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地球のはなし 国道442号を走る

 先日、竹田市の高齢者大学で温泉の話をさせてもらった。朝9時半開始だったので車で行くことにした。ルートは、交通量が少ないと思って、国道442号を選んだ。

 別府発7時15分。朝の大分市内はさすがに混んでいて、大道トンネルに差し掛かったのは8時を過ぎていた。羽屋の交差点で右折して明磧橋を渡り、萌葱台団地入口の交差点を過ぎると442号に入る。あとは、国道57号と交差する朝地を目ざせばよい。時間は十分にあるはずだった。

 道路は整備されて、快い。長湯温泉に通じる分岐路や今市の石畳道への入口などをやり過ごして、ひたすら西南方向に走ると、周りに車はほとんどいなくなり、道沿いの木立は深くなり、ついに1車線ほどの幅の、急崖が迫る曲がりくねった道になった。

 スピードは出せない。不思議なことに、そんな所に限って対向車に出合う。離合が一苦労である。

 それやこれやてこずって、朝地に着いたのは9時。さらに名物の隧道を抜けた竹田の街中で迷い、会場にたどり着いたのは講演開始直前であった。

 帰りは、中九州横断道路を快適に走った。不便な442号も、そのうち全線が改良されるだろう…と期待しながらも、今の道だって古街道の趣があって捨てがたいではないかと、裏腹なことを思ったりもする。
                          (2009.7.31)

別府温泉地球博物館理事長の由佐悠紀が執筆し、新聞・雑誌などに掲載されたものを順次ご紹介しています。--

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