見出し画像

e-温泉マイスター「明礬温泉 山田屋」

e-温泉マイスター講座の終了レポート「あなたのお好きな温泉の分析書を見て、源泉名・泉質名およびPRポイントをPRして下さい。」から

                  e-温泉マイスター 髙西喜重郎

明礬温泉 山田屋
 源泉名:別府温泉 山田屋旅館
 泉質:酸性・含硫黄・鉄(II)ーアルミニウムー硫酸塩温泉(硫化水素型)(低張性・酸性・高温泉)(図1)

(図1)山田屋 温泉分析書

伽藍岳の東面中腹に大地のエネルギーあふれる火山性蒸気性温泉がある。
江戸時代には青粘土(鉄、アルミニウムなどの鉱物質)に硫化水素の噴気を作用させる湯の花製造技術により全国一の明礬採取地であったことからこの一帯を明礬温泉と呼ぶようになったとのこと。
地下深くから上昇した硫化水素により温泉の陰イオンは硫酸イオンが主体であるが、陽イオン側は水素イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオンなどと豊富なラインアップであり、その組成割合により多様な泉質を生み出す興味深い温泉地である。
明礬温泉には硫黄泉、明礬泉(含アルミニウム泉)などがあるが、山田屋は全国的にも貴重な緑礬泉(鉄イオンと硫酸イオンを含む)を150年近く守り続けている。
湯小屋には「鉱泉 山田屋」と表記され温泉成分への期待感が高まる。
扉を開けると小さな地蔵さんがあり拝んでから階段を降りて浴場へ向かう。動力源のない頃からの設備のため地下構造の湯小屋なのだ。脱衣場および浴室は2室だが、小さな浴槽が仕切り壁の下部でつながり1つとなっている。毎分2リットルの自然湧出泉を堪能するにはこの大きさでなくてはならないのだ。湯温はやや熱めで水道水を加水できるが、協力しあって掛け流し源泉をうすめないようにしたい。浴槽の湯はやや白濁りであるが、湯壺を覗くとこれが緑礬泉の色なのかと理解するごく淡い緑色をしている。(図2)

(図2)山田屋 湯船

何が緑色を発するのかと調べてみると硫酸鉄の結晶は淡青緑色であった。(図3)湯壺のお湯を汲むと温泉が出なくなるとの注意書きがあるが、サイフォンの原理なのだろうか、源泉との直のつながりを感ずる。
湯は鉄分や硫化水素臭が香り、pH 1.93と強酸性のピリピリ感とカルシウムやアルミニウム分のキュッとした肌触りで、酸味と鉄味や苦味を感ずる。

(図3)硫酸鉄の結晶

あたりに水蒸気立ちのぼる湯上がりの小道の椅子に腰を下ろし、せせらぎの音やなついてこない猫、別府明礬橋の美しいアーチを望みつつ、ゆっくりと汗を引かせる。(図4)

山田屋 湯小屋への小道

強酸性泉による体表面の殺菌には効果が期待できるいっぽうで、高齢者の皮膚乾燥症には入浴後の保湿ケアが必要で、自身の経験からもこれを怠ると数日間痒みに悩まされる。
また、手拭いを絞るうちに指紋が薄くなり指紋認証の再登録が必要になることがあります。強い湯の後は、芳香漂う鉄輪温泉、そして亀川あるいは別府・浜脇エリアへと山を降りて優しい湯に浸かるのがととのえ方としてオススメ。
現在、宿泊者のみ入浴可能となっているが、オーナーご夫妻の心配りと静かに寛げる空間そしてこぢんまりとした温泉により、リラックスした一夜を過ごせることと思う。

【e-温泉マイスター(マイクロラーニング)】
  一講座10分程度のスキマ時間で「温泉学」の基礎が学べます。
   e-ラーニングで30講座を学び、終了問題とレポートが合格すると
  「e-温泉マイスター」として認定されます。
   温泉マイスター講座 受講料 12,000円
 ※博物館の会員・賛助会員および学生は8,800円で受講できます。
 ※受講希望の方は、info@beppumuseum.jp にメールでお願いします。


この記事が参加している募集

至福の温泉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?