本が見つかった。『大正時代の知恵に学ぶ野菜の食べ方[178種類]』という。家人が図書館から借りてきた。古風で判じ物みたいな文章を、著者が実際に料理し現代風に工夫を加えて、紹介してある。

 写真集と見まがうような最近の料理本とは違って、これぞ指南書であるといった趣がある。味付けは、だしに醤油とみりんで適当にといった感じだし、大根のふろ吹にいたっては「如何やうとも心まかせに切て…」とあって、まことにおおらかで心地よい。知りたかった冬瓜料理も載っている。

 出版元では売切れていたが、ネットを通して、新刊同様の古本を手に入れた。寒い日の夕餉が楽しみになった。
                                                                                            (2007.10.31)

別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--

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